高水温やホッケ食害が原因とみられる促成種苗の芽落ち・損傷が発生した南かやべ漁協で復旧作業が進んでいる。余分に残していた種を差し直したほか、移植を始めた着業者も。15日には種苗センターで新たに生産した種が希望者に分配された。着業者は「可能な限り回復させたい」と前を向く。
昨年12月中旬に高波による被害を受けた羅臼漁協。コンブ関係では番屋や乾燥施設が倒壊・損傷したほか、船も横転・破損するなどした。養殖施設は流氷対策で沈下しており、詳細把握は春の施設浮上後となる見通し。
被害は12月下旬現在の漁協まとめで建物44件を中心に漁船、ホタテ施設など多岐にわたり計56件。このうちコンブ関係は番屋や乾燥施設、倉庫といった建物の被害が33件で、全壊した番屋も。前浜などに陸揚げしていた船外機船も波で横転、破損するなどした。
南かやべ漁協大船地区青年部オーナー会(高谷恵太会長)が取り組むコンブオーナー制。道内漁業オーナー制の先駆けとしてスタートし15年余り。高級銘柄「白口浜真昆布(促成)」が小売価格より安く手に入るため、全国から応募が寄せられ高いリピート率を誇る。ただ、ピーク時に比べオーナー数が減っているのが現状で、高谷会長は「新規獲得に向けた周知・PR不足が課題」と話す。
北海道のコンブは減産傾向が続き、近年は低水準で推移している。道水産物検査協会の格付実績によると、2020年度は11月末現在の累計で前年同期比9トン増の1万64トン。3月末の最終実績でも過去最低だった前年度並みとなる見通し。管内別で宗谷やオホーツクが増産の一方、道東が苦戦。根室の格付けは過去最低実績だった2011年度を下回る可能性もあるという。
促成種苗の損傷・芽落ちが広範囲に及んでいる道南白口浜。道総研函館水産試験場が鹿部・大船両地区で実施した調査によると、高水温の影響で早期沖出しした種苗中心に生育が悪く、ヒドロゾア類(通称、毛)なども多数付着して退色・芽落ち。さらに、ホッケが種苗糸に付く小型生物(ヨコエビ類など)を摂餌し、種苗の損傷など被害を招いた可能性が高いとした。
道南白口浜で、養成綱に挟み込んだ促成の種苗が芽落ち・損傷する被害が出ている。主にホッケの食害とみられ、同様の被害を受けた一昨年より規模が大きい模様。高水温による生育不良も重なり、全滅に近い施設もあるという。種苗の差し直しや、成長後の移植で回復を目指すが「完全復旧は難しい」と厳しい見通しを示す着業者もいる。
歯舞漁協のロングセラー商品「はぼまい昆布しょうゆ」が今年、1990年の販売開始から節目となる30年を迎えた。誕生当時は漁協による商品開発が珍しい時代。地道な営業活動に加え、テレビCMや地域団体商標を取得するなどし、今では全国区のブランドとして存在感を発揮している。
利尻・礼文両島の養殖業者は種コンブの巻き付けを進めている。種の再生状況は地区間でばらつきがあり、鴛泊や沓形が良好な一方、仙法志は芳しくなく他地区からの供給分で補てんした漁家も。例年に比べ種が小さめという地区もある。
コロナ禍で業務筋中心に昆布消費が冷え込む中、催事関係も試飲・試食の禁止や開催自体が中止になるなど販売に苦慮している。各物産展を回る昆布業者は「味をイメージしやすい」新商品や割安なだし昆布を提案するなどして訴求。また、卸やオンライン販売も強化し催事の売上減少をカバー、販売戦略を練り直し奮闘している。
「都こんぶ」をはじめ各種菓子昆布を製造販売する中野物産(株)(大阪府堺市、中野盛正社長、電話072・241・9505)はこのほど、道産昆布を使った「そこそこソフトなおやつこんぶ」を発売した。適度に軟らかい食感が特長で、昆布と相性の良いかつお風味を加えた味わい。全国のコンビニやスーパーなどで購入できる。