大樹漁協のサクラマス養殖実証試験は2年目を迎える本年度、養殖規模を拡大して取り組む。いけすを3基加え4基体制に拡充、シケ対策も講じる。また飼育尾数も昨年度を大きく上回る2千尾以上とするほか、自動給餌装置も導入する。昨年末の試食会では好評で、今年度は身色や脂乗りを意識した飼育にも注力、さらなる品質向上を目指す。
潜水用スーツなどの製造販売・修理を手掛けるカンバラ(広尾町、勘原賢三代表、電話01558・2・4876)の「拾いコンブ用かっぱ」が日高管内中心に普及している。袖部分に防水性などに優れるネオプレンゴムを取り付け、海水の浸入を防いだつくりが特長。昨年からはかっぱ本体を厚手で丈夫なものに切り替えた。
昨年12月1日施行の改正漁業法に伴い、オホーツク海沿岸(宗谷、オホーツク、根室海峡)でホタテを漁獲する小型機船底びき網漁業の漁船規模が、従来の15トン未満から20トン未満に引き上げられた。これを受け、新船に順次更新中の常呂漁協が2隻を適用。このほど第八十一ところ丸がオホーツク初の20トン未満船として進水・回航した。
昆布製品製造卸の株式会社丸善納谷商店(函館市、納谷英雄社長)は、有機JASの制定が検討されている海藻で認証取得を目指している。研究機関に加えコンブは戸井漁協小安地区、ワカメはひやま漁協奥尻地区の若手漁業者と連携し、培養液を使わず生産した種苗を用い試験養殖を進めている。2年後の製品化を見据え、昆布で取り引きのある英国の商社に輸出する計画で、有機(オーガニック)志向が高い欧州での日本産有機海藻の浸透を図る。
岩内町の一八興業水産株式会社(紀哲郎社長、電話0135・62・1811)は、レトルト加工の設備・技術を生かし、カジカやソイなど前浜で水揚げされ、従来原料に低利用魚の加工・販売に取り組んでいる。「一八食堂」と銘打って、骨まで軟らかく食べられる煮魚に作り上げ、味付けも多彩にシリーズ展開。価格評価が低い魚の付加価値を加工技術で高める原点に臨んでいる。
岩内郡漁協の底建網はホッケやマダラの水揚げが順調に推移している。ただ、ホッケの魚体が小ぶり。浜値は2桁で盛り上がりに欠いている。約10軒が操業。太田誠組合長は「ホッケの日量は各軒約1トン。全体では約10トンで推移している」と説明する。浜値は3月31日が40~20円。
留萌管内4単協(増毛・新星マリン・北るもい・遠別漁協)で、地まき用稚貝の出荷作業が始まった。シケ休みは少なく出荷ペースは順調だが、例年にない成長不足と生残率の低下で、計画粒数に対する出荷量は7~8割にとどまる見込み。各単協とも成長のもうひと伸びに期待を寄せている。
道総研函館水産試験場は戸井漁協小安・東戸井両地区と連携、成熟誘導(人工的に子のう斑を形成させる技術)を用いた早期生産種苗のマコンブで試験養殖を進めている。通常の促成マコンブより沖出し時期を前倒しできるため、成長が早く、付着物増加前に収穫できることや厳冬期の間引きを避けられることが利点。「この養殖方法を確立できれば生産性・作業性の向上につながる」と浜側の期待も大きい。
留萌管内のニシン刺網が新星マリン・北るもい漁協で盛漁期に入った。3月後半から各地で掛かりだし4月上旬は多い船で3トン台の水揚げ。5日の新星マリンはメスの発泡が3千箱に上向いた。放卵寸前の成熟した魚体が多く、大がキロ600円台の好値発進。増産傾向のため7日時点で300円台と安値に振れたが好漁は続いている。
コロナ禍の影響を大きく受けた玉冷消流。内販は外食産業で苦戦しているが、巣ごもり需要に伴う量販店やテイクアウトを生かした回転ずしは順調に消化している。一方、海外では需要回復の兆しが顕著で在庫確保に向け輸入が加速。期首在庫は昨年の3500トンを下回る予測で、2021年度シーズンを迎えた消費地では新物のサイズアソートと冷静な価格帯に注目が集まっている。