2024年の北海道の秋サケ定置網漁が開幕した。平成以降最低の来遊予測が示され、漁獲量は4万トン台前半の低水準が続く見通し。競合する海外産もロシア・米国のマスが不振、為替も絡んで高値相場の様相だが、水揚げの回復を見据え、通年の売り場堅守、消流の安定に向けた価格形成が引き続き焦点となる。道漁連の鳥毛康成参事兼販売第二部長に商戦展望、流通対策の重点などを聞いた。
商社筋によると、2024年シーズンのチリギンの生産量はドレスベースで前年比2万㌧減の19万5千トンほどになる見通し。現地では減産を背景に「相場が強いのでは」との思惑を巡らせ、強気のオファーが続いている。冷凍ドレスの内販価格は続伸。7月中旬には4/6ポンド、6/9ポンドサイズとも前月より1キロ当たり130円上昇し、それぞれキロ1170円、1140円と1200円目前。「毎週20~30円上がる状態が続いている」という。
高砂熱学工業株式会社は「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」(8月21~23日、東京ビッグサイト)に出展し、同社が実践している「漁村の明るい未来に向けた取り組み」について紹介した。沖縄県国頭漁協では、「鮮度のブランド化」を目指し、シャーベットアイスを活用した鮮度維持により、魚の品質向上が実現。導入前に比べて魚価が大幅に向上した。流通や販売を担う株式会社フーディソンも協業し遠方への販路拡大も実現。各地域の魅力ある水産品を全国各地に行き届かせている。
国内に流通するいくらの原卵で主力となっているカラフトマスの冷凍卵は北米産、ロシア産とも新物搬入が厳しい様相を呈している。不漁でドメス向けの価格が高騰しており、商社筋は当面、ヒネ在庫で対応する構え。一方、卸業者などは商材調達の先行きに懸念も抱いている。
漁業者中心の有志団体・ブルーフォーラム、飲食業者の株式会社エー・ピーホールディングス、加工業者の株式会社紀文産業は協業で未利用魚を活用した商品企画を進めている。第1弾は標津産カジカ。可食部の歩留まりが低く、産地外に流通することが少ないため、一時期は浜値がキロ5円。3社が強みを生かし、カレー、麻婆ソース、バーニャソースの加工品を開発し、価値を高めていく。クラウドファンディング(CF)で活動の周知と資金調達を行っている。
第26回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」(大日本水産会主催)が21~23日、東京ビッグサイトで開催された。「シーフードビジネス×技術革新で水産の未来を創る」をテーマに約630社が出展。国内だけでなく、海外からも多くの来場者が参集し、熱意に満ちた商談を繰り広げた。全漁連は会員8団体と合同出展し「プライドフィッシュ10周年」を来場者に訴求。消費拡大のための販路開拓につながる商談やPRを行った。青森県漁連は陸奥湾産ホタテや十三湖産シジミ、宮城県漁協はみやぎサーモンやワカメ製品を出品、試食提案には多くの人だかりができていた。
水産庁は、昨年8月下旬のALPS処理水海洋放出開始から約1年が経過するのに合わせ、ホタテの生産・輸出・消費状況をまとめた。輸出先の多角化が進んでいることを示し、昨年度懸念されていた在庫の過剰積み上がりはおおむね解消されていると認識。今後も国内消費の拡大や輸出拡大に取り組んでいくことが必要との見解を強調している。
第26回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」(大日本水産会主催)が21~23日、東京ビッグサイトで開催される。前年を上回る630社1338小間の出展は、コロナ禍前に迫る規模。「シーフードビジネス×技術革新で水産の未来を創る」をテーマに、熱気あふれる商談の機会を創出する。主催者によると、円安による国内食材への関心の高まりに期待し、「今こそ浜の魅力を訴求したい」と意欲的な出展者が多いという。出展希望多数のため期日を待たずに受付が締め切りとなるほどで、開催を前に熱意が伝わってくる。その思いに応えるように主催者も国内外からのバイヤー誘致に力を注ぐ。新規バイヤーとの商談機会の提供に取り組むほか、ジェトロ協力による「食品輸出商談会」など輸出促進を図って水産物需要を押し上げる。
首都圏・小売りのマイワシ商戦は近年、訴求に力を入れていた道東産の売り込みが小型化などで苦戦している。東京都や神奈川県中心に展開する量販店では、コロナ禍直前の数年にわたって6月下旬に道東マイワシの販促フェアを展開してきたが、以降の年は期間中に漁がまとまらず、実施を断念している。
新規就業者の確保・定着には資金や技術習得の支援などに加え、ハラスメント対策やCSR(企業の社会的責任)なども重要要素になっている。また、小・中・高校など学びの場で漁業に触れる機会を得られても就職先はより良い求人条件を求め、別の業界に進むケースも少なくない。漁業人口や生産量の減少が止まらない中で、若者をはじめ就業志望者は業界の宝。担い手確保や育成を担う各機関ではその宝を発掘、未来につなぐため、それぞれの活動に取り組んでいる。全国漁業就業者確保育成センターは、漁業会社や漁業を営む個人(漁師)を対象に“サポーター”と位置付ける一般会員枠を設けている。担い手の確保や育成を目的とする同センターの活動に賛同する会員を募るもので、働き方改革などに取り組む組織・個人が条件。サポーターを巻き込んで漁業界全体で働きやすい環境を生み出す狙いがある。センターのホームページでも紹介。小・零細企業や個人でも、アクセス数の多い同サイトを通じて、就業希望者へ情報発信できる。参加条件に合致したことを公表することで、特に水産高校の教諭や家族が安心して就職を促せるメリットも生み出す。