福島県葛尾(かつらお)村でバナメイエビの陸上養殖を手掛ける「株式会社HANERU(はねる)葛尾」(松延紀至社長)は24日、3年間の試験養殖期間を経て初めての商用出荷を開始した。同社によると陸上養殖したバナメイエビの事業ベースでの出荷は東北初。初回出荷量は約4千尾で、年間3万尾を目標とする。当面は県内の飲食店などと直接取引する。被災地復興に弾みをつける新たな特産品として期待される。
青森県階上(はしかみ)町は22日、町の魚として制定しブランド化を進めてきたアブラメ(アイナメ)の正式デビューとなる「階上あぶらめ」お披露目式を開催した。漁獲時期やサイズに基準を設け、活じめ処理方法を統一し、町の産直施設でのみ販売。日本各地で水揚げされる魚種に独自性と希少性で付加価値を高め、新たな特産品として町の活性化や観光客誘致、漁業者の所得向上につなげる。
市場流通の弱いカナガシラの有効活用を目指し、青森県野辺地町漁協で刺網漁などに着業する熊谷浩さんと、海洋環境保全に造詣が深い土木建築業・志田内海株式会社(青森市)の志田崇会長が「かながしらラーメン」の販売に乗り出す。濃厚なだしが取れる利点を生かして製造したラーメンが県主催イベントで大好評となり、本格販売へと舵を切った。JR青森駅近くの人工海浜「あおもり駅前ビーチ」周辺に店舗を構える計画で、カナガシラを漁獲する熊谷さんは「未利用魚の知名度を高め付加価値を向上させたい」と意欲を燃やしている。
岩手県漁連(山崎義広会長)は18日、2025年度通常総会を盛岡市の県水産会館で開いた。当期損失金114万円(前年度は223万円の当期余剰金)を計上する24年度事業報告が承認された。赤字決算はコロナ禍が直撃した20年度以来4期ぶりとなる。事業損失は4057万円(前年度は818万円の事業損失)、経常損失2156万円(同253万円の経常利益)だった。高水温の影響によりコンブや貝類の減産が響いた。販売事業の取扱高は72億1913万円(前年度比4%増)。海藻類が51億1870万円(同55%増)だったものの、貝類が20億3491万円(同43%減)と振るわなかった。鮮魚類は6552万円(同27%増)。
青森県漁連(二木春美会長)は16日、青森市の県水産ビルで2025年度通常総会を開き、24年度の事業報告や収支決算などを承認した。24年度の総取扱高は計画対比101%の約249億円で計画を達成したものの、前年度と比べ約46億円(16%)のマイナス。スルメイカなど主力魚種の不漁に加え、高水温による大量へい死が続いたホタテの取扱高は4年ぶりに100億円を割り込む85億4672万円(前年度比33%減)だった。24年度の事業損失は7784万円(前年度比4%減)、経常利益は3億2074万円(同8.4倍)。当期余剰金は2億5864万円(同7.8倍)で、4期連続の黒字となった。
岩手県盛岡市で11日、県産食品材をバイヤーに向け試食展示し販路開拓・拡大を図る「いわて食の大商談会2025」が開催された。県や株式会社岩手銀行などの主催。出展104社のうち17社が水産関連商品を出品、国内はもちろん中国や東南アジアからも参集した168社・350人超のバイヤーらに対しこだわりの商品を熱心に提案、活発な商談が繰り広げられた。
仙台市若林区の市中央卸売市場に7日、米アラスカ州カッパーリバー(CR)産の新物塩筋子(ベニ子)が今季初入荷した。三井物産シーフードの製品で、日本人職人を現地へ送り、鮮度が良いうちに漬け込んだものをチルド空輸した370キロ(1箱5キロ入り74箱)で、前年の初回入荷時(315キロ)より17%増。塩筋子は宮城をはじめ東北各地で需要が多く、CR産のチルド入荷は初夏限定。鮮魚専門店など業務筋からの引き合いが強く、過去最高値で取引された。
宮城県の気仙沼魚市場がカツオ一本釣漁船によるビンナガの水揚げで活気づいている。今季は昨年より4日早い5月17日に初入港があり、30日には12隻が合計797トンを水揚げ。4日にも一本釣漁船13隻、巻網漁船1隻が入港し今季2度目の750トン超え、水揚げ高2億9700万円。加工原料など引き合いが強く、キロ平均単価は400円を超える好調な出足となっている。
後潟漁協で理事を務める西谷水産の西谷文昭代表(第八正栄丸)は、マボヤ養殖のロープに付着したムラサキイガイの商品化に乗り出した。漁獲対象外のイガイをマボヤ出荷時に取り込みきれいに磨き上げ、大・中・小の3サイズに分類し販売。主に関東・関西の飲食店から高評価を獲得しており、昨年から活貝販売に注力している。
秋田県立男鹿海洋高等学校の新たな小型実習船、第6代「眞山(しんざん)丸」(19トン)が竣工した。ICT(情報通信技術)を活用したスマート漁業への学びを深めるため、各計測機器のデータを船内LANを通じタブレットなどで把握できる情報共有装置など最新装備を導入。時代の変化に対応した水産教育の推進役として期待される。