北海道のタコは減産高値基調で推移している。昨年の全体数量は6年ぶりに2万トンを切り今年1~4月も前年割れの漁況。アフリカ産の供給減も相まって、昨年の浜値は高騰した2018年並みの水準まで上昇、今年も強含みの展開。品薄下で引き合いが強まり、札幌市場の煮だこ相場も「今までにない価格帯」(荷受)に高騰。春漁本番を迎えた北海道とアフリカ夏漁の漁況次第では高止まりの様相で、関係者は消流鈍化の警戒感も抱えながら商戦に臨んでいる。
世界中で消費されているポピュラーな魚介類の一つエビ。市場は緩やかな成長が見込まれている。国内もコロナ禍による外食需要の減退、巣ごもり消費の伸びなど構造変化に対応しながら、バナメイなど輸入養殖物を主体に堅調。北海道産は2016年から減産基調で資源動向が懸念材料だが、刺身・すし種をはじめ各種料理素材で量販店や飲食店の集客商材として存在感を放っている。
オホーツク海北部の宗谷管内4単協(宗谷、猿払村、頓別、枝幸漁協)は、枝幸を除く3単協が本操業に入った。漁場造成を含む5月後半の水揚量は4単協合わせ2万トンを超えたが、昨年より4千~5千トン少ないペース。歩留まりは10%前後、アソートも上昇傾向とみられ、浜値はキロ100円台後半と堅調だ。宗谷、猿払村は日産300トン台を揚げている。
釧路管内のさお前コンブ漁が26日、釧路市東部漁協を皮切りに解禁となり、同日に初水揚げした。前浜の資源調査を行い操業計画を決めた漁協も今後順次スタートしていく。
標津漁協のニシンは昨年を下回る水揚量で推移しているものの、昨年に次ぐ水準を確保している。小定置などで漁獲し、23日現在で前年同期比18%減の2777トン。輸入卵の搬入が不安定な状況を踏まえ、キロ平均単価は約2.3倍の118円に上昇している。
北海道定置漁業協会は25日、札幌市の第2水産ビルで通常総会を開き、スルメイカなど国の新たな資源管理への対応や消流対策事業の推進などのほか、新たにサケ・マスの遊漁対策に取り組むなど2022年度事業計画を決めた。また、任期満了に伴う役員改選で、新会長に馬場浩一斜里第一漁協組合長を選任した。
東京都・豊洲市場の折詰のウニ消流は例年にない弱含みの展開だ。ロシア産が5月上旬から過剰に供給され需給バランスが崩れている。そのため、北海道産は浜が出荷調整し、集荷量がまとまらない状況。荷受は「価格が安くて出漁を控えている」と表情を曇らせる。ロシアの荷主は年間の輸出枠を積極的に消化。例年は身質が良くなる10~12月に出荷するために枠を温存するが「ロシア側の漁業者・荷主の間では経済制裁で日本への販売に規制がかかることを危惧している。それで前倒しで搬出している」と話す。
株式会社極洋(井上誠社長)は24日、道内の取引先で組織する北海道極洋会を札幌市で開き、中期経営計画(2021~23年度)の中間年となる今期の事業方針を説明した。前期の増収増益に貢献した水産商事、鰹鮪の拡充・強化、コロナ禍の影響で足踏みとなった食品、海外の巻き返しを図り、高収益構造への転換を着実に進めていく。
陸奥湾でホタテの成育状況などを調べる青森産技の新たな試験船、3代目「なつどまり」(19トン)が竣工した。小型・軽量化により運用経費の削減と、速力や機動性の向上を実現。マルチビームソナーや水中ドローンなど、養殖施設や自動観測ブイを適切に管理するための最新機器も備える。海洋環境の変化に対応した調査・研究を重ね、ホタテ養殖の発展と効率化につなげていく。
一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(FJ、宮城県石巻市、阿部勝太代表理事)は、高校生に石巻の水産業の隠れた魅力や強みを伝えるポスターを作成した。地元9校の校内や通学の電車内に掲示し、無料通話アプリ「LINE(ライン)」を使った就業支援も開始。担い手確保につながるきっかけを増やし、次代を担う若い世代の取り込みを狙う。