一般社団法人北海道水産物荷主協会(会長・根田俊昭株式会社マルキチ社長)は昨年(2024年)も道内の「子ども食堂」と連携した道産水産物の魚食普及推進事業を実施した。4年目の今回は、ホタテ加工品を使った親子で作れる料理レシピや水産加工品にスポットを当てた食育用パンフレットを172カ所に配布。十勝管内の3カ所ではレシピを活用した料理の試作・提供などを行った結果、調理ボランティアから「手間がかからず作りやすく、常用メニューに加えることができる」などと好評を得ている。
噴火湾の今季(2024年10月~25年5月)加工貝水揚げ計画は、7単協(いぶり噴火湾・長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部漁協)合わせ5万2100~5万3100トンとなり、昨季実績を1割弱下回る見通し。いぶり噴火湾、長万部、砂原の3単協が増産を見込んでいる。漁協別では、いぶり噴火湾が昨季比2%増8100トン、長万部が7%増1万3500トン、八雲町が59%減2500トン、落部が21%減1万トン、森が6~18%減となる7千~8千トン、砂原が34%増6千トン、鹿部が1%減5千トン。
青森県陸奥湾の2024年度秋季実態調査結果によると、今年の半成貝や新貝に向ける稚貝(24年産)の保有枚数は11億781万枚となった。過去10年平均の76%で、23年、22年に続き3番目の少なさ。親貝となる成貝、新貝の保有枚数は7393万枚で目安となる1億4千万枚の53%。県は稚貝の冬季波浪に伴うへい死を防ぐため養殖施設の安定化、適切な玉付けを呼び掛け、新貝は親貝確保の観点から産卵前の出荷は最少限に抑える必要性を示している。
2024年の玉冷消流は、自国生産の減少や保水加工の輸入不足に加え円安基調の為替相場を背景に米国の買い付け姿勢が強まるなど、海外輸出主導の展開となった。製品相場は米国がけん引する形で高騰。産地蔵前の3S相場はシーズン序盤でキロ3千円台に戻り、オホーツク海の操業終盤には4千円の大台超え。さらに年末は4千円台中盤に向かう強含みの状況となった。25年の米国生産も低水準予想で輸出主導型が続く見通し。国内消費の鈍化を懸念する関係者は少なくない。
いぶり噴火湾漁協の2024年度加工貝(2年貝)計画量は、前年実績比2%増の8100トンとなった。成長は昨年並みで23年度実績の微増を想定。同漁協では「このうち活貝も一定量を見込んでいる」と話す。伊達地区の「早出し」は10月29日に開始し、A貝(殻長8センチ以上)はキロ500円台で推移している。
道内のほぼ全域で発生した今年の採苗不振を受け、道ほたて漁業振興協会(髙桑康文会長)と道漁連(阿部国雄会長)は5日、道、道議会に対し調査研究体制の強化を求める要請行動を行った。髙桑会長は「次年度以降も発生する可能性があるため早急な対応を検討してほしい」と求めた。種苗生産体制の構築が課題となる中、道総研水産試験場や道の水産技術普及指導所など調査研究機関の統廃合や人員削減が進み、新たな調査に対する人員配置が困難な状況下で、▽稚貝の採苗不振の原因究明▽海洋環境の変化などを踏まえた採苗技術の高度化▽ラーバの出現状況などの調査と情報提供の充実強化-を要請した。
陸奥湾で稚貝のへい死が昨年に続き発生した。夏場の稚貝採取は各漁協とも順調に進み例年通り確保したが、分散作業ではへい死が目立っている状況。地域差はあるが、終了間際の青森市漁協は確保できる稚貝を通常年の1~2割と想定。平内町漁協では3分の1程度とみている。
4日に始まった標津漁協のけた引は、20日まで日産平均36トンペースの水揚げ。例年よりやや低調に推移する中、浜値はキロ平均700円台と高値基調。仕向けは活貝とみられる。
小樽市漁協の稚貝本分散は、開始から6割程度の進ちょく状況だが、8月に行った仮分散後のへい死が一部に見られ、丁寧な分散作業に注力している。サイズは小型のため選別機で落ちる下の稚貝を再度施設に戻し、最後にあらためて分散し直すことも考えながら慎重に進めている。
成長を続ける青森県内有数の水産加工グループに新たな柱が加わった。陸奥湾ホタテ加工大手の株式会社マルイチ横浜(野辺地町、横濵充俊社長)が、定塩加工技術に定評のある株式会社ヤマヨ(八戸市、藤田和弘社長)と11月1日付で資本提携を締結。これによりマルイチ横浜グループは計6社となり、全体の売上高は150億円に達する見込み。天然資源の減少など厳しさが増す中、原材料の仕入れや販路の共有などスケールメリットを生かし、グループ各社の持続的発展につなげる構えだ。