いぶり中央漁協の自営春定置は登別と虎杖浜の両地区で2カ統が操業。今季はトキサケが大きく増産した一方、サクラマスなどが減産。金額はサクラマスや青マスが高値で推移し、全体では昨年をやや上回っている。付加価値向上策で今年初めてトキサケとサクラマスを中心に船上活じめ(えら切り処理)に取り組んでいる。
苫小牧市に工場を構えるスモークサーモンメーカー・王子サーモン株式会社(東京都、安田敬秀社長)の子会社・王子サーモンロード株式会社(今井尚隆社長)は昨年10月から上川町で手掛ける養殖トラウトサーモン(ニジマス)「北海道大雪サーモン」の販売を本格化している。通年の出荷体制で回転ずしをはじめ、百貨店・量販店、鮮魚店など多岐にわたって需要先を獲得。今年度は初年度から倍増の70~80トンの水揚げを見込んでいる。
2024年産の北海道産秋サケ製品の消流状況は、水揚げの減少などで生産量が大幅減産となったものの、親製品は年間供給商材のコストが上昇、魚卵製品の単価も超高値を形成している。一方、チリ産ギンザケなど競合する輸入鮭鱒や、米国・ロシアが昨年不漁で冷凍卵の搬入が少ないマス子も高値推移。今年も近年にない低水準の来遊予測通りになれば秋サケ製品の単価高が見込まれるが、サケ全体の国内消費量に陰りが見え、サケ離れの回避、売り場の確保・維持などが引き続き課題となる。
東京都・豊洲市場のいくら消流は供給量がタイトで仲卸は仕入れに苦しんでいる。2023年、24年と北海道の秋サケ水揚げが大幅に減少し、生産量が低水準となったのが要因。卸値も塩の良品が築地時代の倍値に高騰。各仲卸の在庫は8月前半には払底になる見込みで新物供給を切望している。
後志管内の岩内町が取り組むトラウトサーモン(ニジマス)の海面養殖試験は、6月2~6日の4日間で3期目の水揚げを実施した。水揚数量は8020尾、総重量17.8トン。1尾当たりの平均体重2.22キロ、生残率74%だった。札幌市の卸売業者に出荷。一部は町内の加工業者、札幌市の卸売業者を通じ町内の飲食店やスーパーなどで販売した。
浦河町と日高中央漁協で構成する「浦河町栽培漁業研究会」は1日、海面養殖試験で育成したトラウトサーモン(ニジマス)を初水揚げした。生残率は9割近く、平均目廻りも2キロと目標に達し、初年度は好実績を挙げた。関係者は「希望が持てる結果」と受け止め、今後改良点などを検討し、2年目の取り組みに反映していく。
道総研さけます・内水面水産試験場は23日、今年の北海道の秋サケ来遊予測値を昨年実績比35.5%減の1141万1千尾と発表した。予測通りの場合、3年連続の大幅減となり、昭和50年代前半の来遊数まで退化する極度の低水準。近年の小型傾向から沿岸漁獲量は3万トン割れも想定され、定置漁業経営をはじめ秋サケの加工・流通に影響は甚大。併せて種卵確保でも全道の充足率が87%にとどまった昨年に引き続き深刻な状況が懸念される。
泊村と古宇郡漁協が海面養殖に取り組むトラウトサーモン(ニジマス)「北海道とまりカブトサーモン」の水揚げが9日から始まり、19日まで7回に分けて実施した。1尾の平均体重は2キロ以上に達するなど順調に成長。生残率約85%と前年を上回り、水揚数量は1万尾以上となった。
一日の水揚数量は2000~2500尾。古宇郡漁協魚類養殖部会の漁業者約20人が2班に分かれ、各日10人ほどで水揚げ作業を実施した。
浦河町と日高中央漁協が連携して取り組むトラウトサーモン(ニジマス)の海面養殖試験は魚が順調に成育している。3日現在のへい死数約160尾、へい死率8%。町の担当者は「5月に入って水温が上がってきてから成長が伸び、5月中ごろの測定調査では1尾2キロ以上もいた」とし、6月末頃予定の水揚げの好実績に期待を寄せている。
日高管内の春定置はトキサケ(トキシラズ)が好調に推移している。道漁連日高支店の集計(概算値)によると、2日までの累計で前年同期比8倍の63.9トンと大幅に増産。一方、本マス(サクラマス)は45.6%減の158.3トン、青マス(カラフトマス)は98%減の6.9トンにとどまっている。