むかわ町の有限会社丸中舛岡水産(舛岡博美社長、電話0145・42・2178)は、主力商材・シシャモの水揚げ不安定化をはじめ、ポストコロナ社会、物価高騰など魚食や経営をめぐる変化を踏まえた業務展開の道筋を探っている。一策が1次処理・2次処理の加工度で日常の食卓に上る商品形態。所有原料を生かし、ホッケを手始めに打ち出していく。
株式会社八戸フーズ(青森県八戸市、関川保幸社長、電話0178・45・7661)はサケ・マス類の加工に力を入れる。マレル社の小骨抜き機(ピンボーンリムーバー)を2月に導入。5月から岩手県大槌町産養殖ギンザケのトリムC出荷を新たに始める計画で、北海道産秋サケなども含めて年間取扱量は前年比10倍の500トンに達する見込みだ。圧倒的な精度と時間効率を誇る同機が事業拡大をサポートする。
東京都・豊洲市場の北海道産ミズダコ(足・皮むき済み)消流は販路がほぼ飲食店に集中している。昨年10月から年末にかけての高騰は落ち着いたものの、依然高値で推移し、量販店からの引き合いが乏しい。飲食店では端材になる先端や吸盤も「タコぶつ」などに調理し提供、ロス削減でコストの吸収に注力している。
いぶり中央漁協のかご漁が2日に始まり、主力のヤナギダコは11日現在で前年同期比43%増の16トンと伸びている。ただ着業者からは「タコは昨年に比べ若干多い。それほど多く獲れている実感はない」などと現状を捉えている声が複数上がった。一方のエビもナンバン、ボタンが前年を上回るペースで推移するが「全体的にエビは薄い」と話す着業者が多く、今後の増産に望みをつなぐ。
別海、厚岸、紋別の漁業関係者らが6次産業化を推進する「北海道フィッシャーマンズプロダクション(FIP)合同会社」を昨年11月に立ち上げた。現状では各自が扱う商品を新会社のECサイトで販売。「漁師による漁師のための会社」という理念を掲げ、将来的には他の漁業者との連携やSNS発信、マーケティングなど多岐にわたる分野でのコンサルティングを視野に入れている。
渡島噴火湾(長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部漁協)の加工貝出荷が最盛期に突入した。9日時点で長万部、落部、鹿部は日産200トン以上、八雲町は100トン前後の水揚げ。貝毒の影響で自主規制中の森、砂原は出荷制限がかかり各100トン前後に抑えている。全域で小型傾向のため重量が伸びず、へい死が進んだ浜も見られる状況。水揚量は徐々に増加するが、今季は減産見通しで高値キロ400円前後と強含みの展開だ。
道日本海沿岸漁業振興会議(運営委員長・大石康雄船泊漁協組合長)と道漁連(阿部国雄会長)は8、9の両日、道・道議会、水産庁、道選出国会議員に対し、国がTAC化を検討しているホッケ、マダラなどに対する漁業実態に即した資源管理の実施、トドなど海獣被害対策の強化、流木・漂着ごみの迅速な撤去体制の構築、洋上風力発電事業に伴う水産資源への影響調査の実施など4項目を要請した。
3月に始まった噴火湾のエビかご春漁が極度の不振に陥っている。昨秋に低水準ながら漁獲できた一角でも、1隻で日量10キロに満たない水揚げとなり、大半が1キロ未満~数キロと絶不調。浜値は薄漁のため高騰しているが、着業者は「諸経費すら補えない漁模様」と頭を抱えている。
新型コロナウイルスの感染状況が落ち着きを見せ徐々に人の動きが戻る中、観光地や商店街で商いをする昆布専門店は、人出の中心となる若者や外国人観光客を意識した商品展開に加え、だしの提供も行うなど昆布食文化の発信に努めている。
水産庁は、寿都町(対象漁港は寿都漁港)や岩手県大槌町(吉里吉里漁港)など全国12件の海業(うみぎょう)振興モデル地区を選定した。漁村の人口減少や高齢化など地域の活力が低下する中、地域の賑わいや所得と雇用を生み出していく必要がある。豊かな自然や漁村ならではの地域資源の価値や魅力を活用して所得機会の増大を図る海業振興の先行事例を創出して広く普及を図り、漁村の活力を向上させることを狙いとする。