オホーツク海沿岸の毛ガニ漁は、昨年より軟調の冷静な浜値形成で滑り出した。シケで開幕がずれ込み、流氷やイワシの死がいが操業に支障を来しているものの、水揚数量は雄武以北で比較的順調。組成は大中主体。今季の許容漁獲量は宗谷管内を主体に昨年比283トン増の1133トンと4年ぶりに千トン台の供給見通し。一方、消流はコロナ禍やロシア産の輸入動向など不透明要素も存在。特に昨年産の冷凍在庫が残った中サイズの取り扱いなどが焦点になる。
総務省が発表した2021年の家計調査によると、全国1世帯(2人以上)当たりのワカメの年間消費支出額は前年比11%減の1472円だった。購入量は同14%減の745グラムと11年連続の1キロ割れ。100グラム当たりの平均価格は同4%高の198円と3年連続で過去最高を更新した。国内流通は消費低迷と、三陸の減産傾向などを受けた高値が続く。
海外の大幅な需要回復に伴い、2021年度は輸出主体の展開となったホタテ玉冷。米国産の減少やオホーツク産の大型組成を背景に、輸出主導の高値相場が継続している。期末在庫は払底状態とみられ、相場高のまま22年度の新物シーズンに突入する見方が大勢を占めている。一方国内消費は、年明けの一時的な停滞にまん延防止等重点措置が重なり、量販店、外食産業とも足踏みしており、消費地では価格修正を望む声が強まってきた。
札幌市の合同会社まるひらマルニ商店(電話011・313・3723)は、2019年8月の創業以来、無添加・低温熟成乾燥の一夜干し(干物)をメインに道内量販店での催事販売、ネット通販などで業績を伸ばしている。今年は4月に道外百貨店の北海道物産展に初出店。6月には札幌市場場外市場エリアに直売店の2号店を構え、成長軌道へ挑んでいく。
広尾漁協の保志弘一さんは、着業するコンブ漁業の課題解決に向け奔走している。付加価値対策として製品化工程で発生する端切れ部分を利用して独自製品を開発したほか、人手不足解消のために地元の1次産業体験プログラムを通して陸回りを確保。生産力強化を図るため乾燥機も導入した。「何もしなければ衰退していく一方」と現状に危機感を持ち「持続可能なコンブ漁業に向け取り組んでいきたい」と力を込める。
羅臼漁協の濱田久吉うに漁業部会長、山倉勝司前部会長ら有志4人が試験的に取り組むバフンウニのかご養殖が徐々に軌道に乗ってきた。昨年は身入り良好で色も均一だったほか、生産量を前年の倍以上に伸ばした。
一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(FJ、宮城県石巻市、阿部勝太代表理事、電話0225・98・7071)は、漁業に特化した期間限定アルバイトの募集・派遣を行う新プロジェクト「TRITON JOB SPOT(トリトン・ジョブ・スポット)」を開始した。特定の浜に縛られない自由で柔軟な働き方を提案。繁忙期の人手不足解消を目指す。
むかわ町の有限会社丸中舛岡水産(舛岡博美社長、電話0145・42・2178)は、主力商材・シシャモの不漁高騰、コロナ禍など社会情勢を踏まえ、新たな商品開発で活路を探っている。昨年はレトルトの海鮮スープカレーなどに加え、異分野の和菓子を商品化。今年は量販店などの売り場に並ぶ総菜商品に力を入れて内食需要拡大の商機をつかんでいく。
メルカリグループの株式会社ソウゾウは7日、スマホでネットショップが開設できるEC(電子商取引)「メルカリShops」で、クール便をサイズ別全国一律価格で配送するサービス「クールメルカリ便」を開始した。クール便の一律料金は国内の主要ECでは初という。水産物の送料の壁を解消して流通や消費を促進。飲食店向けの需要が落ち込む水産事業者の新たな販路拡大を支援する。
サステイナブルな漁業のコンサルティングやPRブランディングを手掛ける株式会社UMITO Partners(東京都渋谷区)は、持続的な漁業を目指し資源管理やDX(デジタルトランスフォーメーション)に励む漁業者の商材を首都圏の飲食店へ紹介している。環境に配慮する漁業者・地域に関心が高い飲食店経営者に要望にあった商材を調達している。