歯舞漁協(小倉啓一組合長)は防災情報伝達システムを導入し、コンブなど沿岸で操業する漁業者の安全安心を確保している。緊急地震速報や大津波警報といった全国瞬時警報システム(Jアラート)発報時に、漁業者が所持する情報端末(スマートフォンなど)とブルートゥース(近距離無線通信)で接続した船上の電子サイレンが吹鳴する仕組み。漁業者が波や風、エンジンなどの音に遮られず防災情報配信に素早く気づき、直ちに帰港・避難できる態勢を構築。防災・減災機能を有する組合施設と併せて、大規模災害に備えた対策を推進している。
北海道で初めて線状降水帯が発生した9月20日から21日にかけての豪雨・突風・高潮が漁業にも深刻な被害をもたらしている。道水産林務部が現在、各振興局を通じて被害状況を調査・集計中だが、盛漁期を迎えた定置網では使用不能となった漁場や操業継続が困難となった漁場も出ている。
北海道の秋サケ定置網は9月が7800トンと前代未聞の1万トン割れとなった。昨年は善戦した中期に期待がかかるが、10月も勢いがない滑り出し。浜値はメスが昨年より3~5割高、根室やオホーツクでは異例のキロ2100円以上に高騰している。道漁連の集計(速報値)によると、昨年は全道で2千トン台となった日曜休漁明けの9月29日が815トンと千トンにも届かず、9月は日量千トン超が23日(1280トン)の1回にとどまり、漁期前予測も下回っている。
渡島噴火湾で稚貝の本分散がスタートした。6単協(長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部)のうち長万部を除く5単協が開始。場所によって空貝は見られるが、仮分散では例年以上に確保したこともあり、おおむね問題なく作業を進行。着業者は「サイズも数量もほぼ例年通り」と話し、分散作業を進めている。
オホーツク海沿岸の漁場造成を含む9月末水揚量は、前年同期比14%減の22万2310トンとなった。北部が6%減、南部が2割の落ち込み。南部では一部、計画の下方修正を行っており、修正後の計画全体に対する達成率は86%。歩留まりは8%前後まで下降した地域もあり、サイズ組成は5S中心で6S、7Sが増加している。一方、浜値は引き続き堅調。キロ300円台後半~200円前後で推移している。
上磯郡漁協上磯地区のホッキ噴流式漁には2隻が着業、順調な水揚げが続いている。着業する加藤佑基さんは「規格外だったホッキが漁獲対象サイズまで成長したほか、良い場所を引けている」と話す。操業期間中には移殖放流を行うなど資源管理にも努めている。
ひやま漁協江差支所のスルメイカ漁は昨年より長く操業しているものの、水揚げは7月から盛り上がりがなく停滞した状況が続いた。10月に入り、漁況は上向き傾向。地元船が5隻から8隻まで増加し、外来船3隻が集結するなど、着業者は今後に望みをつなぐ。
渡島噴火湾3単協(落部・森・砂原)のエビかご秋漁は、多い船で日量100キロ以上のボタンエビを水揚げし、ここ数年続いた薄漁から回復の兆しを見せている。最近は漁期後半から増加する小型サイズも見えており、来春のさらなる増産に期待を寄せる着業者も少なくない。一方、序盤にキロ5千円台を付けたメスの浜値は、9月末時点で4千円台と堅調に推移している。
東京都とNTT東日本株式会社は9月26日、「漁協運営型陸上養殖プロジェクト」に関する協定を締結し、事業の詳細を明らかにした。閉鎖循環式の施設を福生市内に建設し、ヤマメ(サクラマス)を生産する。陸上養殖を活用した教育(食育)や地域づくり(地域交流・観光)、雇用創出を目指し、多摩地域を起点とした新たな地域振興の実現を図る。
後志管内の余市町で宿泊施設やワイナリーなどを運営する株式会社余市ドリームス(井内由佳代表)は8月11日、ニシンをコンセプトにしたラーメン店「余市らぁ麺 雪洞(ぼんぼり)」(余市町)をグランドオープンした。新たな切り口で日本海沿岸ニシン主産地の一つ、余市町に新たな価値を生み出している。提供するラーメンはしょうゆ味「鰊 醤油らぁ麺」と塩味「鰊 塩らぁ麺」、油そばの3メニュー。
洋食の技法を生かした革新的なラーメンが特徴の札幌場外市場にあるラーメン店「とくいち」のオーナーシェフでイタリアンのシェフ経験を持つ磯部拓也さんと、ミシュラン一つ星のフレンチレストラン「ル・ミュゼ」の石井誠シェフが率いる「チームとくいち」が監修した。