斜里第一漁協所属の定置業者・有限会社北洋共同漁業部(代表・伊藤正吉漁協理事)は今年からコンブ養殖の事業化に挑戦している。主力・サケマスの資源動向を見据え、新たな漁業資源・経営基盤の確立とともに、魚の産卵場やすみか、放流稚魚の隠れ場となる藻場の回復・造成を目指すプロジェクト。初年の実証試験はヨコエビの食害や波浪によるコンブの流出などが生じ、商業利用まで完全に育成できなかったが、要因を分析、改善策を見いだし、次年に臨んでいく。
静内農業高校食品科学科の生徒が食材利用が乏しいカスべやソイ、カジカなど新ひだか町前浜産を使って考案したから揚げなどの料理が地元の飲食店や宿泊施設で提供され、好評を得ている。地場産の魚食普及、高付加価値化で漁業所得の向上につなげるとともに、観光客などの呼び水となる新たな食の創出で地域経済の活性化を狙っている。町や同校、ひだか漁協などで組織し、地場資源を活用した特産品開発などを進める「新ひだか町静農ブランド開発促進プロジェクト」と、漁港を核とした漁業・漁村の振興や水産物の消費拡大に取り組む「三石地域マリンビジョン協議会」が共同企画した。
昨年に続き大幅な減産となる青森県陸奥湾の半成貝は、終盤戦の6月中旬から水揚げが本格化した。目立ったへい死は見られないが、成長不足に伴い小型傾向。計画量に地域差はあるものの達成できる漁協は少ない見通し。今年の稚貝確保も厳しい状況の中、陸奥湾養殖の今後を案ずる漁業者は少なくない。県漁連まとめの半成貝計画量は前年実績比44%減の9460トン。昨年の高水温に伴う大量へい死や成長不足の影響で大幅に落ち込む。県漁連では「計画を下回る可能性もある」と厳しい見立て。現在の規定殻長は6.5センチ以上としている。
歯舞漁協(小倉啓一組合長)は、全国各地で藻場の再生・造成事業に取り組む日本製鉄株式会社と連携、コンブ資源の安定化と品質改善を目的に製鉄副産物の「鉄鋼スラグ」を使った実証試験を進めている。海藻類の生育に必要な鉄分を含む鉄鋼スラグと腐植土を混合した施肥材を2024年から雑海藻駆除区域に海中投入。今年は新たにコンブ漁場に近い砂浜にも埋設した。近年海洋環境が著しく変化する中、将来を見据え、海水温上昇などに耐えられる豊かな漁場づくりに注力していく。
日高管内の春定置は大型マグロの大量乗網に苦慮している。順調に獲れていた本マス(サクラマス)がマグロの来遊と同時に皆無に急変し、トキサケ、青マス(カラフトマス)も切れ、カレイなど他魚も低調。燃油高の状況下、5月下旬以降、マグロの放流のために網起こしを行うような状態が続き、定置業者は対策を切望している。
釧路市漁協のツブかご漁は今年もシケに阻まれる展開で、序盤は出漁日数が伸び悩み前年を大きく下回る水揚げとなった。三日市智央釧路つぶ籠漁業部会長は「近年はシケが多いが今年は特にひどい」と今後の海況安定・順調操業を切望する。一方、浜値は毛ツブが昨年並みの好値で推移している。昨年同様に6隻が4月から操業。ただ、同月8日にスタートした昨年に対し、今年は同月3日にかご入れした後シケが続き、15日まで開始がずれ込んだ。
水産資源の管理を巡り、日本とカナダが連携を強化している。カナダ漁業海洋省(DFO)は9日、サンマやサバなど北海道・東北の重要魚種が回遊している北太平洋の公海で違法・無報告・無規制(IUU)漁業を監視・取り締まる4回目の活動「北太平洋警備活動」を始めた。北海道に監視機を配備し、水産庁も参加している。
フードテクノエンジニアリング株式会社(FTE、野田憲司社長、大阪市)は、電力制御や温度管理、設備の予防保全など冷蔵倉庫の運用を一元管理するシステム「VERDECORE(ヴェルデコア)」のサービスを本格化させた。AIやDXによって最適な答えを導き出し、さまざまな付加価値を生み出す。第1号を帯広地方卸売市場株式会社(髙嶋昌宏社長)が新設する冷蔵倉庫で導入し、営業倉庫といった新規事業に弾みをつける。FTEが開発した高湿度冷蔵庫も導入して高鮮度保管と出荷を実現。食の未来を照らす“スマート物流拠点”が十勝に誕生する。
道漁協系統・関係団体は11、12の両日、札幌市の第2水産ビルで通常総会を開き、2025年度事業・決算報告と26年度事業計画を承認した。全道組合長会議では「激変する社会と海洋環境に対応した北海道漁業の構築」を目指し、漁業経営基盤強化対策、資源増大対策、漁場環境保全対策、ALPS処理水対策の決議4項目と中東情勢に対する漁業用燃油の安定的確保を求める特別決議の全5項目を採択。道、国に要請活動を展開していく。