松前町茂草地区の土木建設企業・川合建設株式会社(川合寿美子社長)が手掛ける陸上養殖トラウト「北海桜サーモン」の試験販売が6月中旬から東京・豊洲市場で行われている。2回目の販売となった7月4日には初回に購入した仲卸業者から再注文が相次いだ。仕入れた仲卸業者は「身質が良く、他の仲卸もすでに顧客をつかんでいると聞いている」と話す。
秋サケの消流動向は、北海道の水揚げが3年連続の5万トン割れ、三陸も大減産で、親製品、魚卵製品とも昨年産の供給量が低水準。加えて競合する輸入物が高値で推移し、比較的順調に消化が進んでいる。ただ、売り場の縮小、産地の物流・背面処理能力の低下などで突発・集中水揚げ時に相場が下落に転じる状況が顕在化。今期も原魚処理体制の再構築と需要先の堅持・拡充が不可欠となる。
海外マーケットの大幅な需要回復に伴い、昨年から継続する輸出主導のホタテ玉冷。米国の減産や物価高、円安相場が大きく影響し海外需要がけん引する形で新物シーズンに突入した。製品価格は3Sの産地蔵前がキロ3千円台中盤から強含みの展開。このため国内消費は下降の一途をたどっている。量販店に加え、コロナ禍の収束感から動き始めた外食産業の引き合いも消極的。円安進行で「輸出主体やむなし」との見方はあるものの、消費地からは冷静な価格設定を望む声が強まっている。
2022年度の半成貝について、青森県漁連では昨年並みの水揚げを想定している。6月末で終漁したが、ネットの付着物が多く水揚げペースが遅れた漁協もあり7月も継続する見通し。これらを合わせた累計は5万5千トン程度となる見通しだ。浜値は初回入札から堅調に推移、最終5回目に200円を突破した。今後のベビー製品の消費動向が注目される。
留萌管内(増毛・新星マリン・北るもい・遠別漁協)で生産した今年の稚貝は、前年比28%増の12億5940万粒となった。近年では最高水準。昨年のような成長不良には至らず、契約粒数が増加したこともあり伸長した。一方、昨年の韓国向け活輸出は前年並みの5414トン。今年も堅調に推移している。
輸出主導の相場高で始まった今年の内販は、コロナ禍による「巣ごもり需要」が続きながらも、量販店では売価設定を上げざるを得ない現状に苦慮している。新物の取扱量を抑えながら、すし種や刺身商材で提案。品ぞろえとして確保するが、品質重視の観点から生玉を強化、メニュー提案型の訴求に力を入れる。札幌、首都圏の消費動向、今後の展開を聞いた。
加工貝の水揚げが一定程度回復した2021年度シーズンの噴火湾は、中国向けの冷凍両貝需要が昨年以上に強まった。このため最盛期の浜値はキロ300円台と堅調に推移。産地では両貝主体の加工にシフトし、ボイル生産は昨年より4割減の4千トン台とみられる。
21年度の原貝水揚量は前年度比18%増の5万6700トン。3季連続で増加した。浜値はキロ200円台で始まり、終盤は300円台に上昇。産地加工業者は「序盤から中国の引き合いが強く、中堅各社はボイル生産を減らし両貝主体にシフトした」と説明。コンテナ不足や中国・大連港のクローズで一時的に止まる場面もあったが、引き合いは最後まで続いた。
海の男の心情を歌った曲で知られる演歌歌手・鳥羽一郎さんの新曲のミュージックビデオ(MV)に、一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(FJ、宮城県石巻市、阿部勝太代表理事)が特別出演した。「カッコよく、稼げて、革新的」という「新3K」の新たな水産業のイメージを確立し、担い手を増やすことを目指すFJ。鳥羽さんがメンバーの心意気に感動し、共演が実現した。
新ひだか町東静内の老舗鮮魚店・高槻商店を営む株式会社銀鱗(堀田毅一社長、電話0146・44・2433)は、魚の基礎代謝を落として鮮度やうま味に関与する生体エネルギー源・ATP(アデノシン三リン酸)を回復・増強させる活魚蓄養の新技術を導入し、本州を中心に前浜産の販路を広げている。出荷時には魚に電気刺激の脱血処理を施し、魚が持つ価値を最大限引き出して提供。“活き”が長期間保たれ、素材にこだわる料理人の創作心をつかんでいる。
道総研さけます・内水面水産試験場は6月27日、今年の北海道の秋サケ来遊数予測値を昨年実績比10.1%増の2052万尾と発表した。予測通りの場合、4年ぶりの2千万尾超。沿岸漁獲量は重量ベースで5万トン台前半の低水準が続き、依然地域間格差も見込まれるが、3年連続の増加となり、来遊資源の回復基調が期待される。