鵡川漁協(小谷地好輝組合長)が9月に開設した直営店「いちうろこ」が好評だ。ホッキやカレイ類など前浜産の水産物をお手頃な“漁協価格”で提供。店内は職員の明るい掛け声が飛び交い活気付いている。町内外から次々とお客が訪れており、同漁協の小定雅之専務は「想定以上の売れ行きで推移している」と手応えをつかむ。年内にはSNSを通じ商品を購入できる「バーチャル店舗」の機能を実装。来店が難しい全国の消費者に、その日店頭に並ぶ魚介類を届ける。
東京・豊洲市場のウニ消流は、海外の需要が強く、北方四島、北海道、北米など全てで相場が例年より長期にわたって高止まりしている。さらに年末需要期に向け、北海道太平洋沿岸での赤潮が原因とみられるウニの大量へい死など強含みの要素が加わり、市場関係者は晩秋以降の価格形成を警戒している。
道南太平洋のスケソ刺網が1日に解禁した。胆振管内の主産地・いぶり中央漁協では台風の影響などを受け6日に初水揚げ。数量は16.5トンと振るわず、厳しい漁模様での滑り出しとなった。登別・虎杖浜地区の着業者は「沖合で泥が湧き、網が泥だらけ。スケソが網の上を通過するようだ」と嘆く。ただ魚探の反応は悪くなく、今後の海況好転に望みを託す。一方、初日の浜値はキロ99.5~79.5円と高値を付けた。
「第40回全国豊かな海づくり大会~食材王国みやぎ大会」が3日、宮城県石巻市で開かれた。新型コロナウイルスの感染状況を考慮し、天皇、皇后両陛下は皇居・御所からオンラインで出席された。東日本大震災からの復興が進む「水産県宮城」の姿をアピールするとともに、全国からの支援への感謝の気持ちを発信した。
株式会社フィッシャーマン・ジャパン・マーケティング(FJM)、株式会社ニレコ、水産研究・教育機構、盛信冷凍庫株式会社、NTT東日本宮城事業部はマサバの脂質評価による適正流通実証プロジェクトを開始する。マサバの脂質を科学的に評価し、品質に合った適正価格での流通を目指す。
標津町の株式会社北海永徳(永田雄司社長、電話0153・82・3963)は、秋サケ・いくら、ホタテの加工を主力に、ニシン・カレイなど前浜産の鮮魚出荷、塩干・冷凍加工を手掛けている。工場は「標津町地域HACCP」に対応。さらに昨年来、新たな設備投資で品質・衛生管理体制を強化している。
釧路~日高の太平洋沿岸で、定置に乗網した秋サケや沿岸のウニが大量死する深刻な漁業被害が相次いでいる。試験養殖や中間育成の魚もへい死。コンブへの影響を危惧する声もある。同沿岸では広範囲にわたって大規模な赤潮が発生しており、研究機関は関連を調査している。「これから漁が始まる魚種への影響は」「いつまで続くのか」。漁業者は赤潮が原因との見方を強め、経験のない被害状況に危機感を募らせている。
石巻専修大(宮城県石巻市)の鈴木英勝理工学部准教授らの研究グループは、県内に豊富に水揚げされるホウボウ科の底魚カナガシラについて、2日間程度であれば新鮮な刺身として提供できるとの研究成果をまとめた。鮮度、うま味、歯応え、身色の4点を考察した。主要魚種の漁獲量低迷が続く中、漁業者の所得向上にもつながる低利用魚の活用に期待が集まる。
釧路市の株式会社近海食品(三浦篤社長、電話0154・91・7676)は、北海道産の魚介・昆布加工品で、消費者ニーズをとらえた簡単・便利な商品づくりを追求している。併せて、バリア性の高い包装資材を採用し、従来常温120日の賞味期限を、6カ月~1年に延長、常備食などの需要拡大に臨んでいる。
サンマ棒受網漁は9月下旬、公海を漁場に大型船主体の操業で根室・花咲港の荷揚げは週1回の頻度と厳しい漁模様を余儀なくされている。群れが小さく、痩せ細った魚体が主体で、根室漁協所属の大型船船主は「漁場にいる50トン程度のサンマを30隻で分け合っている」と苦境を話す。市況は高値で推移し、水産加工業者は生鮮送りや加工用の原料確保に苦慮。漁業者、加工業者とも道東沖での漁場形成による今後の増産に望みを託している。(7面に関連記事)