網走漁協のホッキ漁が9月20日に再開した。資源量の低迷に伴い、1隻当たりの漁獲上限(ノルマ)を20キロ減の日量60キロに設定。資源保護の観点からプール制を導入し、水揚げ金額は全船均等に分配することとした。浜値はキロ300円台中盤の中心値で始まり、高値は500円台後半。減産分は資源が安定しているヒラガイやビノスガイで補っている。
釧路~日高の太平洋沿岸で、定置に乗網した秋サケや沿岸のウニが大量死する深刻な漁業被害が相次いでいる。試験養殖や中間育成の魚もへい死。コンブへの影響を危惧する声もある。同沿岸では広範囲にわたって大規模な赤潮が発生しており、研究機関は関連を調査している。「これから漁が始まる魚種への影響は」「いつまで続くのか」。漁業者は赤潮が原因との見方を強め、経験のない被害状況に危機感を募らせている。
岩手県釜石市の濱幸水産株式会社(濱川幸三社長、電話0193・22・4171)の新社屋が、同市新浜町地内に完成した。ウイルス対策を講じた事務所などに加え、大型の超低温冷凍庫を完備。国内一の漁獲量を誇るマグロの通販事業を拡大する。消費者に直接品質をアピールし、きめ細やかな対応も整えることで需要を取り込み、漁船漁業を核とした「総合的な水産会社」づくりを加速させる。
石巻専修大(宮城県石巻市)の鈴木英勝理工学部准教授らの研究グループは、県内に豊富に水揚げされるホウボウ科の底魚カナガシラについて、2日間程度であれば新鮮な刺身として提供できるとの研究成果をまとめた。鮮度、うま味、歯応え、身色の4点を考察した。主要魚種の漁獲量低迷が続く中、漁業者の所得向上にもつながる低利用魚の活用に期待が集まる。
釧路市の株式会社近海食品(三浦篤社長、電話0154・91・7676)は、北海道産の魚介・昆布加工品で、消費者ニーズをとらえた簡単・便利な商品づくりを追求している。併せて、バリア性の高い包装資材を採用し、従来常温120日の賞味期限を、6カ月~1年に延長、常備食などの需要拡大に臨んでいる。
株式会社JALUX(東京都)はノルウェー水産物審議会(NSC)と協業して、旬のノルウェー産新物サバを冷凍せず生のまま空輸し、「サバヌーヴォー」と名付けて販売を始めた。冷凍されていない生のノルウェー産サバの輸入は日本初の取り組み。肉厚で脂乗りが良く、ふわっとした今までにない食感も味わえるという。JAL国内線ファーストクラスの機内食で提供するほか、首都圏のスーパーマーケットで販売する。
留萌管内(増毛・新星マリン・北るもい・遠別漁協)の秋サケ定置は、地区間の差が大きく開いた。北部2単協は好漁となった昨年を上回る水揚げだが、南部2単協は半減以下と苦戦。9月29日現在の管内水揚量は累計790トン、前年同期比15%減と昨年を下回っている。一方浜値は卵需要の高まりを受けメスがキロ千円台前半と堅調に推移している。
道東巻網のマイワシは、9月末までにTAC(25万608トン)の56%となる13万9655トンを漁獲した。ただ、50グラム台中心の小型組成に加え、大きな群れもなく、昨年同期と比べると9%下回っている。
散布、浜中両漁協の成コンブ漁が終盤を迎え、9月末までに昨年並みの操業日数を確保した。特に序盤の7月は天候とナギに恵まれナガを順調に採取。一方アツバは繁茂状況が芳しくなく苦戦を強いられている。
厚岸漁協のアサリが例年に比べ好値で推移している。水揚げも順調。かき・アサリ班の遠田城義班長は「コロナ禍以前のこの時期は平均単価がキロ400円台だが、今年の9月下旬は600円台と高い」と手応え。各漁家の漁場管理などが奏功し「全体的に水揚げも悪くない」と話す。