北海道日本海沿岸のニシン刺網漁は2月以降、各浜で増産傾向となり、約5300トンまで伸ばした昨季を上回るペースで推移している。主産地・石狩湾漁協は浜益地区がハシリから好漁。厚田、石狩両地区も前年同期を超え、今季も5千トン確保が視野に入る。一方、数の子原料のメスは加工筋が昨年産の製品在庫を抱え、やや浜値が下落。ただ、円安傾向や船賃の上昇など海外産の搬入リスクから道産シフトが進んで来季以降も需要が底堅いとの見通しが浸透している。
イオンリテール株式会社南関東カンパニーは、宮城県石巻市の取引先と連携し、水産品の鮮度向上に向けた新たなバリューチェーンを構築する。10日から、漁獲から店頭販売まで一度も冷凍しない蒸しだこ(ミズダコ)=写真=を関東・山梨エリアの「イオン」「イオンスタイル」125店舗で販売する。震災で途切れた販路の回復と拡大の一端を担う。
白糠漁協の定置漁業者、田森栄輝さんが代表を務める龍宝丸水産は、昨年11月で加工販売に取り組み10年の節目を迎えた。低利用魚の付加価値向上をコンセプトに製品づくりに注力。これまで原料高やコロナ禍による消費減退など困難にも直面したが、その都度ヒット商品を生み出すなどして苦境を打開。田森さんは「10年でやっと形になり向かうべき方向が明確になった」と強調。白糠産の認知度向上や魚食文化の継承も念頭に置き次の10年を見据えている。
昨年8月に札幌市中央卸売市場隣のさっぽろ朝市内に開業した天然鮭鱒専門店の鮭蔵(電話011・727・2727)=写真。ロシア・カムチャツカ半島から仕入れた沖獲りのベニサケ、シロザケ(トキサケ)を主力に、「氷蔵藁(わら)製法」と「ふっくら製法」の二通りの独自製法で加工を施した塩蔵品などを提供。個人消費の二極化に対し、隙間市場の開拓・獲得に挑んでいる。
道漁青連(尾崎勇太会長)は12~15日に東京都内の視察を行った。株式会社UMITO Partners(ウミト)に企業の視察依頼をし、同社が企画・調整・引率。担当する道漁連指導教育部とともに、若手漁業者7人が飲食店や企業と情報交換し、また道漁連の関連施設の見学などを通して、北海道漁業の進むべき未来のヒントを得た。
全国スーパーマーケット協会主催の商談展示会「第57回スーパーマーケット・トレードショー2023」が15~17日、千葉市の幕張メッセ全館で開催された。トレンドを伝える主催者企画では「冷凍×食」ゾーンを新設するなど、各ブースでも“冷凍”をポイントに出展する企業が目立っていた。内食需要が高まる中、来場者は新たな商品の発掘や売り場作りを考える情報交換の場として活用していた。
広島県の広報や出張料理を行うettokitchen(えっとキッチン)の米田まりこさんは、10日に東京都豊島区のとしま産業振興プラザでサメ肉のウインナーやシューマイなどの試食会を行った。サメの加工に精通している食品販売業のフジタフーズ(広島県三次市、藤田恒造社長)の商品6品を紹介。集まった11人のサメ愛好家らはそのおいしさに驚いていた。
etto(えっと)は広島県の方言で「もっと、たくさん」という意味。気軽にたくさんの家庭料理で笑顔が食卓にあふれるよう付けた社名。当日は三次市役所地域振興部の呑谷巧課長が応援に参加して、同市の特徴を説明した。
野付漁協がホッキのブランド化に乗り出した。全体水揚げの数パーセントと極めて少ない1玉500グラム以上を特大に設定し「野付龍神ジャンボホッキ」と命名。殻長で選別する大サイズとの差別化を図り、希少サイズに付加価値を加えたことで浜値は堅調に維持している。買受人は「しっかり選別され、注文にも対応しやすくなった」と太鼓判。ホッキ部会はステッカーを作成しPRしている。
いぶり中央漁協が2017年度を皮切りに取り組む特別採捕のサメ捕獲事業で水揚げされるヨシキリザメの流通経路拡大を促す試みが動きだしている。道内で身肉を消費する慣習が乏しい現状を受け、22年11月には登別温泉のホテルでサメ料理の発表会を実施したほか、道漁連が香草焼きなどの加工品を試作。具体的な成果に直結する展開はこれからだが、付加価値向上を見据えた挑戦が注目されている。
北海道の毛ガニは今年、3年ぶりの減産が見込まれる。許容漁獲量が釧路東部海域は昨年より増枠の一方、日高海域は減枠、3月に開幕する主産地・オホーツク海域も約15%減の方向で、千トンを下回る見通し。消流は冷凍品の消化進度が鈍く、中サイズを中心に越年在庫が残存。昨年末の値崩れと併せて、減産下も価格形成は下押し要因を抱えている。