北海道の秋サケは4万6千トン弱と、昨年に続き5万トン割れの凶漁となった。浜値は卵需要のメスを主体に高騰し、全道のキロ平均単価(11月末現在)は前年比2割高の657円に上昇。金額は約350億円まで回復したものの、浜間格差も大きく、資源動向の先行き不安は払しょくされないまま。一方、消流は今後の水揚げ回復時に向けた売り場の堅持が引き続き課題となる。
青森県陸奥湾の2020年度秋季実態調査結果がまとまった。今年も昨年同様、夏季の水温が高めに推移したが、20年産稚貝のへい死率は昨年より低く平年並みの値となった。早めの採取が奏功し、体力のある稚貝に育ったことが一要因。一方19年産新貝のへい死率は25.0%で過去6番目の高さ。高水温時の耳づり掃除による貝への負担などを要因に挙げている。
促成種苗の損傷・芽落ちが広範囲に及んでいる道南白口浜。道総研函館水産試験場が鹿部・大船両地区で実施した調査によると、高水温の影響で早期沖出しした種苗中心に生育が悪く、ヒドロゾア類(通称、毛)なども多数付着して退色・芽落ち。さらに、ホッケが種苗糸に付く小型生物(ヨコエビ類など)を摂餌し、種苗の損傷など被害を招いた可能性が高いとした。
増毛漁協所属の「第八十八開龍丸」(13トン、FRP)がこのほど竣工した。同漁協のホタテ養殖船では最大馬力を誇り、作業性・安全性に配慮した新造船が誕生。操船する土橋邦彦さんは「先代船より安定性・作業性が格段に高まり、とても仕事がしやすい」と喜んでいる。
苫小牧漁協のホッキ冬漁は順調な水揚げで推移している。漁獲対象サイズに満たない貝も多数見られるなど資源量は豊富。ただコロナ禍の影響を受け消費地の飲食店需要が減退しており、着業者は安値相場の形成に不安を募らせている。
全さんまの集計によると、全国のサンマ水揚げは11月末現在で前年同期比28%減の2万7197トン。11月には散発的に日量千トン台、約2年ぶりとなる3千トン超の水揚げもあったものの、統計史上最低だった昨年の4万517トンを下回ることが確定的となっている。
散布漁協では2隻がチカ船びき網漁に着業している。目視で群れを探索。巻網とほぼ同様の漁法で、魚群を網で囲むようにして捕獲。専用のさおを使い、網の中から魚が逃げるのを防ぐ。今季はまだ数百キロ台の水揚げで推移しているが、好漁時はトン単位で揚げる日もある。着業する永坂哲也さんは「これからが本番」と意気込む。
近年、海洋汚染の主要因としてマイクロプラスチックの問題が注目されており、欧州に限らず多くの国々でプラスチックごみの削減に向けた規制強化が進んでいる。日本では、2019年6月に政府がプラスチック資源循環戦略を策定しており、同戦略に含まれる目標を達成する手段の一つとして、プラスチックのリサイクルの促進や、代替素材の導入が期待されている。SDGs(持続可能な開発目標)の姿勢がより普及した現在、日本はそのような目標に向け、食品容器包装の変革が必要不可欠となっている。
岩手県の秋サケ漁が極端な不振にあえいでいる。県のまとめによると、11月30日現在の沿岸漁獲量は人工ふ化放流事業が本格化した1984年度以降で最低だった前年同期比38%減の552トン。青森843トン(同23%減)、宮城428トン(同34%減)と厳しい状況は隣県も同じ。不漁が価格高騰を招く悪循環が依然として続く。
東日本大震災からの復興を目指し、岩手県釜石市で漁業支援に当たってきた釜援隊(釜石リージョナルコーディネーター)の齋藤孝信さんが、支援継続のため任意団体「漁(すなど)り舎」を設立した。釜援隊の活動は今年度で終了するが、市は地域活動の担い手をサポートする事業を12月下旬に始める計画。応援したい団体を指定して市にふるさと納税ができる制度だ。団体の認定に向け奔走中の齋藤さん。「釜石の豊かな海と水産物の魅力を広く発信したい。交流人口拡大のため多くの人に応援してもらえれば」と期待している。