株式会社八戸フーズ(青森県八戸市、関川保幸社長、電話0178・45・7661)はサケ・マス類の加工に力を入れる。マレル社の小骨抜き機(ピンボーンリムーバー)を2月に導入。5月から岩手県大槌町産養殖ギンザケのトリムC出荷を新たに始める計画で、北海道産秋サケなども含めて年間取扱量は前年比10倍の500トンに達する見込みだ。圧倒的な精度と時間効率を誇る同機が事業拡大をサポートする。
東京都・豊洲市場のサクラマス消流は、末端の商戦本番を目前に控え、入荷量の少ない青森県産釣物の卸値が高値に付いている。注文分で仕入れている仲卸は「3キロ台は3千~2500円が6日に5500円」と驚く。一方で北海道産の刺網物や底引物で1キロ前後は値ごろ感があり、取り扱う仲卸業者は「販売は良好だ」と自信を見せる。
岩手県内の秋サケ漁が記録的な不漁に見舞われている中、県水産技術センター(釜石市、神康俊所長)は放流するサケ稚魚の大型化を図る研究を急ピッチで進めている。強力な抗酸化作用を持ち、ストレス軽減の効果があるとされるサケの身の赤い色素「アスタキサンチン」に着目。餌料に添加して投与することで、尾叉長と体重の増加や遊泳力向上といった成果を確認した。給餌飼育期間などの課題を解決し、成魚の回帰率を高めて地元漁業者の所得アップにつなげたい考えだ。
担い手の裾野拡大につなげようと、一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(FJ、宮城県石巻市、阿部勝太代表理事)は3月下旬、春休み中の地元高校生を対象とした1日限定の職業体験「すギョいバイト」を開く。石巻市内の事業者9社が受け入れ先となり、水産現場で働く魅力ややりがいを伝える。時給制で、自社加工品のプレゼントや漁場のクルージングといった特典も用意。既に定員に達した募集もあるなど反響は上々だ。
まひ性貝毒の検出に伴い長期化していた宮城県産アカガイの出荷制限が解除され、名取市の閖上漁港で1日、約2カ月半ぶりに水揚げがあった。水揚量は445キロで、アカガイ漁師の出雲浩行県漁協仙南支所(閖上)運営委員長は「身入りや色が良く上質。再開初日としてはまずまず」と安堵(あんど)の表情を浮かべ、巻き返しを誓った。入札の結果、1キロ当たりの最高値は5610円、平均3458円の高値が付いた。産卵期前の6月末まで漁は続く。月に12~13日程度の出漁を計画し、1日当たりの水揚げ目標を500キロに設定する。
磯焼けの原因とされ、駆除対象となるキタムラサキウニに廃棄されるパプリカの葉を与えると、しっかりと身が付き、天然物と遜色ない品質になる―。そんな蓄養(養殖)技術を宮城大食産業学群の片山亜優准教授(水産学)らの研究チームが開発した。健康の維持・増進に役立つ機能性成分が付加され、塩蔵ワカメを餌にしたウニより色や味が良くなることも発見。低コストで採算が取れる陸上養殖の実現にまた一歩近づいた。早期の事業化を目指す。
イオンリテール株式会社南関東カンパニーは、宮城県石巻市の取引先と連携し、水産品の鮮度向上に向けた新たなバリューチェーンを構築する。10日から、漁獲から店頭販売まで一度も冷凍しない蒸しだこ(ミズダコ)=写真=を関東・山梨エリアの「イオン」「イオンスタイル」125店舗で販売する。震災で途切れた販路の回復と拡大の一端を担う。
青森県青森市に本社を構える鮮魚卸の株式会社さ印さんりく(阿部久会長)は2月以降、岩内郡漁協市場での仕入れを強化している。昨年10月に市場の買参権を取得。底建網で獲れるホッケ、マダラを主体に入札し、同社参入前の前年同期を大きく上回る価格を付ける。ホッケはキロ40円程度と倍以上の高値で仕入れ、本州の顧客先に流通させている。
宮城県産「三陸わかめ」の初入札会が21日、気仙沼市の県漁協わかめ流通センターで開かれた。昨年より4トンほど少ない塩蔵70.2トンが出荷され、中芯を除いた10キロ当たりの平均単価は18%高の9806円。高水温の影響で生育が遅れ気味の浜もあるが、品質はおおむね良好だった。県漁協は今季、塩蔵と生合わせて例年並みの1万1500トン(原藻換算、昨年実績1万465トン)を生産目標に据える。
三陸のイサダ(ツノナシオキアミ)漁が22日始まった。海況に恵まれた昨季と異なり、沿岸域に親潮系冷水が波及せず厳しい漁模様が予想される中、初日は岩手県で142トンを水揚げ。キロ100~76円(平均81円)で取引された。機能性成分を豊富に含むイサダは近年、需要が増している。漁の最盛期は3月中旬~4月上旬。初水揚げの数量は低調だったが、関係者は今後の好転に期待を寄せる。