道開発局室蘭開発建設部苫小牧砂防海岸事務所が海岸保全を目的に2000年から整備を進めている胆振海岸白老工区の人工リーフ(潜堤)造成は、波消しブロックでは道内初となる水産協調型の構造を採用している。浅海資源の生息場に機能し、ウニの間引き採取など漁業振興を助長。また、コンブなど着生・繁茂した海藻類は藻場を形成し、ブルーカーボン(BC)生態系として「Jブルー・クレジット」の認証取得につなげている。
道総研さけます・内水面水産試験場は、北海道に回帰する秋サケの新たな資源評価手法の開発を進めている。従来14地区に分けて各地区の来遊数を資源評価の指標値に使用しているが、回帰時の回遊行動で他地区の放流資源を相互に漁獲利用している状況がみられ、その相互作用を考慮した「資源動態モデル」(計算方法)を構築し、資源評価の指標値を推定。併せて近年高水温化する沿岸漁獲時の海水温の影響も組み込んで、資源評価・予測の精度向上を目指している。
加工貝(2年貝)の水揚げ最盛期を迎えている渡島噴火湾では、6単協(長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部漁協)合わせ日産1600トン超え。4月1日時点の累計数量は前年同期比5%増の2万3474トン、計画達成率は52%に達した。一方浜値はキロ600円前後まで高騰している。
道水産物検査協会がまとめた2024年度の道産コンブ格付実績は、前年度比33%減の8213トンと過去最低に落ち込んだ。渡島や日高、釧路、根室、宗谷といった主要地区が軒並み過去最低を更新。太平洋側を中心に23年の記録的高水温で採取対象となる資源が減少したことなどが影響した。道内全体の格付実績は減少傾向が続き、19年度以降4年連続で過去最低を更新、22年度はピークだった1989年の約3割となる1万970トンまで低迷した。23年度は1万2245トンと低水準ながら5年ぶりの増産に転じたものの、24年度は初めて1万トンを割り込む異例の大減産となった。
羅臼漁協のバフンウニたも採漁は解禁日の1月15日に初水揚げしたものの、以降3月末まではシケ続きで操業回数が伸び悩み。一方、出荷軒数の多い殻付きが3月4日には50隻で2.4トンを出荷し、浜値は高値でキロ2850円に付いた。
3月に始まった湧別漁協のニシン刺網が順調なスタートを切った。序盤はサロマ湖内で1隻日量数トンと好漁、3月末~4月頭は外海で多い船が日量1トン前後の水揚げ。サイズは大主体、高値はキロ400円台と堅調に推移している。
水産庁によると、2024年の同庁漁業取締船による外国漁船への取り締まり実績は、立入検査7件(前年7件)、拿捕1件(同1件)だった。しかし、日本の排他的経済水域(EEZ)で発見された違法設置漁具の押収は18件(同8件)、北太平洋公海における乗船検査は24件(同16件)となり、前年を上回った。同庁では引き続き漁業取締体制の充実強化を図り、国際的な資源管理に貢献していく構えを示している。
マルハニチロ株式会社は試験的に養殖していたスギ(スズキ目スギ科)の試験販売を5月に開始する。高水温に強く短期間で生産でき、脂乗りも良く、さまざまな調理方法にも対応できるなどの特長を持つ。同社や全国各地の市場を通じて主に量販店や外食向けに出荷する。2025年度は約1万尾、27年度には約10万尾の生産を目指す。
カキの品質を総合的に競い合う「全国牡蠣-1グランプリ2025」が3月22、23日の2日間、東京都・豊洲市場で行われた。全国から集まった生産者が、新設された「カキフライ部門」をはじめ各部門で熱戦を展開。互いの技術を競い合いながら業界全体の発展を見据え交流を深めた。一般社団法人全国牡蠣協議会(門林一人代表理事)の主催。会場には北海道から九州まで全国各地の生産者が集結。「互いの技術を見て学べる貴重な機会」と、参加した全生産者らの熱気に包まれた。トーナメント形式で行われた各部門の対決は、見守る生産者たちにも刺激を与えた。
日高管内新ひだか町、新冠町の鮮魚卸、水産加工業者ら5事業者が互恵の取り組みで前浜産の活用を進めている。それぞれの得意業務を共有し、獲れた魚介類の円滑処理、仕事・商品づくりなど相互利益を創出。これまで日高昆布だしで味付けした開きホッケやマダラの漬け魚・フライ・珍味などの商品も生み出している。