元釧路税関支署長の松井正人株式会社Pine Well Corporation社長が3日、横浜市神奈川区にすし店「鮨処 漁井(JOY)」を開店した。釧路勤務時代に心を射抜かれた水産物などを産直で仕入れて首都圏の客に新しい食体験を提供。北海道ならではの食文化を楽しめる店舗として他地域での展開も視野に入れて魅力発信に力を注いでいく。
仙台市中央卸売市場で17日、三陸や常磐のイセエビを提案する試食イベントが開かれた。荷受の仙都魚類株式会社(仙台市、大沼秀行社長)が主催。宮城県南三陸町では9月末時点で前年比10倍となる約2500キロが水揚げされるなど地場産の増加を受け、地産地消メニューとして買受人らに味噌汁やバターソース添えの蒸し焼きを振る舞い販促を呼びかけた。この日は宮城産を中心に約70キロが入札され、キロ1万1千~6千円で取引された。
北海道の秋サケ定置網漁は10月下旬に入ってさらに日量が落ちて2万トン割れの様相を深めている。道漁連の集計によると、23日現在で前年同期比67%減の1万2144トン。昨年急落の最低水準だったオホーツク・西部の枝幸、猿払村、中部の雄武、沙留なども休漁を挟んだ操業で盛り上がりがなく推移し、加えて追い込み時期にクラゲが多くなり、サケの寄りに影響や大量入網で網起こし、選別に労力を要する事態も発生。3年連続の減産模様で終盤に向かっている。
サンマ棒受網漁は主漁場が日本水域と公海、ロシア水域に形成され、根室市・花咲港の水揚げは9月末までの累計が前年比99%増1万7180トンと昨年を大きく上回る増産ペース。一方、組成は小型化が進んで1尾120~130グラム中心となっている。関係者は魚体の小型化を示し、今後は暖水塊でガードされている状況の主漁場が日本の南側に下りて来るのかを注視している。
いぶり噴火湾漁協の2025年度加工貝(2年貝)水揚げ計画は、前年度実績の3割減となる6千トンを試算している。減産は昨年の採苗不振を受け、今春に垂下した耳づりが減少したため。伊達地区では沖洗いを進めていることもあり、「早出し」の開始時期は昨年より半月ほど遅い11月中旬ごろを見込んでいる。同漁協によると「今年の耳づりにはイガイなどの付着物が多く、各地で沖洗いに専念している」状況。伊達支所でも「作業工程上、早出しは例年より遅れる」と話す。
北るもい漁協の羽幌地区で、今年から札幌中央卸売市場への直送を開始したことからアンコウが昨年より好値を付けている。肝は一時、キロ3万円近く上昇した。出荷量の増減や札幌市場の相場次第では通常の上場と変わらない場合もあるが、出荷先を選択できる生産者の収益アップにつながっている。同漁協では天塩地区が数年前から札幌市場への直送を実施しており、同様に羽幌地区と苫前地区の一着業者も今年から開始した。「地元運送業者の要望を受け、札幌直送は発泡表面に魚種、キロ数を漁業者に明記してもらっている。荷造りの仕方はこれまでと変わらない」と羽幌市場。アンコウのむき身はキロ800~700円、カスベは1200~800円で、通常の上場と大差はないが「高級品の肝は高値が付くため、むき身や他魚種も一緒に送っている。出荷先は生産者の判断に任せている」と話す。
北海道の小型船(5トン以上30トン未満)によるスルメイカ釣漁が漁期中に異例の休漁を余儀なくされている。全国で小型船に配分された漁獲可能量(TAC)を超過したためで、道いか釣漁業協会(瀬川正義会長)は21日に緊急理事会を開き、22日から当面の間休漁することを決定。着業者は「死活問題」「いつまで続くのか」と不安や憤りをあらわにする。
広尾漁協でコンブ漁業を営む保志弘一さんの独自粉末製品「星屑昆布」を使った「昆布しおポップコーン」(内容量50グラム)がコンビニ大手ローソンの道内各店舗で販売され好評を博している。昨年11月発売の「ポテトチップス昆布しお味」に続く第2弾。保志さんは「これをきっかけに広尾町と広尾産昆布の認知度が高まればうれしい」と話す。
マルハニチロ株式会社は11月、袋のまま電子レンジで調理し、そのまま食べることができる家庭用冷凍米飯「WILDish(ワイルディッシュ)」シリーズの新製品「唐辛子ツナ炒飯」の韓国版を同国で発売する。原料や商品開発、販売面では韓国の大手水産会社の東遠(ドンウォン)と協業する。同シリーズは包装の環境配慮や、簡便調理、個食需要など世界的なトレンドに対応した冷凍食品。まずは韓国での展開を起動に乗せ、その先にある海外進出に弾みをつけていく。
千葉県の鴨川市漁協太海エビ網組合(江澤誠代表)は、2025年度(第64回)農林水産祭の水産部門で内閣総理大臣賞を受賞した。綿糸網の使用を継続させたイセエビの資源管理の取り組みが評価された。入手が難しく維持管理に手間はかかるが、環境保全や良質な個体の水揚げなどで効果を生み出している。将来にわたって安定した漁獲を続けられるよう取り組んでいる。