道漁連が鮮魚流通対策事業の拡充強化に向け、札幌市西区に新設した「ぎょれん鮮魚センター」は4月の稼働開始以来、カレイ類やホッケ、トキサケなど多魚種で刺身や生開き、切り身など付加価値加工品の開発・製造販売に取り組んでいる。9月下旬にはブリ対策で生フィレーなどの生産もスタート。各種加工機器を駆使し、消費者ニーズに対応した鮮魚加工で道産水産物の価値向上、円滑流通を推進、浜の期待に応えていく。
函館市漁協の天然採取が終漁した。マコンブは繁茂上々で、主力の根崎、石崎両地区ともに低調だった昨年を大幅に上回る見通し。ガゴメは石崎が「昨年並みか若干上回る見込み」だが、根崎は昨年に比べマコンブ狙いの着業者が多かったため、減産見通しだ。
北海道の秋サケは10月半ばで8万トンに達し、昨年並みのペースで折り返した。通常漁期中の6割強が漁獲される時期を過ぎ、最終実績は漁期前予測並みの12万トン前後もみえてきた。今季も低水準域が続く様相で、浜値はオス、メスとも昨年より高止まりで推移している。
1日に開幕した道南太平洋のスケソ刺網は、渡島・胆振の両管内とも初日は上々のスタートを切ったが、その後伸びはなく、漁場間格差も大きい。浜値は渡島側で高値キロ70円台、胆振側で同60円台と昨年同期の2~3割高。すり身原料不足と、勢いの乏しい漁模様が浜値をつり上げている。
渡島管内は鹿部(渡島第2船団)と南かやべ・椴法華(渡島第3船団)の2船団が操業。初日の2日は南かやべが32隻180トン、椴法華7隻60トン、鹿部10隻40トンの計280トンと好スタート。その後は1隻3~5トンと足踏みし、南かやべ漁協の7日現在の数量は前年同期比30%減の570トン。浜値は堅調でキロ平均単価が同55%高の73円、金額は同13%増の4260万円。
初日から5日目の8日、尾札部漁港では午前4時前に帰港した各船が作業灯をこうこうと照らし、漁業者らが手際よく網外しに励んでいた。
名古屋市中央卸売市場(本場)の秋の道産鮮魚取り扱いは、厚岸や根室などの道東サンマが主役。荷造りや鮮度保持で評価が高く、人気商材となっている。
市場内に積まれた発泡詰めサンマは、北海道産のほか三陸など本州産も並び、発泡には産地の各業者名が明記されている。ある仲卸は「北海道産が人気で、特に数社は荷造りが上手」と話す。
宮城県産鮮カキ(むき身)の共販入札が6日、始まった。卵持ちはほとんどなく粒も大きめで、出荷は日産13トンペースと好調。価格は10キロ当たり2万円台後半中心の好値でスタートしたが、8日の石巻入札で平均2万円割れまで下げた。順調な成育状況から、昨シーズンを約4割上回る1580トンの出荷が見込まれ、大震災後遅れていた生産の回復に期待がかかる。
南かやべ漁協の大定置で10月からブリの乗網が本格化し始めた。ここ数年は9月から大量に乗網していたが、ことしは1カ月遅れ。浜値は10キロ以上でキロ400円台後半と好値。漁業者は「大型サイズが増えた」と口をそろえ、各地区とも活気に満ちている。
大定置は11経営体19カ統の操業。7日現在の累計数量は前年同期比62%減の2037トンと大幅に減少しているが、10月に入って上向き、7日に300トンと今季最高の水揚げ。8日も300トンに迫る水揚量となった。
オホーツク・西部地区の秋サケは、漁協別で昨年比増減があるものの、全体では盛漁期の10月中旬まで高水準だった昨年並みで推移。近年施設整備や増殖技術の向上などで漁業者らは地場資源の造成に手応えを感じており、今週の追い込みに注目している。
三重県伊勢市にある㈱酒徳昆布(里村悟社長)は、平成24年に創業100年を迎えた昆布専門店。シンプルな味で、素材の良さを最大限に引き出す伊勢の「生なり文化」にこだわり商い。道南産真昆布が原料のおぼろは、創業以来注ぎ足しの酢で漬け前し、業界では珍しい若手職人が削るこだわりの逸品だ。
明治45年の創業以来昆布一筋に商い。おぼろやとろろから始まり、当初は卸主体だったが30年ほど前に小売中心に。おぼろ以外にもだしや昆布巻など各種昆布製品を販売するほか、伊勢神宮にも奉納。内宮前の「おかげ横町」ではおぼろ削りを実演販売する。
森町砂原の(株)カネキチ澤田水産(澤田光社長、電話01374・8・2162)は凍結庫を増設。スケソ、ホタテなどの処理能力を高めた。
凍結能力は15トン2基の1日2回転で日産60トン。マイナス60度。10月上旬に稼働を開始し、既存施設と合わせて2.5倍の100トンに増強した。
冷凍システムは、低凝縮圧力での運転、冷媒と庫内の温度差の極小化などの制御を可能にした「イータマックス冷凍システム」(納入・井戸冷機工業(株))を採用した。
高効率運転の省エネ型で、澤田社長は「凍結時間が短縮化でき、高品質冷凍に加え、電気代が3割以上節減できる」と導入メリットを説明する。