白糠漁協の定置漁業者、田森栄輝さんが代表を務める龍宝丸水産は、昨年11月で加工販売に取り組み10年の節目を迎えた。低利用魚の付加価値向上をコンセプトに製品づくりに注力。これまで原料高やコロナ禍による消費減退など困難にも直面したが、その都度ヒット商品を生み出すなどして苦境を打開。田森さんは「10年でやっと形になり向かうべき方向が明確になった」と強調。白糠産の認知度向上や魚食文化の継承も念頭に置き次の10年を見据えている。
総務省の全国家計調査によると、昨年1年間の1世帯(2人以上)当たりホタテ年間購入量は前年比29%減の398グラムとなり、2年連続で減少した。支出額は同16%減の1033円、100グラム当たりの平均価格は同18%高の260円。円安基調を背景に海外需要が拡大し、平均価格は過去最高となった。国内での消費は大幅に減速している。
利尻富士町は利尻漁協鴛泊地区の昆布養殖部会と連携し今年も「利尻昆布株主(オーナー制度)事業」を実施する。初めて行った昨年の好評を受け今年は株数を増やして募集。漁業者との交流を通した利尻昆布ファンの増加と魅力アップに努め、付加価値向上と消費拡大につなげていく。
青森県青森市に本社を構える鮮魚卸の株式会社さ印さんりく(阿部久会長)は2月以降、岩内郡漁協市場での仕入れを強化している。昨年10月に市場の買参権を取得。底建網で獲れるホッケ、マダラを主体に入札し、同社参入前の前年同期を大きく上回る価格を付ける。ホッケはキロ40円程度と倍以上の高値で仕入れ、本州の顧客先に流通させている。
日高西部海域(門別~冬島)の毛ガニ漁は水揚げが低調に推移している。許容漁獲量自体が3年連続の減枠で、昨年比2割強減の過去最低。着業者は出漁間隔を空けて操業効率を高めるなど苦心している。薄漁を映し、浜値は昨年より高値に付いているものの、餌代や燃油代などのコストが重く「採算が合わない」と口をそろえ、資源回復を切望している。
増毛漁協のミズダコがキロ千円台前半と堅調だ。昨年から高値を形成し、今年も強含みの傾向を示している。一方、水揚量は1月に空釣縄が好漁したもののタコ箱が苦戦。漁法や漁場間で水揚げに格差が見られ、着業者は安定した漁模様に期待を込めている。
東京都の豊洲市場で、日本海ニシン(オス・メス込み)の卸値が堅調だ。キロ250円以上をキープし、昨年より100円ほど高値水準。例年は小樽・石狩産の入荷で値崩れする流れだが、今年は昨年末ごろから道東産が品薄高値で推移した影響で好スタート。荷受は「量販店は『荷があるうちに』と仕入れの手を緩めずにいる」と話す。
食品卸大手の国分グループ本社株式会社は、高速凍結機の製造・販売を行う株式会社ゼロカラ(横浜市)と業務提携した。拡大する冷凍食品市場に対応し、冷凍解凍技術を活用したイノベーションの創造と新たなビジネスモデル構築を進める。ゼロカラは2017年設立のベンチャー。液冷方式の高速凍結機を使うことで、コロナ禍で売り上げが落ちた外食チェーンに外販などを提案したり、仕出し弁当工場の人手不足対策を提案するなど、コンサルタント業務も手がけている。
根室市とねむろ水産物普及推進協議会は19、20の2日間、東京都の新宿駅西口地下イベントスペースで「北海道根室まるごとフェア2023」を開催した。水産品を中心とした特産品の対面販売や、「鮭の聖地」の物語の紹介、同市で見られる生き物のはく製展示、観光体験動画の上映などを実施。国内最大規模の利用客を数える新宿駅で、市をまるごと堪能できるイベントを繰り広げた。フェアのタイトルには「世界が誇る『根室の自然・歴史・食』に魅せられる」と冠し、“オール根室”でプロモーションに臨んだ。物販コーナーでは市内の水産会社など10社が直接ブースを構えたほか、6社が主催者に委託して商品を販売。計16社140品にも上るアイテムが一堂に会した。
昨年8月に札幌市中央卸売市場隣のさっぽろ朝市内に開業した天然鮭鱒専門店の鮭蔵(電話011・727・2727)=写真。ロシア・カムチャツカ半島から仕入れた沖獲りのベニサケ、シロザケ(トキサケ)を主力に、「氷蔵藁(わら)製法」と「ふっくら製法」の二通りの独自製法で加工を施した塩蔵品などを提供。個人消費の二極化に対し、隙間市場の開拓・獲得に挑んでいる。