15日に開幕したオホーツク海沿岸の毛ガニ漁は、昨年より安値基調で推移している。出足の水揚げは流氷など操業の支障はなく、沙留以北で比較的順調。今季の許容漁獲量は3年ぶりの減枠で昨年に比べて最大183トン減。着業者は許容量達成と浜値浮上を切望している。一方、千トン割れの供給量に対し、消流環境は3年に及ぶコロナ禍からの社会経済活動の正常化が好材料に期待されるものの、中サイズを主体に越年在庫が残存。値崩れなどの警戒感で冷凍需要はリスク回避の停滞感を抱えている。
青森県陸奥湾の2023年度水揚げ計画は、当初見込みで前年度実績比約22%減の5万6千トンと試算している。主力の半成貝は同38%減の3万5千トンと大幅に減産する見通し。一方で成貝は約4割増の2万1千トンと見込むが、県漁連では「下方修正する可能性もある」としている。昨年は親貝不足や水温など海況変化に伴いラーバ発生量が減少。稚貝を十分に確保できず減産計画となった。
えさん漁協の養殖コンブは、株密度を調整し生育を促す間引き作業が進んでいる。これまでシケ被害はなく、生育状況は促成マコンブでおおむね順調な一方、ミツイシは地区でばらつきがあり、補殖(予備のコンブ)を活用した着業者もいる。
上磯郡漁協のニシン漁は今年も好調な水揚げが続いた。小定置や底建網、刺網など各漁法で漁獲、上磯地区中心に隣の茂辺地地区などでも漁がまとまった。魚価対策で雌雄選別出荷にも取り組みメスは好値を付けた。上磯地区の着業者によると獲れだしたのは1月に入ってから。12月下旬だった昨シーズンに比べ若干遅れて始まった。「2月をピークに漁が続き、多いときで10トン以上を水揚げ。他の商売との兼ね合いで3月頭に切り上げたが最終日でも7、8トン獲れた。トータルの数量は最多だった昨年を下回るが今年もそれに次ぐ漁模様だった」と笑顔。魚体は「終漁間際になんぼかこまくなった」と話す。
3月上旬に始まった湧別漁協のニシン刺網が今年も順調なスタートを切った。序盤は多い着業者で日量1トン以上。サイズも大主体と良型が占めている。ただ中旬ごろから100キロ台~500キロ前後に減速する展開となった。ここ数年好漁が続き着業軒数が増えたことから外海にしん部会が今年発足。古谷之聖(ゆきまさ)部会長は「調整を図りながら増加した資源を絶やさないよう獲っていきたい」と話す。
苫小牧漁協の冬ホッキ漁は、シケ早い海況に見舞われ操業回数が伸び悩む中でも潤沢な資源量を受け順調な水揚げ状況で推移している。冬ホッキ部会の小堤昌樹船団長は「3月中旬はシケが多発している。水揚げは順調だが、現状の出漁ペースを考慮すると、全体のノルマ達成は4月中旬過ぎになる」と見通す。
東京電力福島第一原発事故に伴う風評を払拭しようと、復興庁は18日、福島県いわき市の久之浜公民館で「常磐もの」の魅力や安全性を発信するイベントを開いた。県外から訪れた親子連れが福島の海の現状や放射性物質の測定方法を学んだり、メバルの調理や実食を体験したりしながら、県沖で水揚げされる水産物への理解を深めた。
大日本水産会は20日に記者会見を開き、海外の学者が実施した公海漁業の禁止を求める請願に対するICFA(国際水産団体連合)の反対声明を全面的に支持すると明言した。内海和彦専務は「食料安全保障の観点からも公海漁業は禁止すべきではない」と強調。「資源が厳しい中で公海漁業を禁止すると水産物供給が滞り問題が生じる。適切に管理したうえで対象地域の資源を利用していくべき」と説明した。
ニチモウ株式会社と九州電力株式会社、西日本プラント工業株式会社、株式会社井戸内サーモンファームが共同出資する「フィッシュファームみらい合同会社」が、九州電力の豊前発電所(福岡県豊前市)敷地内に昨年2月から建設していたサーモン陸上養殖場が完成し、20日に稚魚の池入れを開始した。初出荷は今年7月頃を予定する。
東京都・豊洲市場の北海道産マガレイの消流は例年通り気温の上昇で引き合いが減っている。さらに子持ちがなく、煮魚需要の先細りを強めている。仲卸業者は「4~5月に子持ちが出てくるので、それまでは売りにくい」と話す。別の仲卸業者も「注文分でしか扱わない」と入荷に慎重だ。