噴火湾でカキ養殖に力を入れる森町の(株)イワムラ水産(岩村雅美社長)は、日本最深漁場となる水深70メートル海域での養殖に成功した。夏から秋に7~10度の低い水温帯に垂下し良好な身入りを保つことで、品薄期となる9~10月の生食用出荷が可能となった。岩村雅弘社長代理は「ぎゅっと熟成させ身入りの良いカキになった。中には抱卵前のカキも確認できた」と驚く。今年は1万個を生産し10月中旬ごろまで販売。来季の生産量は3倍に増やす計画だ。
水産研究・教育機構水産技術研究所主任研究員の伊藤克敏氏(環境応用部門環境保全部化学物質グループ)は7日、岩手県大槌町で「魚類養殖と漁場環境について」と題して講演した。秋サケの記録的な不漁が続く中、県内ではサケ・マス類の海面養殖試験に乗り出す動きが相次いでいる。伊藤氏は「ワカメやカキ養殖との共存も十分可能。海洋環境と調和した、未来につながる養殖業を作り上げてほしい」と呼び掛けた。
むかわ町の(有)丸中舛岡水産(舛岡博美社長、電話0145・42・2178)は、主力商材のシシャモで、漁期後半に獲れる完熟のオスの有効活用にも取り組んでいる。魚体が黒みがかって脂分が抜け、従来卸売では荷動きが鈍く、新たな商品開発に挑戦。昆布巻や甘露煮に加え、粉末にし塩やふりかけも打ち出している。
散布漁協の養殖ウニは、9月末で出荷がいったん終了した。コロナ禍による価格低迷が懸念されたが、後半は上値でキロ6千円まで上昇。南晃仁うに養殖部会長は「大きな影響がなくてよかった」と安ど。一方で「例年に比べてへい死が多いことが心配」と話す。出荷は年末に再開する。
標津の前浜で漁獲する水産物をもとに6次産業化に取り組む標津波心会(林強徳代表)は今季、秋サケのブランド化や商品の多角化に挑戦している。神経じめなど鮮度・品質向上への処理を徹底。道内外の鮮魚店とも手を携え、標津の秋サケを道内外に訴求していく。標津はかつて「秋サケ水揚げ日本一」で知られたまち。同会は高鮮度を打ち出し、「日本一おいしい秋サケ」として魅力を発信する。
千葉県木更津市の(株)木更津魚市場(荒井弘導社長、電話0438・25・3131)は地域住民の食生活の要となる卸売業のほか、近年は加工品の開発、販売にも力を入れている。3年前から始めた手作りつくだ煮では、地元産のホンビノスガイが看板商品に成長。このほどGSK(株)(大阪市、小屋敷一雄社長、電話06・4302・3470)の特殊冷風乾燥機を導入して干物製造も構想中。手作り品の幅を充実させようと動き出している。
北海道沿岸一円で定置網を中心に水揚げが定着したブリ。ここ数年、サンマ、イカ、秋サケなど主要魚種が軒並み低迷する中、量販店の鮮魚売り場、加工原料などで存在感が高まっている。船上活じめによる鮮度・品質の向上、商品開発など産地の取り組みも進展。首都圏など本州市場にも流通量が増え、脂の乗りなどの品質が評価されてきている。
鹿部漁協は今年、町の補助を受けシングルシードのカキ養殖試験に乗り出した。殻長1センチほどの種苗をオーストラリア製バスケットに投入し、初年度は3千個の養殖に挑む。8月に収容済みで来年6月の出荷を計画。試験に取り組む盛田州秀監事は「3年ほど試行した上で、成功すればブランド化を見据えながら、ホタテ養殖と両輪で生産量を増やしたい」と力を込める。
「恋問鮭」の専用シールを発泡箱に貼付
白糠漁協のサケ定置部会(新保太平部会長)は今季、生鮮出荷に取り組む「恋問鮭」の船上活じめに乗り出した。低水準の水揚げが続く中、限られた資源の付加価値を高める試みで全漁場が足並みをそろえて実施。地元仲買、漁協直販加工部を通じ道内外に流通、価格にも反映され、上々のデビューを果たしている。
北海道沿岸一円で定置網を中心に水揚げが定着したブリ。ここ数年、サンマ、イカ、秋サケなど主要魚種が軒並み低迷する中、量販店の鮮魚売り場、加工原料などで存在感が高まっている。船上活じめによる鮮度・品質の向上、商品開発など産地の取り組みも進展。首都圏など本州市場にも流通量が増え、脂の乗りなどの品質が評価されてきている。