女性の力で浜に活気を―。道信漁連(深山和彦会長)が漁協女性部の部員増を後押ししている。本年度から2021年度まで女性部加入促進事業を推進。株式会社セコマとの連携で電子マネー機能付き道女性連会員証を発行したほか、各浜の加工品販売を札幌で実施するなどの施策を展開している。
オホーツク沿岸の水揚げが30万トンを超えた昨年は、主力の玉冷生産を中心におおむね順調に消化された。玉冷は内販、輸出とも道漁連が示す計画通りの需要が見込まれ、特に回転ずしは幅広いサイズを消費。輸出は中国、東南アジアが堅調で計画を上回る可能性もありそう。3月の期末在庫は「重くならない」と、関係者は口をそろえる。
昨年6月の「G20大阪サミット」でも主要テーマに挙がったSDGs(持続可能な開発目標)。その目標のひとつ「海の豊かさを守ろう」では廃プラスチック製品による海洋汚染が世界的に環境問題として認識され、海をなりわいとする水産関係者に率先した行動が問われている。昨年、青森県八戸市では港単位・関係者連携で全国初の宣言を実施。北海道では漁協系統運動として「脱・抑プラスチック」を決議。具体的な取り組みが始動している。
回遊魚の水揚げ低迷や魚価安に着業者の減少が追い打ちをかけ、苦境に立たされている北海道日本海沿岸。その現状を自らの知恵と行動で変革しようと、後志管内では漁業者らが新たな増養殖事業の確立に向け挑戦を続けている。
「健康にいい」「栄養価が高い」などのプラスイメージの一方、「骨があって食べにくい」「生臭い」などの理由から年齢層問わず国民全体に進む「魚離れ」。その消費者嗜好(しこう)を踏まえ、魚食向上に貢献する水産食品の創出を目指し、食品加工研究センターを中心に道総研が開発したのが一夜干しレトルト製法。「こつぱくっと」と名付け、ニシンを皮切りに商品化魚種の拡大に臨んでいる。
「資源管理の必要性を感じているものの、まず何をしていいのかわからない」。そう感じている漁業者も少なくない。最初から完璧な目標を目指すのではなく、まずはできることからみんなで少しずつ始める―。そうした性質から、やる気に満ちた漁業者の背中を後押しする「漁業改善プロジェクト(FIP)」「養殖漁業改善プロジェクト(AIP)」が注目されている。
ウニやワカメの加工・卸売などを手掛ける株式会社ひろの屋(岩手県洋野町、電話0194・65・2408)。今年5月に創業10年を迎える若い会社だが、中小企業庁の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選出されるなど未来を見据えた事業展開が注目を集めている。磯焼け対策の一環で取り組む、配合飼料を活用したウニの養殖技術開発もその一つ。社長の下苧坪(したうつぼ)之典さん(39)は「海の恵みと美しさを次世代に引き継いでいくことが、水産業に携わる者に課せられた使命だ」と熱く語る。
函館空港ビルデング株式会社は、地域振興・発展に貢献することを経営ビジョンに掲げ、道南産水産物の魅力発信に注力している。空港内の土産店では、地元漁業者や加工メーカーがつくる各種水産品を積極販売するほか、がごめ昆布を使った自社製品も展開する。直営レストランでは昆布やマグロを取り入れたメニューが並ぶ。また、近年世界的に深刻化が指摘される「海洋プラスチック問題」を受け、紙製のストローに切り替えたりパネル展を開くなど「脱プラ」にも取り組む。
宮城県石巻市の水産加工・有限会社マルセ秋山商店(秋山英輝社長、電話0225・24・0822)は、放射光を活用した冷凍食品の研究開発に取り組んでいる。超高性能の巨大な「顕微鏡」で水産物の身質などを調べ、筋繊維の向きなどから凍結方法を選択。消費期限や鮮度、品質の向上につなげている。秋山繁専務は「おいしさを客観的に可視化したい」と話す。マグロやカキなどに合った凍結方法を3月に公表する予定だ。
北海道の秋サケは4万5000トンと、40年ぶりに5万トンを切る大不漁となった。魚価も一昨年の異常高騰の影響などで昨年比2%安と伸び悩んで金額は300億円割れ。定置や漁協の経営、増殖事業の運営を直撃し、資源動向の先行き不安が増している。一方、消流は生鮮主導となり、親子とも製品の生産量は低水準。売り場は輸入品主体の動きで、供給不安からさらに縮小が進む状況も懸念され、引き続き販路確保が大命題となる。