オホーツク管内の毛ガニかご漁は、主力の西部地区を中心に苦戦を強いられた。資源水準低下を受け許容漁獲量減枠の中での操業となったが、雄武漁協は達成率4割、沙留漁協も同6割の実績で7月下旬に漁を終えた。着業者は「ここまで厳しい年は経験がない」と口をそろえる。
オホーツク海南部の本操業は8単協(雄武、沙留、紋別、湧別、常呂、佐呂間、網走、西網走)合計で5万5000トンを水揚げした。7月末達成率は47%。沙留、西網走が5割超え。歩留まりは11~12%台と例年より低く、アソートは5S、4S中心。値決めはキロ140円台~120円台で推移している。
水産庁が7月31日に発表した2018年度の北西太平洋サンマ漁況予報によると、推定分布量が昨年より大幅に増加し、日本近海への漁期全体の来遊量は昨年を上回ると予想している。9月中旬までの漁期序盤は昨年並みに低調に推移するものの、9月下旬以降は昨年を上回る見通しを示している。組成も昨年より大型。漁場の沖合化傾向は変わらないが、半世紀ぶりの凶漁だった昨年より漁獲量の増加が期待される。
道東沖のマイワシ漁は今季、組成が不安定で小型傾向。昨年を上回る水揚量で推移しているが、大型主体だった昨年に比べ単価が大幅に下落、金額は伸び悩んでいる。
雄武漁協の天然コンブは、漁開始の7月上旬から大きなシケもなく順調な操業が続いている。着業者は「この後もナギが続き水揚げを積み重ねられたら」と期待する。他漁との兼業者が大半で例年盆前で終漁する着業者が多いという。
紋別漁協のマス定置でカラフトマスが昨年の3倍と順調だ。魚体は小型傾向だが「その方が漁は切れない」と着業者。ここ数年苦戦を強いられただけに、ピークとなる8月中旬の好漁を期待している。
シジミの資源回復を目指す北るもい漁協天塩支所は、大型種苗の試験生産に乗り出した。昨年7月に種苗生産を開始。中間飼育で1ミリ以上に成長した大型種苗をこのほどパンケ沼に移した。大型の種苗生産は珍しく、生産過程や成育状況の追跡調査、費用対効果などを検証していく。
根室湾中部漁協は7月から、地場産魚をPRする新たな取り組みを開始した。重量などの規格や魚種を限定せず、大場康之参事補が目利き・厳選した良質な魚に専用タグを装着、「今日の粋なやつ」として出荷する。「根室といえばサンマが有名だがカレイやソイなど他の魚にもスポットを当てたい」と幅広い魚種を「湾中印」で流通、消費地へ売り込んでいく。
総合食品卸・株式会社日本アクセス(東京都)は北海道と関東との定期便を革新し、両地域間の品ぞろえを強化している。独自の幹線ネットワークを稼働させることで、取引メーカーへのメリットを訴求。物流網の整備を強化した昨年度の定期便による売上げは11億6000万円、今年度は18億円台へと拡大を目指している。激化する食品卸の競争で一線を画すよう動き始めている。
枝幸町のオホーツク活魚(藤本信治社長)は7月中旬、札幌市の丸井今井札幌本店地下1階の鮮魚売り場に、親会社の藤本漁業部(猿払村漁協所属)が定置船「北隆丸」で漁獲した水産物を出荷した。定置船で獲れる魚種の豊富さや新鮮な魚のおいしさを伝えるのが狙い。鮮魚に加え、活魚も藤本社長自らが活魚車で運搬し、店舗に直送。売り場の鮮度感を演出、魚食拡大に一役買った。