2023年の漁業センサス(速報値)によると、海面漁業の就業者数は前回18年の調査と比べて青森県が18.3%(1540人)減の6855人、岩手県が21.1%(1337人)減の4990人、宮城県が15.8%(982人)減の5242人で、3県とも比較可能な1963年以降で最も少なかった。年代別では65歳以上が全体の4割を占めた。個人で営む経営体が多く、高齢化や後継者不足による減少は今後も続くとみられる。
宮城県塩竈市の市魚市場で12日、メバチマグロの地域ブランド「三陸塩竈ひがしもの」の初競りが行われた。地元の目利きの買受人が脂乗りなどに優れる大型生メバチを厳選。80本が認定され、キロ6千円で取引される個体もあった。刺身やすし種として需要は年々増加。12月まで旬の味として仙台市や東京・豊洲などの市場に出荷される。ひがしものは、マグロ延縄船が9~12月に三陸沖で漁獲し、市魚市場に水揚げした40キロ以上の生メバチの中から、23の認定業者が鮮度や色つや、脂乗り、うま味を基準に厳選したものの称号。市水産振興協議会が2006年に商標を登録した。
東日本大震災で被災した水産加工業の販路回復を後押しする「東北復興水産加工品展示商談会2024」が3、4の両日、仙台市の仙台国際センター展示棟で開かれた。青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉6県の約130社が出展。なじみの前浜ものや水揚げが急増している南方系の魚などを使った加工品を流通や量販、外食産業のバイヤーらに売り込んだ。
株式会社NTTアグリテクノロジー(東京都)の小林弘高マーケティング統括本部長は8月29日、岩手大釜石キャンパスで「完全閉鎖循環式陸上養殖の課題と展望」と題して講演した。通信回線でつながる水質センサーやネットワークカメラなどのIoT機器を駆使し、福島市で実証実験を行うベニザケの陸上養殖について解説。「技術を組み合わせて新たなものを生み出すには、さまざまな分野を飛び越えて取り組むことが重要」と説いた。
2024年の北海道の秋サケ定置網漁が開幕した。平成以降最低の来遊予測が示され、漁獲量は4万トン台前半の低水準が続く見通し。競合する海外産もロシア・米国のマスが不振、為替も絡んで高値相場の様相だが、水揚げの回復を見据え、通年の売り場堅守、消流の安定に向けた価格形成が引き続き焦点となる。道漁連の鳥毛康成参事兼販売第二部長に商戦展望、流通対策の重点などを聞いた。
青森、岩手、宮城の東北3県の秋サケ漁は2019年度から極度の不振が続く。海洋の温暖化によって海流や餌の環境が変わり、放流した稚魚がオホーツク海まで到達しにくくなった可能性などが指摘される。即効性のある対策は見当たらず、24年度も厳しい漁模様となる公算が大きい。各県のまとめによると、23年度の沿岸漁獲量は青森184トン(前年度比65%減)、岩手86トン(同71%減)、宮城13トン(同85%減)。3県とも過去最低で、記録的不漁となった。
2024年に岩手県で生産された海面養殖サーモンは前年比12%増の2031トンに上った。高水温の影響で計画数量に届かなかったものの、深刻な不漁が続く秋サケの23年度沿岸漁獲量(86トン)の24倍。県内6漁協が品質向上や差別化、販路開拓などにも励んでいる。
宮城県漁協によると、2024年の県産養殖ギンザケの水揚量は前年比29%減の1万2982トンにとどまった。高成長が見込める春以降の水温上昇が早く、摂餌量が鈍化したことなどが原因。季節・通年商材として需要は高く、平均単価は同9%高のキロ747円と、22年の724円を上回り平成以降で最高だった。
仙台市中央卸売市場に8月27日、ニタリクジラの生肉が今年初めて入荷した。5月に操業を始めた共同船舶株式会社(東京都中央区、所英樹社長)の新しい捕鯨母船「関鯨丸」(9299トン)が2.1トンを上場。脂の乗った希少な尾肉は1キロ当たり最高で41万円の値が付き、昨年の40万円を上回って過去最高値となった。
宮城県水産技術総合センター(石巻市)は16日、2024年度の県内への秋サケ来遊数を1万尾と予測し、過去最低だった前年度並みにとどまる見通しを示した。海水温の上昇や資源量の減少が響き、最低水準からの回復は困難な状況だ。予測数量は沿岸漁獲と河川捕獲の合計で、シブリング法(前年の2年魚の来遊数から3年魚の来遊数を、前年の3年魚の来遊数から4年魚の来遊数を推定)に基づいた。7千尾~1万6千尾の来遊となる確率が約80%。沿岸漁獲から算出した23年度の平均目廻り(2.78キロ)で換算すると、24年度の予測重量は27.8トン(最少19.5トン~最多44.5トン)となる。