礼文島・船泊漁協の俵静夫さん(87)は、鎌刈り専門で天然コンブを採取する。海底をのぞいて実入りの良いコンブを選び、根元からきれいに刈り採る。操業後には鎌を欠かさず研ぎ切れ味を維持。「良い水揚げをするには手入れは重要」と強調。若いときから漁具とともに腕にも磨きをかけ、等級比率の高い生産を続けている。
南かやべ漁協大船地区の高谷大喜理事は今年春から、株式会社サン・シャインラグレス(宮崎県、電話0984・37・1906)のフジツボ船底付着防止剤「マリンシールド」を導入した。塗料に混ぜて船底に塗布。「フジツボの付着を抑えることで船速が落ちず燃費向上につながる」と効果に期待を寄せる。マリンシールドは天然素材(天石)を使ったパウダー状の混和剤。イオン効果によりフジツボやイガイの着床を防止、船舶の推進力やスピードが保たれ、燃料費や除去にかかる作業費などの削減につながることが利点。
いぶり噴火湾漁協のウニたも採漁は、序盤からむき身、殻付きとも高値で推移し8月末でほぼ終漁した。主体となるキタムラサキは昨年を下回る数量となったが、金額は2~3割増加。浜値はむき身のエゾバフンがキロ1万9千円前後、キタムラサキが1万3千円前後まで上昇した。
沙留漁協青年部(山田煕寿部長、部員22人)は海藻が繁茂してない場所に生息する痩せウニ(エゾバフン)の陸上蓄養に乗り出した。前浜資源の有効活用、磯焼けの抑制を念頭に、コンブを給餌し、身入りを改善。今年は試験段階で、来年から本格的に取り組んでいく。
水産庁は8月31日、2023年度水産予算の概算要求総額を2604億円と発表した。前年度要求額の2602億円と同水準に設定。3月に改定された水産基本計画の着実な実行を図り、持続性のある水産業の成長産業化と漁村の活性化を実現させる。
釧路市の株式会社カネイチ丸橋(橋川龍一社長、電話0154・65・1405)は今年から新たに生珍味の製造販売に乗り出した。釧路産マイワシの食用利用の拡大で、ニシンとミックスした「いわしとにしんの切り込み」=写真=を開発したのが端緒。サーモンや貝類の素材も加えて商品アイテムを充実している。
東京・豊洲市場の折詰ウニ消流は北海道産は入荷量が伸び悩んでいる。大雨被害やシケ絡みで出漁回数が限られ、品薄高値で推移。また、10月1日に漁が解禁する北方四島産に対し、荷受・仲卸業者らは「ロシア側は春にかなりの数量を出荷していたため、枠を圧迫したのでは。秋からの供給状況が気がかり」と注視している。
写真素材販売サイトを運営するピクスタ株式会社(東京都渋谷区、古俣大介社長)は、変革に挑む三陸の水産業にスポットを当てた写真の取り扱いを始めた。一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(FJ、宮城県石巻市、阿部勝太代表理事)との共同プロジェクトで、漁業者の息遣いや水揚げの迫力が伝わるカットを厳選。ホームページや出版物に載せる素材を求める企業などから注目を集めている。
本州のトップを切って岩手県大船渡市魚市場に8月27日、今年初となるサンマ約3トンが水揚げされた。昨年の初水揚げと比べ9割減で、2001年以降で最少。燃料代が高騰する中、大きさも例年より小ぶりで、漁業者の顔色はさえなかった。
小樽市漁協のウニ漁が8月31日で終漁した。今年は数量が落ち込んだものの、引き合いが強く高値市況を形成。終盤の水揚額は昨年同期を約2割上回った。一方で着業者からは「全般的に身入りが芳しくない」「決して資源状況がいいとは言えない。今後に不安もある」などといった資源状況を心配する声も出ている。