埼玉大学大学院理工学研究科の西山佳孝教授の研究グループは、水産研究・教育機構水産技術研究所と共同で、有害赤潮プランクトンの活性酸素放出と光合成の関係を解明した。プランクトン「シャットネラ」が細胞外に大量に放出する活性酸素は、魚毒性と高い相関関係にあるとした。赤潮の魚毒性がどの条件で高くなったり低くなったりするかなど詳細は解明されていないが、魚毒性診断技術の確立に向け、今回の研究成果は重要な知見になるとしている。
宮城県漁協は、今季の県産生食用むき身カキの出荷を10月28日に開始する。県は指針で毎年9月29日を出荷解禁日としているが、高水温の影響で卵持ちが多く、成長が遅れていることから、生産者、買受人らと協議して決定した。県の指針より1カ月ほど遅く、去年より2日早い開始となる。県漁協によると、高水温の影響の調査を終えていないため、今季生産量の見通しは立てていないという。
増毛漁協でヒラメ刺網漁が始まった。序盤は3軒が着業し、1隻300キロ前後から多い船で1トンと好調な滑り出し。型も良く、5キロ発泡1箱で2~4尾が中心サイズ。浜値は高値がキロ800円と好値を付けている。
北海道の秋サケ定置網漁は近年最低ペースで10月後半戦に入った。9月下旬から全道の盛漁水準を支えてきた斜網地区は網走漁協が10月に入って昨年に比べて勢いが急減速の展開。太平洋、日本海が依然低水準から脱せず、オホーツクの中・西部も伸び悩んで全道の漁獲量は4万トン割れの見方も出てきており、挽回には羅臼中心に根室海峡、昨年漁が続いた斜網地区の漁況が鍵を握っている。
包装業界や容器・包装を使用する食品など各種業界は持続的な社会の実現に取り組んでいる。包装の役割である「中身を守る」という機能向上への技術開発とともに、プラスチック使用量の削減、容器・包装のリサイクル、CO2削減などを推進している。容器・包装のリサイクル推進に向け、単一の素材で製品を作るモノマテリアル化の推進、着色剤レス、脱墨技術の開発が行われるなど、素材循環に向けた取り組みが進みつつある。その上で、フードロス対策、賞味期限延長ニーズなど機能性も維持させる必要があり、以前にも増してバリア性を有する包装ニーズが拡大している。
厚岸漁協のカキ養殖は、厚岸湖内で育成した稚貝をホタテ原盤から外し、かご養殖に切り替える時期を迎えた。カキを削り取る作業が続く中、昨年ごろから湖内で大量発生している天然の稚貝の影響を受け、着業者は「原盤に稚貝が付着し、いつも以上に作業が大変」と苦労を口にする。
釧路管内5単協の成コンブ漁は、9月単月の採取日数が昨年同月比5日増の42日。ただ7月(27日減33日)、8月(2日減10日)がシケや天候不順で伸び悩み、7~9月の累計は昨年同期比24日減の85日となった。資源状況を考慮し釧路市東部、散布の両漁協が9月で終漁した。
オホーツク海沿岸の9月末ホタテ水揚量は、漁場造成を含め25万8463トンとなった。前年同期比3%減、全計画量に対する達成率は84%。枝幸、沙留が昨年を上回るペース、猿払が横ばいで推移している。北部の猿払村、枝幸、南部の紋別、常呂が3万トンを超えた。9月の歩留まりは大半が11%前後、組成は変わらず3S主体だが4S、5Sの割合が増えている。
散布漁協の養殖ウニは、8月末の大雨の影響で大量にへい死した。被害は個人差があるものの、全滅に近い着業者もいるため組合全体で大幅な減産となる見込み。ただ昨年導入したIoT海洋モニタリングシステム「うみログ」(株式会社アイエスイー)で塩分濃度を把握し、事前にかごを沈める大雨対策を講じており、永坂哲也うに養殖部会長は「うみログがなければ被害規模がさらに大きくなっていた可能性もある」と指摘する。
定置網や引網など漁業でも浸透しているYKKファスナー。福島県栽培漁業協会(相馬市)ではヒラメやアユの種苗放流で活用されている。船に積み込む防水生地製のいけすと、そのいけす内で稚魚を小分けにしているかごの開閉で使われている。開け閉めが従来の布地の面ファスナー式より簡単で、作業を手伝う漁業者の負担軽減につながっている。