日本周辺海域では近年、地球温暖化に伴う海水温の上昇などで回遊性魚類の分布域や回遊範囲の変化が加速し、各地域で新たな漁獲資源への対応に迫られている。2024年9月には北海道渡島地区で定置網にカツオが急に例年にない規模で乗網し、生産者や流通業者らが温度管理の徹底など鮮度・品質維持に力を注いだ。3~4キロの大型魚で脂の乗りが良好だったこともあって道内外の飲食店需要などを獲得し、一部はキロ4千~3千円の高値を実現した。24年に扱った道内外の流通筋から「今年も獲れればぜひ仕入れたい」との声が出ている。
漁業情報サービスセンター(JAFIC)は6月25日、東京都内で2025年度の定時総会を開催し、高精度な情報の継続的提供による漁業現場への貢献を事業方針などとする全議案を承認した。情報収集体制の強化や新たな情報サービスの開発にも取り組む。任期満了による役員の改選では、黒萩真悟会長や越智洋介専務理事らを再任、常務理事には事業統括部長や生産管理部長を務めた藤田真氏が就任した。黒萩会長は冒頭あいさつで「海洋環境の変化が著しく、ますます当センターの役割が重要になっている」と強調。「都道府県会員を取り巻く情勢の変化を捉え、今後のあり方の検討会など開催していきたい。会員からの新たなニーズに応えながら、より迅速で正確な情報提供に取り組む」と呼び掛けた。
1日付で就任した水産庁の藤田仁司長官と信夫隆生次長、高橋広道漁政部長、福島一増殖推進部長らは同日会見し、今後の方針や抱負を語った。激変する漁業環境にあって課題が山積する中での新体制スタート。「変化に対応する漁業者へのサポート、漁業従事者の待遇を改善したい」などと述べ、業界全体が明るい展望が持てるよう、各施策に取り組むことを決意した。
東京・豊洲市場で23日、北海道噴火湾産毛ガニの取引が始まった。1尾600グラムで卸値がキロ1万8千円の高値で始まり、一部の仲卸は仕入れを断念。毛ガニは全体の相場が上昇しているため、夏のギフト需要が低迷し、飲食店のコース料理など客単価の高い販路に流れている。
「TOSPACK」シリーズで知られる真空包装機国内最大手の株式会社TOSEI(東京都品川区)は、食品機械・技術の展示商談会「FOOMA JAPAN 2025」(東京ビッグサイト、10~13日)に出展した。さまざまなタイプの真空包装機を展示し、実演を繰り返しながら品質や作業効率の高さを示した。新基軸となる密着真空包装や、驚きの洗浄効果を引き出すランドリーシステムも紹介し、食品製造現場のあらゆる解決策を詰め込んだブースを展開した。
水産研究・教育機構の開発調査センターは、不漁対策の一環として、大型サンマ漁船によるアカイカ釣の兼業試験を実施した。漁獲量の面では兼業は可能であると見込まれ、今後採算性について評価していく。
エア・ウォーター・ラボアンドフーズ株式会社キュー・アンド・シー事業部(札幌市)は、水産加工など食品関連事業者の衛生管理に関する従業員教育をサポートする動画配信サービスを展開している。40年余りにわたって培ってきた食品衛生に関する知識を落とし込んだ教材動画を提供。従業員に効率良く食品衛生の重要点を教育、理解度を統一化し、定着・高度化を目指す製造現場をバックアップ。利用企業からは「分かりやすい」「説明のテンポが聞きやすい」など評判を呼んでいる。
スモークサーモンや魚卵のたらこ・いくらなど非加熱で食べられるRTE(レディートゥイート)食品に潜む食中毒発生のリスク菌として近年警戒が強まっているリステリア・モノサイトゲネス(以下「リステリア」)。株式会社札幌市中央卸売市場食品衛生検査センター(電話011・618・2263)の水嶋好清社長に特徴やリスク、加工業者の対応状況、予防対策などを聞いた。
全漁連は19日、東京都内で通常総会を開き、2024年度事業報告と25年度事業計画など全議案を承認した。2年目となる第7期中期経営計画(24~28年度)を着実に取り組み、状況を注視しながら漁業者が安心して操業できる環境づくりに努めていくことなどを共有した。任期満了に伴う役員改選では坂本雅信会長の再任を決めた。開会に先立ち、坂本会長は中国の輸入規制の全面解除を引き続き求めていくことや環境に対応する漁業の構築、インフレ時代の魚の付加価値向上などの課題を挙げ「国へお願いを求めるとともに、われわれ漁業者自身が変わっていく自己改革の姿勢で困難に対応していかなければならない」と呼び掛けた。
東京都・豊洲市場のアマダイ消流は秋田県産の釣物がうろこ焼き商材の需要を取り込んで高値安定。3.6キロ10尾入りでキロ3500円。すし店でも天ぷら商材として利用価値が見直されて、以前から引き合いがある洋食店と併せて活用の場は広がっている。