小樽市の(株)小樽海洋水産(松田亙社長、電話0134・33・6323)が昨夏に販売した「小樽の小鍋」が好評だ。電子レンジ加熱で手軽につくれる一人用の本格海鮮鍋。ライフスタイルの多様化がもたらす簡便調理や個食などのニーズに対応、末端の支持を集めている。
秋サケとトラウトサーモンを使った塩味仕立ての「鮭うしお汁」と「つみれ鍋」がそれぞれ2個入った「4個セット」、道産ベニズワイガニの「かに鍋」、「石狩鍋」と「鮭うしお汁」が各3個の「6個セット」の2セットをそろえた。1個280グラム。食材にもこだわり、秋サケは羅臼産、ベニズワイガニは小樽産が6~7割を占める。
北海道の秋サケは日本海、道東などで終漁する漁場も出て日量が落ちてきている。今季実績は6万トン程度と昨年に続く不漁に変化はないが、渡島噴火湾ではピークを迎える11月中旬にまとまった水揚げを見せた。来遊資源が極端に4年魚に傾斜した中、終漁時期まで後期群の厚い噴火湾や道南で例年以上に伸びるのかが注目される。
オーストラリア・タスマニア州と、釧路・根室両管内を中心に北海道との水産加工産業交流を進めているジェトロ北海道は、同国の水産会社中心に視察団を招へいし、12日に札幌市、13日に釧路市で道内企業との情報・意見交換会を開いた。新たなビジネスの創出や企業連携の可能性などを探るとともに、オーストラリア側は、省力化・コスト低減や商品の品質向上などの面から道内企業が開発した加工機械・技術に関心を示した。
渡島噴火湾の今季加工貝(2年貝)は、6単協(長万部、八雲町、落部、森、砂原、鹿部漁協)とも大量へい死に悩まされる中、臨時の成育調査を行った森は2千~3千トンと一昨年並みに減産する見通しを示した。ほか5単協の出荷量も昨季を大きく下回る見込み。毎年年末から出荷を始める長万部では「成育次第だが開始時期は見通せない」という。
政府は6日、水産改革に関連する「漁業法等の一部を改正する等の法律案」を閣議決定した。今の臨時国会での成立を目指す。養殖業への新規参入を促進するなど「水産業を成長産業へ」(安倍晋三総理)とする狙いがあるが、漁業権を地元の漁協や漁業者に優先的に割り当てる規定の廃止など、漁業関係者が従来の漁家経営への影響を危惧する内容を多く含んでいる。奇しくも前日5日には、水産改革法案の拙速な審議をやめ、充分な議論をするよう求める全国の沿岸漁業者による緊急フォーラムを東京都内で開いていたばかり。参加者からは「われわれの声の届かない悪しき改革」だと紛糾する声が続出した。
北海道の秋サケは、中期までの来遊数が2000万尾に達し、昨年の最終実績(1734万尾)を超えた。ただ、道総研さけます・内水面水産試験場によると、4年魚、5年魚とも漁期前予測を下回る状況。後期の来遊傾向から今シーズンの最終来遊数は前年比3割増の2300万~2400万尾、漁期前予測3137万尾の7割強にとどまる見通しで、3年連続の3000万尾割れとなる。
漁業情報サービスセンターがまとめた10月末現在のスルメイカ(生)水揚げ状況によると、稚内が前年同期を3割下回るものの1687トンを揚げ北海道では最も多い。
山形県漁協が山形市内で直営する鮮魚店「庄内海丸」が好評だ。県産の魚の消費が少ない内陸部で、販路拡大と認知度向上を目指して出店。対面で漁法や食べ方などを丁寧に伝えて常連客を増やす。生協と協力することで流通と集客のコストや労力も削減した。産地では低・未利用魚を中心に魚価が上がり、好循環が生まれ始めている。
小樽市漁協の秋シャコ漁が不振だ。ナギ続きで巣穴から出ず、掛かりが悪いのに加え、フグやカワハギによる食害が追い打ちをかけている。着業者は「網を揚げても殻ばかり」と嘆く。
札幌市の食料品卸・株式会社エスワイエスウイング(依光博文社長)が商業施設「三井アウトレットパーク札幌北広島」に構える「北の漁師 羅臼」(越中谷克敏店長)は塩干品に特化した店づくり。メインの干物はGSK株式会社(大阪市、小屋敷一雄社長、電話06・4302・3470)の特殊冷風乾燥機で当日仕入れた旬の魚を加工し提供。コアなファンをつかんでいる。