公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン、東京都港区、末吉竹二郎会長)と宮城県気仙沼市は、使用済み漁網の回収・リサイクルを行うプロジェクトを市内で始動させた。地元漁協と連携し、まずは秋サケ用刺網の100%回収を目指す。漁業者に漁具の適切な管理を促し、海洋プラスチックごみの削減につなげる。
後志管内泊村と古宇郡漁協が取り組む盃漁港カブト地区での海面養殖試験で1日、サクラマス295尾が初水揚げされた。村によると、生残率は約9割と高かった。13日には、別のいけすで養殖しているトラウトサーモン(ニジマス)も水揚げする見通し。昨年11月にいけす2基を設置、サラクマス約300尾、トラウトサーモン約600尾の幼魚を投入。漁業者約20人で魚類養殖部会を設立、給餌などを手掛ける。来年水揚げ分まで、村の補助事業で養殖する。
北海道のタコは減産高値基調で推移している。昨年の全体数量は6年ぶりに2万トンを切り今年1~4月も前年割れの漁況。アフリカ産の供給減も相まって、昨年の浜値は高騰した2018年並みの水準まで上昇、今年も強含みの展開。品薄下で引き合いが強まり、札幌市場の煮だこ相場も「今までにない価格帯」(荷受)に高騰。春漁本番を迎えた北海道とアフリカ夏漁の漁況次第では高止まりの様相で、関係者は消流鈍化の警戒感も抱えながら商戦に臨んでいる。
東京都・豊洲市場の折詰のウニ消流は例年にない弱含みの展開だ。ロシア産が5月上旬から過剰に供給され需給バランスが崩れている。そのため、北海道産は浜が出荷調整し、集荷量がまとまらない状況。荷受は「価格が安くて出漁を控えている」と表情を曇らせる。ロシアの荷主は年間の輸出枠を積極的に消化。例年は身質が良くなる10~12月に出荷するために枠を温存するが「ロシア側の漁業者・荷主の間では経済制裁で日本への販売に規制がかかることを危惧している。それで前倒しで搬出している」と話す。
北海道定置漁業協会は25日、札幌市の第2水産ビルで通常総会を開き、スルメイカなど国の新たな資源管理への対応や消流対策事業の推進などのほか、新たにサケ・マスの遊漁対策に取り組むなど2022年度事業計画を決めた。また、任期満了に伴う役員改選で、新会長に馬場浩一斜里第一漁協組合長を選任した。
標津漁協のニシンは昨年を下回る水揚量で推移しているものの、昨年に次ぐ水準を確保している。小定置などで漁獲し、23日現在で前年同期比18%減の2777トン。輸入卵の搬入が不安定な状況を踏まえ、キロ平均単価は約2.3倍の118円に上昇している。
釧路管内のさお前コンブ漁が26日、釧路市東部漁協を皮切りに解禁となり、同日に初水揚げした。前浜の資源調査を行い操業計画を決めた漁協も今後順次スタートしていく。
オホーツク海北部の宗谷管内4単協(宗谷、猿払村、頓別、枝幸漁協)は、枝幸を除く3単協が本操業に入った。漁場造成を含む5月後半の水揚量は4単協合わせ2万トンを超えたが、昨年より4千~5千トン少ないペース。歩留まりは10%前後、アソートも上昇傾向とみられ、浜値はキロ100円台後半と堅調だ。宗谷、猿払村は日産300トン台を揚げている。
世界中で消費されているポピュラーな魚介類の一つエビ。市場は緩やかな成長が見込まれている。国内もコロナ禍による外食需要の減退、巣ごもり消費の伸びなど構造変化に対応しながら、バナメイなど輸入養殖物を主体に堅調。北海道産は2016年から減産基調で資源動向が懸念材料だが、刺身・すし種をはじめ各種料理素材で量販店や飲食店の集客商材として存在感を放っている。
枝幸漁協のミズダコ漁がいさり樽流しを中心に好調だ。5月中旬時点の水揚量は苦戦した昨年の4.6倍と大幅に伸長。サイズは4~12キロの中主体。好漁した2020年ほどではないものの、多い着業者は日量500~600キロを揚げており上々のスタートを切っている。一方浜値は輸入ダコ減少などが影響し、キロ900円前後と強含みの展開を見せている。