留萌管内で養殖施設の水深帯温度が24、25度に上昇し、稚貝の仮分散や玉付け作業の遅れ、一部へい死も見られるなど影響が出ている。仮分散は約1カ月間中断している漁協もあり「水温が下がり次第、再開したい」と気をもんでいる。
渡島噴火湾6単協(長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部)の稚貝採取は、各地順調に進んでいる。仮分散は大半が8月前半に終了。採苗器の付着量が多く、十分に確保できた。
長万部の松井勝利理事(三代目かんな丸)は、7月前半から採取し始め「小さいので成長を待ちながら6厘や7厘で急がず仮分散していた」と説明。高水温時には作業を中止しながら8月20日時点も継続中で「数量は潤沢にある。地元も他産地も成長が伸び、1分5厘で採っている」と話す。
オホーツク海沿岸の漁場造成を含む7月末水揚量は、前年同期比10%減の14万4380トンとなった。北部が10%減6万730トン、南部が10%減8万3650トン。計画全体の達成率は54%。紋別、常呂漁協が2万トンを超えている。歩留まりは全域的に10%前後と低く、組成も小型傾向となった反面、堅調な海外需要を背景に浜値はキロ300円台~200円台後半と昨年の約1.5倍に伸長している。
サロマ湖3単協(湧別・佐呂間・常呂)で稚貝の仮分散が始まった。採苗器の付着は良好で、成長も良く、十分な数量を確保できる状況。採苗不振で苦戦した昨年とは異なり、3単協とも7月後半から例年通りに開始した。一方でシュウリガイ(ムラサキイガイ)など付着物が多く、高水温の傾向にあるため、慎重な作業を心掛けている。
国内外ともに多くの販路を開拓したホタテ。特に玉冷は輸出主導の中、日米関税交渉が当初米国提示の25%から15%に妥結したことで、税率の縮小、確定による計画の立てやすさから、複数の商社筋は「商談が今後、活発化していく」との見方を示す。米国の末端消費を不安視する向きもあるが、当面は輸出主導の状態が続きそうだ。国内消費はさらに厳しい展開が予想される。
6月29日に日本産水産物の禁輸解除を発表した中国政府は、7月11日に3社の施設登録を認可、その1週間後には対象水産物を公開するなど、輸入再開に向けた手続きを矢継ぎ早に進めた。今後の冷凍両貝の引き合いが注目される。
噴火湾加工貝の2024年度シーズンは、7単協(長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部・いぶり噴火湾)合わせ前年度の若干増となる6万トンに達した。その5割強がボイル向けとみられ、製品ベースでは昨年並みの9千トン近い生産が見込まれる。相場はNET800グラムで2千円台前半と高値圏。玉冷の半値以下だが、値ごろ感につながるかは微妙な状況だ。
国内外の減産や為替相場、堅調な米国需要を背景に、玉冷や活貝輸出が製品相場を押し上げた結果、国内需要が大幅に冷え込んでいるホタテ。末端の量販店では売価を上げざるを得ない状況下、ホタテ以外の貝類に注力する動きも見られる。北海道の末端流通や首都圏の消費動向、今後の展開について探った。
昨年の全道にわたる採苗不振の影響で、留萌管内4単協(増毛・新星マリン・北るもい・遠別)の2025年稚貝生産量は前年比49%減の5億9200万粒と苦戦した。一方、今年の採苗状況は例年並みとなり、サイズも良好なことから必要量を確保できる見通し。また今年も高水温が懸念されており、着業者は「早い時期に分散できるのは稚貝にとって良いことだが、本分散までの垂下期間が長くなる分、夏場の管理に注意したい」と気を引き締める。
陸奥湾の主力・半成貝の水揚量は、4~6月で前年同期比30%減1万4千トンと大幅に減少した。2023年から続く親貝不足の採苗不振に加え、昨年の高水温、餌不足に伴う分散後のへい死が影響。浜値は初回入札から最高値を更新し、4回目にはキロ500円と過去最高値を付けた。さらに新貝は「皆無の状況」(青森県漁連)。原料不足からベビー製品の相場が押し上がっている。