北海道の秋サケは20日現在の来遊数が1486万尾と1000万尾台半ばにとどまっている。道総研さけます・内水面水産試験場の年齢査定では前期の来遊実績が5年魚(2014年級)、4年魚(15年級)とも漁期前予測の6割と低調。昨年は4年魚が約8割を占め、中期に一定の伸びを見せたが、今季の4年魚は平年並みの予測。漁期中の約8割が水揚げされる時期を過ぎ、一昨年(1737万尾)同様の2000万尾割れも懸念される。
岩手県の秋サケ漁が厳しい出足のまま、10日までの漁獲尾数は昨年同期の23%となった。序盤の水揚げがまとまる久慈市場は同21%で、要因として高い海水温のほか、3年前の近隣ふ化場の台風被害に伴う放流尾数減少の影響も指摘されている。台風19号の通過で水温が下がり、ようやく水揚げが上向く兆しが見えてきた。今後の盛漁期に向け関係者は巻き返しを願う。
北海道の秋サケ定置は低調なまま盛漁期を過ぎ、一昨年を下回る1978年以来の5万トン割れの可能性も見えてきた。今年は例年3割を占める大所のオホーツク・東部の斜網地区が不振で大きく影響。来遊資源の低迷から脱却が見通せず、秋サケ業界は将来への不安が増している。
北海道の秋サケは10月に入っても水揚げが伸び悩んで一昨年、昨年並みの低水準が続いている。浜値も下方修正され、金額は来遊量が低位となった2010年以降最低ペースで推移している。
オホーツク・西部地区は全道的には伸び悩む中、昨年まで3年連続の減産基調を脱するペースで推移している。ただ、昨年が3割減の大幅減産で、今年も水準は低く、漁場間で明暗も分かれている。一方、浜値が下方修正され、金額の確保は単価の落ち込みを補う水揚げの伸びに委ねられている。
オホーツク海の建マス(カラフトマス)は記録的不漁となった。1999年以降続いていた奇数年豊漁・偶数年不漁の周期が入れ替わって今年は不漁年となるが、主産地・オホーツク管内が9月末現在で1200トン台と、平成以降最低だった一昨年をさらに下回り、昭和50年代の水準に落ち込んでいる。根室管内も昨年の2割と激減、宗谷管内は8割。浜値は昨年並みで、金額も昨年を大きく割り込んでいる。
宮城県北部の秋サケ刺網が不漁の幕開けとなった。漁解禁の25日、南三陸町市場では46隻が1078キロを上場、昨シーズン初日の12%。大半の船が10尾前後のわずかな漁獲にとどまり、来遊が遅れている様子だ。
北海道の秋サケ定置は一昨年、昨年に続いて9月漁は低調。温帯低気圧通過後日量ペースが上がり、盛り返しが注目される。一方、浜値はメスが根室海峡でキロ800円台と高値水準ながら、千円台に上昇した昨年に比べ冷静な価格形成。札幌市の量販店では極度に不振のサンマやイカに上向く兆しが見えない中、秋サケが頼みの綱。10月の盛漁、価格安定に期待をつないでいる。
水揚げが本格化した北海道の秋サケ定置漁。えりも漁協冬島地区で従事する坂本雅彦さん、悠さんの兄弟が今季から一般の人を対象に事業化した「漁師体験」を始動した。定置船「第五十八宝漁丸(18トン)」の操業時に網起こしなどを一緒に体感。漁業や秋サケなど魚介類を身近に感じてもらうことで、魚食普及、さらには担い手確保などにつながることを見据えた新たな挑戦。地元・様似町も地域漁業の振興などに結び付く取り組みとして期待を寄せている。
北海道の秋サケ定置漁は全網が操業を開始し、今週から盛漁期に向かって佳境に入る。増産予想下、序盤は特に太平洋が振るわず、低水準の滑り出し。一昨年、昨年の高値による荷動きの停滞などで親、卵とも製品在庫を抱え、浜値は昨年より下方修正で発進したものの、じり高の展開。今季は消流回復への適正価格の形成が最大の焦点。サンマなど他魚種を併せて水揚げ動向にも商戦の行方がかかっている。