3年連続2千万尾割れの低来遊となり、地域間格差も深刻化した昨年(2021年)の北海道の秋サケ。ただ、道総研さけます・内水面水産試験場の解析によると、18年級の3年魚が予測を大幅に上回ったほか、5年魚で回帰した16年級がオホーツクや根室・北部などで高齢化に転じ、資源回復へのサインが現れ、来季に向けて全道規模では光明も差した。
近年続いている主要魚種の水揚げ低迷、コロナ禍による需要の減少や魚価安に加え、道東を中心に赤潮被害に見舞われた昨年の北海道の水産業界。その被害回復をはじめ気候変動への対応、資源増大や消費拡大対策などが引き続き求められている。年頭に当たり、道水産林務部の佐藤卓也部長と、道漁連の川崎一好会長に展望を聞いた。
「北海道フーディスト」や「北海道うまいもの館」といった北海道の食品専門店を、首都圏中心に全国展開している北海道フードフロンティア株式会社(東京都、生熊康延社長)。コロナ禍ではテナント先の商業施設の休業・時短により、操業面で苦労を強いられた。その一方で、旅行の自粛もあり、道産品の販路拡大、全国展開を担う役割に、より期待が寄せられてきた。昨年からは生鮮品にも力を入れるなど魅力ある店作りに励んでいる。
非対面で24時間いつでも手軽に購入できる自動販売機。魚の消費や調理離れが叫ばれる若年層への訴求も兼ねて、その自動販売機で水産品の拡販に乗り出したのが、札幌市の水産加工卸・有限会社千葉水産(千葉信幸社長、電話011・784・2453)。商品は骨を取り除いた切り身「骨のない魚」。購入後すぐに料理に使え、手軽さは“2倍”。昨年8月の販売開始以来、予想以上の売れ行きを見せ、魚食拡大の新たな販売方法として手応えを得ている。
高砂熱学工業株式会社(東京都、小島和人社長)は漁業者との関係を強化している。同社が手掛ける過冷却完全制御方式の海水シャーベットアイス製造装置「SIS-HF」を導入した漁協などに対して技術面はもちろん、それで得られた水産品の販促面でも精力的なサポートに乗り出している。
水産物の関心を高めようと、ユーチューブで漁模様などを配信する漁業者が増えている。新星マリン漁協の指導漁業士・佐賀友三さんもその一人。留萌市などと連携しながら情報発信に力を入れている。昨年12月には、講師を務めカジカ調理を教えた市主催の食育体験教室も動画配信。安価魚の付加価値向上、魚食普及を目指し、各団体が協力し合っている。
特定の漁業者を応援する消費者の存在がコロナ禍で輝いた。漁業に関する記事の寄稿や講習などを手掛ける「さかなプロダクション」の代表でおさかなコーディネータのながさき一生(いっき)氏は「ファン(固定客)が付いている漁師はECサイトなどを介して減収を抑えることができた」と強調する。
北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの四ツ倉典滋准教授は、昆布加工大手のフジッコ株式会社(神戸市)と連携、共同施設で育種の研究を進めている。道内を中心に100産地以上の培養株を保存、交配・交雑を行い、高水温や貧栄養といった環境耐性に優れる株を選抜していくなど長期的な視点で技術開発に注力している。
北海道の秋サケは約4万8千トンと、3年連続の5万トン割れとなった。親、卵ともヒネ在庫の払底下、凶漁と競合する輸入鮭鱒の高値相場などで全道のキロ平均単価(11月末現在)は前年比2割高の788円に上昇し、水揚金額は3年ぶりに400億円を超えた。ただ、えりも以西を中心に特に太平洋側の来遊低迷が続き、浜間格差が一層深刻化。一方、消流は三陸の不振も相まって国産の品不足感が強まっているものの、価格上昇による消費鈍化や輸入鮭鱒の動向次第で停滞も懸念される。
マルハニチロ株式会社の池見賢社長は2日、東京・豊洲の本社で年末会見を行い、今年度の振り返りや中期経営計画の進ちょく状況、来年度の見通しについて語った。食品事業は想定以上に順調に推移するも、養殖や海外巻網事業に課題が残り、収支改善に向け立て直しが必要との認識を示した。来年度から始まる新中計では「企業価値をより高める」とし、現在策定中であることも明らかにした。