北海道の秋サケは約4万8千トンと、3年連続の5万トン割れとなった。親、卵ともヒネ在庫の払底下、凶漁と競合する輸入鮭鱒の高値相場などで全道のキロ平均単価(11月末現在)は前年比2割高の788円に上昇し、水揚金額は3年ぶりに400億円を超えた。ただ、えりも以西を中心に特に太平洋側の来遊低迷が続き、浜間格差が一層深刻化。一方、消流は三陸の不振も相まって国産の品不足感が強まっているものの、価格上昇による消費鈍化や輸入鮭鱒の動向次第で停滞も懸念される。
青森県陸奥湾の2021年度秋季実態調査結果がまとまった。分散済み稚貝のへい死率は過去10年間で最低値に。採取時期が早く、水温上昇前の垂下であったことに加え、安静を保つことができ、分散時点で体力のある状態だったことを要因として示した。一方、20年産新貝のへい死率、異常貝率は平年値(過去36年間の平均値)より高く、耳づりの掃除作業を高水温時に実施したことで貝が衰弱し、体力を回復できなかったと示している。
南かやべ漁協の促成は、昨年のようなホッケによる大規模な種苗被害はなく、おおむね順調に種付け。作業を終えた着業者も多い。昨年は養成綱に挟み込んだ促成の種苗が芽落ち・損傷する大規模な被害が発生。主にホッケの食害とみられ、同様の被害を受けた2018年より範囲が広く、種苗のさし直しを強いられたり種が不足する着業者もいた。昨年被害の大きかった大船地区では今季おおむね順調に種付け。着業者は「昨年のようなホッケの大群は見えない。種付け開始直後は、さした種苗が抜ける現象も若干見えたが大きな被害はない。大半が作業を終えたが種が不足することはないだろう」と説明する。
渡島管内のスケソ刺網が好漁に恵まれている。11月末に上向き、12月上旬も好調な水揚げで推移。日量が20トンに達する船もあった。主漁場は徐々に陸側に移動。着業者は「上・下一帯で獲れている」と話す。
ベニズワイガニの加工・販売を中心に事業を展開する株式会社北前水産(江差町、松田親社長)が業容を拡大している。従来はグループ会社である松田漁業部(松田正躬代表)が江差港で水揚げしたベニズワイを商品化していたが、今年9月以降は小樽港に荷揚げされたベニズワイも別の漁業会社から仕入れており、取扱量を伸ばしている。
網走市の有限会社マリン北海道(下山大輔社長、電話0152・43・8536)は、網走湖産ヤマトシジミの販売拡大に力を入れている。活出荷、冷凍販売に加え、レトルト加工の常温品や電子レンジ調理の米飯商品を展開。売り場を構える地元道の駅では農水省の地理的表示(GI)保護制度登録もアピールし、訴求に臨んでいる。
マルハニチロ株式会社の池見賢社長は2日、東京・豊洲の本社で年末会見を行い、今年度の振り返りや中期経営計画の進ちょく状況、来年度の見通しについて語った。食品事業は想定以上に順調に推移するも、養殖や海外巻網事業に課題が残り、収支改善に向け立て直しが必要との認識を示した。来年度から始まる新中計では「企業価値をより高める」とし、現在策定中であることも明らかにした。
青森、岩手、宮城の東北3県の秋サケ漁が今季も不振を極めている。各県のまとめによると、11月30日現在の沿岸漁獲量は青森252トン(前年同期比70%減)、岩手149トン(同73%減)、宮城75トン(同83%減)。好転の兆しは見えず、3年連続の大不漁となる公算が大きい。市場では品薄感が強く、浜値はかつてないほどに高騰している。
カネヨ山野辺水産株式会社(宮城県塩竈市、山野辺文幹社長、電話022・366・0171)は、末端消費者向けの商品ラインアップを強化する。自社ブランドの確立が狙いで、今夏に漬け魚と干物を発売。来春にはミールキットと煮魚を投入する。原料から製法まで品質にこだわった冷凍食品をPR。新型コロナウイルス禍に伴う巣ごもり需要の取り込みも目指す。
雄武漁協所属・一号鮭定置共同(代表・長谷川一夫副組合長)の新造船「第十八協和丸」(19トン、FRP)がこのほど竣工した。兼業のホタテ養殖を併せて作業性や積載能力に加え、バルバスバウなど走行性を重視した装備の搭載・配置、船型を追求。来春のホタテ稚貝放流から稼働する。