ひやま漁協江差支所の江差サーモン部会は冬場の海水温低下など環境の変化に対応しながらトラウトサーモン(ニジマス)海面養殖に取り組んでいる。4期目の今年度は養殖いけすと種苗の数を倍増。昨年11月に江差港内の直径20メートル、深さ3メートルの大型円型いけす2基に、八雲町熊石から搬入した幼魚1万尾を投入した。給餌作業は部会員11人が3班に分かれ、2日交代で実施。基本的に一日2回、1基(5千尾)当たり1回50キロの餌を与えている。
函館の新たな特産品へ-。函館市漁協の函館サーモン養殖部会が手掛けるトラウトサーモン海面養殖試験が5期目を迎えている。従来の漁港内に加えて今期から外海養殖にも着手し生産規模を拡大、昨期実績(約30トン)を大幅に上回る130~150トンの水揚げを目指し飼育を進めている。オリジナルの餌も開発し品質向上を図る。また、市内にある多目的大型施設のネーミングライツ(命名権)を取得。回転ずしチェーン「くら寿司」とも連携し知名度向上にも注力。松川雅樹部会長は「函館サーモンのブランド価値をより高めていきたい」と力を込める。
ひやま漁協熊石支所の合同会社二海サーモン(高橋聖治代表)が取り組むトラウトサーモン(ニジマス)の海面養殖は例年以上に水温の急激な変化やマイワシの大群来遊などの対策に注力しながら、5月末の水揚げに向けて重量アップを図っている。
秋サケの来遊急減を踏まえ、安定的な増殖事業を推進する中期的方針の策定に向け、道水産林務部は、全道の増殖事業団体や試験研究機関などで構成する「持続可能なさけ増殖事業検討会」を立ち上げた。適切な放流規模など各地域の増殖事業の最適化、親魚の安定確保対策、資源の回復・安定化対策などの検討を進めて方向を見いだす。検討会は全道さけます増殖事業10団体、水産研究・教育機構水産資源研究所、道総研さけます・内水面水産試験北場、北海道定置漁業協会、道水産林務部漁業管理課で構成。2026年度中に4回程度開催し、検討結果は2027年度から5カ年を推進期間とする「北海道さけ・ます人工ふ化放流計画中期策定方針」に反映していく方針。
増殖技術の向上で右肩上がりとなった起点の50年前まで来遊資源が後退した北海道の秋サケ。今年もさらに厳しい状況が想定される中、道総研さけます・内水面水産試験場は海水温の上昇や海流の変化に伴う稚魚放流適期の変化や餌環境の悪化を要因に指摘。水産研究・教育機構の沿岸水温予測システムを活用した大型種苗の適期放流の推進と合わせて環境変化に耐えうる種苗生産技術の開発・確立に取り組んでいく対応策を示した。
北海道の秋サケ定置は、昨年の3割強にとどまり、1980年の統計開始以来最低の漁獲量となった。魚価は急騰したものの補えず、漁獲額は250億円と2019年以来の300億円割れ。定置や漁協の経営、増殖事業の運営、加工業者の稼動を直撃し、今後、北海道水産業の構造変革に迫られる危機感も覚える非常事態。消流面も供給不足と空前の高値形成で輸入物や他商材が需要先浸食に拍車をかけて秋サケ製品の売り場消失が懸念され、道漁連は売り場死守に向けた流通対策事業の取り組みを加速させる。
岩手県の久慈市漁協が久慈湾で養殖する「久慈育ち琥珀(こはく)サーモン」が、生産増強へ順調なスタートを切っている。事業化5年目の今季、既存のものより大型のいけすを新たに2基増やし計10基体制でギンザケとトラウトサーモンを生産。全国的なサーモン需要の高まりの中、一層の増産体制が整った。特にギンザケに注力し、昨季実績の43%増となる千トンの水揚げを計画。トラウトは60トンの生産を目指す。
釧路市内4漁協や釧路市などで組織する釧路市養殖事業調査研究協議会やニチモウ株式会社、株式会社マルサ笹谷商店などが釧路港で取り組むトラウトサーモン海面養殖試験は、11月27日に今期の水揚げが終了した。最終日は約2.6トン(1290尾、平均体重約2キロ)を生産。同協議会の市原義久会長は「海水温が高い時期もあったが、無事に水揚げされ、来年につながる成果が得られて良かった」と話す。
NPO法人雄武町観光協会は、町内では秋の味覚として食べる家庭が多い秋サケの内臓にスポットを当てた「地元グルメ」で観光振興に取り組んでいる。「鮭キモグルメ」と銘打って地元の加工業者や飲食店、ホテルなどの協力を得て、心臓や胃袋、白子を使った商品、メニューを創出。町のふるさと納税返礼品、地元や近隣、札幌市でのイベント販売に加え、旅行商品の体験プランにも盛り込んでまちの魅力に昇華、発信している。
枝幸町の株式会社オホーツク活魚(藤本信治社長、電話0163・62・4553)は今季に合わせて流通加工段階(CoC)認証Ver2.0を取得した水産エコラベル「マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)」の認証ロゴマークを付けた秋サケの商品展開に乗り出している。厳選した生鮮ラウンドをはじめ、切り身個包装やレンジ調理品、いくらなどの加工品を自社のネット通販主体に販売。環境や資源に配慮した定置網漁業への消費者理解や宗谷産のブランディングにつなげていく。