岩手県の久慈市漁協は、久慈湾で取り組むサーモンの海面養殖が事業化4季目を迎え、5日から稚魚の搬入が始まった。「久慈育ち琥珀サーモン」としてブランド化を進めるギンザケのほか、より収益性の高いトラウトサーモンも昨季から養殖。天然資源が減少する中、安定的な収益の確保につなげる。来年7月下旬までに2魚種で計800トンの水揚げを目指す。
水産業の発展に欠かせない漁船建造関連業界の役割が年を追うごとに高まっている。原材料費の高騰や人材確保などさまざまな課題に向き合いながら、ユーザーのニーズに応え続ける造船業、搭載機器メーカー。ここでは沿岸漁業で活躍する最新鋭の新造船や船舶業界をリードする関連企業の主力製品を紹介する。
成長を続ける青森県内有数の水産加工グループに新たな柱が加わった。陸奥湾ホタテ加工大手の株式会社マルイチ横浜(野辺地町、横濵充俊社長)が、定塩加工技術に定評のある株式会社ヤマヨ(八戸市、藤田和弘社長)と11月1日付で資本提携を締結。これによりマルイチ横浜グループは計6社となり、全体の売上高は150億円に達する見込み。天然資源の減少など厳しさが増す中、原材料の仕入れや販路の共有などスケールメリットを生かし、グループ各社の持続的発展につなげる構えだ。
宮城県・気仙沼港では、シーズン終盤を迎えたカツオ一本釣漁の水揚げが好調だ。例年は10月下旬から下火になるが、今年は11月に入っても1日200トン前後の水揚げが続いている。気仙沼漁協によると、今季、同港に水揚げされた生鮮カツオの数量は一本釣と巻網を合わせて10月末の時点で3万511トンに達する。3万トンを超える水揚げは2021年以来3年ぶり。
今季の宮城県産生食用むき身カキの出荷が10月28日に始まった。県漁協石巻総合支所で開かれた初入札には前年同期比47%減の5.1トンが入荷。上場量が少なく需要が集中する形となり、10キロ当たりの平均単価は37%高の4万2376円。昨年より1万円以上高い出足となった。最高値は15%高の4万7千円。高水温の影響で成育が遅れ、県が指針とする解禁日(9月29日)より1カ月ほど遅れてシーズンを迎えた。
岩手県漁連は10月24、25の両日、2024年度第1期(11月分)県産アワビの浜値を決める事前入札会を盛岡市内で開いた。水揚げ予定数量117.4トン(前年同期比5.5%減)に対し、10キロ当たりの平均単価は6万6475円(同31.2%安)。東京電力福島第一原発のALPS処理水海洋放出をめぐる先行きの不透明さ、磯焼けによる品質への懸念などが相場にも影響しているとみられる。
宮城、山形両県で製造されている食品を売り込む「おいしい山形・食材王国みやぎビジネス商談会」が17日、山形市のホテルで開かれた。水産加工会社など87社が出展し、地元の食材や工夫を凝らして開発した自慢の商品を首都圏や関西などの仕入れ企業65社にアピールし、販路開拓・拡大につなげた。両県と株式会社山形銀行、株式会社七十七銀行などでつくる実行委が主催。出展者のブースをバイヤーが自由に回る展示商談と、両者を事前にマッチングした約420件の個別商談を実施した。出展された新商品を対象とした「新商品アワード」のバイヤー投票も行われ、結果は12月に発表される。
宮城県漁協は、今季の県産生食用むき身カキの出荷を10月28日に開始する。県は指針で毎年9月29日を出荷解禁日としているが、高水温の影響で卵持ちが多く、成長が遅れていることから、生産者、買受人らと協議して決定した。県の指針より1カ月ほど遅く、去年より2日早い開始となる。県漁協によると、高水温の影響の調査を終えていないため、今季生産量の見通しは立てていないという。
包装業界や容器・包装を使用する食品など各種業界は持続的な社会の実現に取り組んでいる。包装の役割である「中身を守る」という機能向上への技術開発とともに、プラスチック使用量の削減、容器・包装のリサイクル、CO2削減などを推進している。容器・包装のリサイクル推進に向け、単一の素材で製品を作るモノマテリアル化の推進、着色剤レス、脱墨技術の開発が行われるなど、素材循環に向けた取り組みが進みつつある。その上で、フードロス対策、賞味期限延長ニーズなど機能性も維持させる必要があり、以前にも増してバリア性を有する包装ニーズが拡大している。
定置網や引網など漁業でも浸透しているYKKファスナー。福島県栽培漁業協会(相馬市)ではヒラメやアユの種苗放流で活用されている。船に積み込む防水生地製のいけすと、そのいけす内で稚魚を小分けにしているかごの開閉で使われている。開け閉めが従来の布地の面ファスナー式より簡単で、作業を手伝う漁業者の負担軽減につながっている。