輸出主導で流通しているホタテ玉冷の2025年度消流は、拡大した国内外需要を背景に国内および米国の減産見通しで引き合いが強まる中、米国の相互関税によって先行き不透明な情勢となった。在庫は昨年末から払底状態が続き、消費地の製品相場はキロ5千円台と「ない物高」に拍車をかける展開。このため国内消費は落ち込み「フレークしか売れていない」(商社筋)状況で、量販店、外食産業の需要は大きく後退している。米国の関税引き上げに伴い商談が停滞し始めた今、輸出に依存せず国内で消費できる価格帯に修正したシーズン入りを期待する声は少なくない。
冷凍食品の市場規模が拡大している。共働き、高齢者・単身者が増加して簡便食品のニーズが高まっていたところに、コロナ禍によるライフスタイルの変化が後押しとなり、存在感が高まった。併せて冷・解凍技術の進歩と食品事業者の開発力が商品のカテゴリーやバリエーションを広げ、便利さだけでなく、おいしい商品が増えて消費者ニーズをつかんでいる。
一般社団法人日本冷蔵倉庫協会は国土交通省や環境省の方針に基づき、会員企業に対し、自然冷媒の普及を推進している。2023年度(複数年にまたがる事業含む)は国の補助事業に38事業所が採択された。自然冷媒への転換は新設・更新時に着実に進んで構成比で5割を超えた。同協会が会員企業に実施している冷媒調査によると、11年度には構成比14%だった自然冷媒の使用は22年度にHCFCを初めて上回り、23年度(調査対象1195事業所・所管容積2923万821立方メートル、有効回答率は容積比率で72%)は前年度比4ポイント上昇の51.4%。
岩手県の宮古漁協(宮古市、山根秀幸組合長)は18日、宮古湾で養殖する「宮古トラウトサーモン」を市魚市場に今季初水揚げした。数量は2.9トンで平均サイズは1.85キロ。初日の平均単価は昨季(1028円)より11%高いキロ当たり1137円。最高値は昨季比350円高の1800円だった。5月からは週4日、日量6トンペースで7月10日まで250トンの出荷を計画する。
福島県相馬市の潟湖・松川浦の名産・アサリ漁が3月末から始まっている。現在は2週間に1回のペースで1日約60隻が操業。これまで3回出漁し計2355キロを水揚げしたが、前年同期比42%減と出足は芳しくない。減産傾向は昨年から特に顕著で、漁業者からは高気温の影響を心配する声が上がっている。最盛期の6月から7月にかけ徐々に出漁回数を増やし、9月上旬まで続く予定。
利尻漁協のコンブ養殖漁業者は、毎年春に施設の雑海藻を除去している。養殖綱に貼り付けてあるガムテープを剥ぐことで、テープに自然付着した雑海藻を除去。併せて施設の深度調整も行い、6月の収穫期に向けてコンブの生育を促す。
任期満了に伴う道漁協系統団体の役員候補者を選考する推せん会議が21日に開かれ、団体長候補者が決まった。漁連、信漁連、共済組合・JF共済推進本部、全国漁業信用基金協会北海道支所の各団体とも現職が続投する方向で、6月12日に開かれる総会・理事会で正式決定する。
東京都・豊洲市場の北海道産キンキ(キチジ)刺網物の相場は米国のトランプ大統領が相互関税を発表した直後に大きく下げたが、その7日後には平常時の価格帯にまで回復した。輸出筋の一時的な買い控えでの値崩れだったが、22日現在は通常通りの輸出先行の相場を形成している。
紋別漁協の毛ガニ漁が序盤から順調だ。22日時点の累計水揚量は前年同期比3倍の21.7トン。組成は大主体、浜値はキロ7千円台と堅調に推移している。神敏雄船団長は「例年にないほど大が多く陸中心に獲れている」と説明。資源状況について「回復したとは言えないが、昨年がひどかっただけに好転している」と笑顔を見せる。
えりも漁協の春定置は、東洋と笛舞の両地区を皮切りに始まった。2地区ともに2経営体2カ統が操業。20日に沖側で網入れし21日に初水揚げ。本マスはまだ少なく、着業者は今後に期待を寄せている。22日に水揚げした東洋地区の着業者は「全体的にハシリとしては昨年より少ない印象。昨年は序盤からニシンが入っていた。これからなんぼか入れば」と説明。「マスは1尾2キロ台が2尾」とし「あとはスケソがなんぼかあったがまだ少ないほう。昨日で350キロくらい。今日はもっと少なかった」と続ける。