西網走漁協は、このほど実施した網走湖のヤマトシジミ資源調査で、2019年に産卵したとみられる殻長10ミリ大の稚貝が全域で多数確認されたことから資源回復に期待を寄せている。中村辰也シジミ部会長は「今年の稚貝は例年以上に多く見られた。水揚げできるのは数年後となるが、資源回復に弾みのつく結果」と喜んでいる。
厚岸漁協のホッカイシマエビかご漁が14日に始まった。出足の水揚げは堅調。奥野広勝厚岸ほくかいえび篭漁業班長は「例年ハシリの1週間は獲れる」と話す。浜値は大でキロ6千円台。「緊急事態宣言が明け価格が上向けば」と動向を注視する。
白糠漁協の「さけ定置第3号」(新保太平代表)は、「第三十一宝栄丸」(木村太朗船頭)で漁獲するサケ類を中心に付加価値向上に取り組んでいる。船上で放血・神経抜きなどを施すとともに、株式会社リバーサー(釧路市、松田英照社長、電話090・6875・0910)が開発・販売する専用ノズルを使い胃袋を洗浄。鮮度保持も徹底する。同漁協市場のほか、道内外の飲食店にも直送し高い評価を得ている。
オホーツク海沿岸の本操業は、6月に入り南部8単協(雄武・沙留・紋別・湧別・佐呂間・常呂・網走・西網走漁協)が全てそろった。紋別、湧別は日産250トン前後で開始。各浜で歩留まりが13%程度まで上昇。漁場造成でも大型組成がキロ100円台を付けたため、今後のアソートに期待が膨らんでいる。
紋別市のマルカイチ水産株式会社(片山裕一社長、電話0158・24・1234)は3月に総工費約8億円をかけ既存工場を増改築の上、ホタテ自動貝むき機「オートシェラー」(株式会社ニッコー製)を2台増設した。4月のテスト期間を経て5月の連休明けから3台態勢による本格稼働を開始。5月28日には報道関係者に公開、オホーツク産ホタテの品質向上に自信を示した。
札幌市の株式会社マルニ北海道フーズ(永澤辰社長、電話011・886・6363)は、アルコール、3Dの最新凍結技術を活用し、道内各地で水揚げされる四季折々の魚介類で高品質冷凍加工品の製造を手掛けている。解凍後も生鮮と遜色なく、特に刺身・すし種として評価を得て、大手回転ずしや量販店などの国内販路を獲得。米国の外食産業にも採用されており、引き続き、海外市場への販売拡大にも臨んでいく。
北海道沿岸の春定置は序盤主体のサクラマス(本マス)が順調だった一方、主力のトキサケが6月上旬まで低調だ。昨年は5月にまとまった日高が7割減、胆振が半減など各浜とも昨年を大幅に下回るペース。浜値は高値基調だが、補い切れない不振。漁業者は中旬以降のヤマ形成に期待をつないでいる。
網走漁協は、今年から濤沸湖でヤマトシジミの種苗生産に挑戦する。水揚げ目標を5年後に6.5トンと試算。ここ数年の水揚量と比較し約2トンの増産を目指す考え。シジミ漁に着業する北浜部会(12人、部会長=櫻庭博喜理事)が中心となり実施。櫻庭理事は「昨年の試験生産で手応えは十分にある。網走川からの移殖放流を続けながら自然産卵にも期待したい」と意気込みを語る。
苫小牧市公設地方卸売市場の荷受・マルトマ苫小牧卸売株式会社が運用し、漁業者自らが当日の水揚げ状況などを発信する「漁船なう」が4月に稼働を始めた。6月上旬時点で苫小牧漁協の漁業者5人が投稿。コロナ禍で市内外の飲食店需要が減退、浜値の苦戦と厳しい状況が続くが、ホッキ漁や刺網を営む髙島貴仁さんは「情報を発信することが大事」と前を向く。
白糠漁協の丘ツブかご漁は序盤、灯台ツブ中心に水揚げしている。漁模様は漁場間差があり連日ノルマを揚げる船もある。真ツブは主漁場の陸側にかごを入れる夏場の盛漁が期待される。浜値は安く推移、真ツブはコロナによる飲食店需要の減退でキロ千円強と低迷している。