サンマ棒受網漁は9月下旬、公海を漁場に大型船主体の操業で根室・花咲港の荷揚げは週1回の頻度と厳しい漁模様を余儀なくされている。群れが小さく、痩せ細った魚体が主体で、根室漁協所属の大型船船主は「漁場にいる50トン程度のサンマを30隻で分け合っている」と苦境を話す。市況は高値で推移し、水産加工業者は生鮮送りや加工用の原料確保に苦慮。漁業者、加工業者とも道東沖での漁場形成による今後の増産に望みを託している。(7面に関連記事)
北海道の秋サケ定置は15日以降、連日千トン超の水揚げが続き、近年5カ年で最多ペースに挽回している。オホーツクの網走以北を中心に日量が上向き、浜値は昨年より高値水準ながらオス、メスとも下方修正された。
休漁明けの20日には全道的にまとまり、今季初の2千トン超え。その後も増産ペース。ただ、太平洋側では21日以降再び、日量1桁台にとどまる浜もあり、不安定な漁況が続いている。
散布漁協の養殖ウニは9月中旬に出荷が始まった。今季は全般的に身入り向上が遅れ例年より半月ほど遅い開始。加えて18日の大雨で漁場となる火散布沼の塩分濃度が低下、着業者は傷んだ餌のコンブを取り除くとともに被害状況の確認を進めている。
留萌管内の韓国向け活貝は、各漁協とも稚貝の仮分散を終えた9月上旬から出荷を再開している。夏場の高水温で心配されたへい死は発生せず、歩留まりが上昇し重量も増加傾向。水揚げは終盤に入っており、三陸向け半成貝出荷を控えているため、10月でめどを付ける見通しだ。
網走漁協のタコ箱は、減産した昨年をさらに下回り、8月末で3割減と低調な水揚げ。夏場は沖側中心に1隻1トン以上と上々の漁模様も「最近は1トンに満たない日が増えてきた」と着業者。陸側に箱を移し始めている。一方浜値は春先から堅調で、キロ800~750円と強含み。同漁協市場では「昨年と比べ200円近く高い」と話す。
日高中央漁協のコンブ採りが全地区で終漁した。総体的に昨年に比べて繁茂状況が悪く、早期に切り上げた浜もあり、全地区延べ採取日数は昨年(161日)を大幅に下回る56日。井寒台地区はわずか2日間の操業で終漁した。
宮城県漁協は、今季の県産生食用むき身カキの出荷を10月11日に開始する。県は指針で毎年9月29日を出荷解禁日と定めているが、卵持ちが多いことなどから同日までに出荷に適した品質にならないと判断。11月から入札会場を石巻に一本化し、共販体制を強化する方針も決めた。来年6月までに昨季並みの約1600トンの出荷を目指す。
「第40回全国豊かな海づくり大会~食材王国みやぎ大会」が10月3日、宮城県石巻市で開かれる。新型コロナウイルス感染拡大防止のため規模を縮小し、式典や漁船による海上パレード、稚魚放流などの行事を実施。海や河川の環境保全推進や水産業振興を目指す。東日本大震災から10年を経た「水産県宮城」の復興を全国にアピールし、支援への感謝も伝える。
北海道の水産資源に定着してきたブリ。各地で船上活じめによる鮮度・品質管理、商品開発などの取り組みも進んで、生産・加工流通の各分野で存在感が高まっている。昨年は過去最高の1万5000トン台を記録。農水省の集計によると、養殖業を除く海面漁業生産では初の全国トップとなった。今年も秋サケ定置の解禁で水揚げ・流通量が増えだし、商戦が本格化している。
釧路市東部漁協は、今年から特別採捕によるタコ箱試験操業を開始した。漁獲対象をミズダコに限定。漁場は釧路海区の水深40メートル以浅に制限するほか、3キロ未満の小さな個体を海中還元するなど資源保護に努めながら操業する。裁割した生足を発泡下氷で詰め道内外各市場に出荷、豊洲ではキロ1400円の好値を付けた。1年目の操業は9月15日に終了、来季に向けブランド化も視野に入れる。