鵡川漁協所属で刺網漁やホッキ漁を営む吉村正さんが代表を務める吉村燻製工房は、鵡川沖の海水で製造した天然塩「華の潮」のラインアップを拡充した。従来品より結晶を大きくし、岩塩のような見た目を打ち出す。
松前さくら漁協白神地区でマボヤ潜水漁を営む鳴海敦士さんは、水揚げの傍ら、町民中心に受注配達する「街売り」を行うなど、販売宣伝にも力を入れている。リピーターが多く、毎年新聞の折り込みチラシで漁期開始を周知。口コミで評判が広がり町外からの注文も獲得したことを契機に、遠方への鮮度保持対策として活魚タンクを導入した。また、SNSを活用して情報発信するほか豊洲市場にも出荷。「松前・白神産の知名度向上、販路拡大につながるよう発信力を高めていきたい」と力を込める。
北るもい漁協苫前支所樽流し部会のミズダコが10日、東京・青山の「ダイニングバー・The Burn」のメニューとして提供され始めた。資源を守りながらもうかる漁業を目指す「漁業改善プロジェクト(FIP)」で水揚げされたもの。共同でFIPを進める株式会社UMITО Partners(村上春二社長)が同店の米澤文雄シェフに提案した。
政府による東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出方針を巡り、県漁協や県農協中央会など宮城県内4団体は21日、国民や国際社会の理解を得られない海洋放出は行わないよう求める共同声明を発表した。水産物への風評被害を防ぐ具体策などはいまだ示されておらず、政府や東電に対する根強い不信が漁業者らの不安を助長している。声明では、海洋放出方針の再検討も要請した。
新たな海面養殖を模索しようと、いぶり噴火湾漁協伊達青年部(大内聡部長、7人)は、昨年から全国的に珍しい外海でのアサリ養殖試験に乗り出した。13日に実施した養殖かごの入れ替え作業では、稚貝の殻長が10ミリ程度と伸び悩み、網から抜け落ちる減耗も確認されたが、大内部長は「これらの課題を今後にしっかり生かしたい」と前向きに捉えている。2022年度までの3年間で課題を洗い出し事業化につなげたい考えだ。
日本水産株式会社は、昨年展開を始めた「速筋タンパク」商品を拡充する。スケソウダラに由来した質の良いタンパク質を配合したもので、利用効率の良さは卵以上という。外出自粛による運動不足で体に衰えを感じている人が多いこと、また筋肉の衰えからタンパク質の摂取意向が高まっていることを背景に、その需要に対応できる商品として提案していく。
ウトロ漁協の定置網漁に従事する若手漁業者らが「知床直送」のネットショップが商品展開する水産品の加工作業を担っている。前浜産の知名度や魚価の向上、漁家収入の安定などの一助を目指し、漁業の余暇時間を当てて、サケとばや干物を製造。昨年9月のショップ開設から特にサケとばが話題となり、注文が殺到するなどやりがいも体感。通販業者と連携した消費者直販流通で、魚価安や主力・秋サケの水揚げ低迷に見舞われる浜の新たな活力創出に挑んでいる。
新型コロナウイルス禍の影響を受け2年目となった玉冷の消流環境は、予想以上の内販消化で期首在庫が払底した中、大型組成と旺盛な海外需要を背景に相場高で新シーズンを迎えた。小型化した昨年とは打って変わって大型組成と見られる今年は、東南アジアや北米中心に海外需要が堅調。3Sの消費地価格はキロ3千円に達した。内販は売り場を回復した量販店や回転ずし店など国内マーケットの吸収力に注目が集まっている。
1日付で就任した水産庁の神谷崇長官と倉重泰彦次長、渡邊毅漁政部長らは同日会見し、今後の方針や抱負を語った。水産改革や漁業法改正、不漁問題、コロナ禍への対応など課題が山積する中での新体制スタート。「水産庁の考えを浜に、漁業者一人一人に理解してもらえるよう努めていく」と語り、漁業者の所得が向上し、加工・流通業者は円滑に事業を行えるよう、各施策に取り組んでいく。
歯舞漁協所属「共栄丸漁業部」の宮下道博さんが考案した海獣対策の「定置網用仕切網」が昨年、実用新案に登録された。たまり網の中ほどに設置することで、網内部が前・後部に分かれ、仕切網の目合いを通過できる魚だけが後部にたまる仕組み。海獣は後部へと浸入できず、漁獲物の食害軽減につながる。宮下さんは2年間の試験導入で「アザラシによる被害が大幅に減った。漁獲量への影響もなく、むしろ伸びた網もある」と効果を実感する。