釧路の成コンブ漁は、8月単月の採取日数が管内5単協合計でわずか10日にとどまった。海況や天候に恵まれず沖止めが続いた。7月も昨年同月を27日下回る33日と伸び悩んだため、8月末現在の累計採取日数は昨年同期比29日減の43日となった。
岩手県産養殖干し(本干し)コンブの今季初入札会が9日、宮古市の県漁連北部支所で開かれた。県内4漁協が前年同期比2%減の155トンを上場。減産が計画される中、品質は上々で、主力の棒は同2割高の10キロ2万円前後で落札された。漁協別上場数量は重茂が同8%増の101トン、田老町が同17%減の50トン、小本浜が同35%増の4トン、田野畑村が同59%減の1トン。買受人は「実入り、色つやともに上出来。数は少ないが、モノは良い」と評価した。
南かやべ漁協のコンブは、天然・養殖合わせた全体の生産が昨年度実績(2565トン)を下回る見込み。水揚げの大半を占める主力の促成が昨年採苗が遅れたことに加え、1~2月には相次いでシケ被害に見舞われるなど苦慮。同漁協は「全体の計画数量2442トンから10%程度減る見通し」と示す。
歯舞漁協の夏コンブ漁が最盛期を迎えている。流氷被害などの影響で総体的に資源量が乏しい中、出足は比較的着生状況が良い解放区(昨年の禁漁区)に操業船が集中していたが、採取日数を重ねて「漁が落ちた」(着業者)ため徐々に船が分散。繁茂漁場を探しながら各船操業している。
歯舞漁協のウニ漁業者有志5人が取り組むエゾバフンウニ陸上養殖調査研究事業は、昨年度も5種類の餌料を与えて歩留まりを測定した結果、前年同様にコンブやワラビで有効性が示された。また、ウニにストレスを与えない取り扱い方に改善するなどしてへい死を抑制、生残率も大幅に向上した。メンバーの村内茂さんは「さらに成果が出るよう今年も頑張りたい」と意気込む。
羅臼漁協の天然コンブは資源状況が悪く減産の見込み。繁茂漁場は限られ、特に下側で悪い。また、7月20日に解禁以降天候や海況にも恵まれず、同月の採取が2回にとどまる厳しい出足となった。8月からは自由操業で水揚げしている。
礼文島の天然コンブ漁が最盛期を迎えている。香深・船泊両漁協ともに自由操業で水揚げしているが、今年採取対象となるコンブの資源状況は良好だった昨年を下回り、着業者は「生産は大幅に減りそう」と見込む。香深漁協は7月17日に解禁。濱谷厚志さんは「どこもホソメばかり。今年採れるコンブは少なく部分的に繁茂している状況。ハシリは尺忍で採取しコンブはあったが5~6月の日照不足が影響したのか実は薄かった」と振り返る。
近年の水温上昇がコンブの生育や品質、種苗生産などに影響を及ぼす中、北大と南かやべ漁協、フジッコ株式会社、理化学研究所の4者が連携し、放射線照射による突然変異誘発技術を用いた高水温耐性株の育種に注力している。昨年9月に海中投入した育種種苗(マコンブ)は高水温下で生育した個体も多く、今年6月段階で通常養殖(促成栽培のマコンブ)に比べて優良な形質を持つものもあった。高水温耐性を持つことで種苗投入期を早められ十分な養成期間を確保できる利点があるほか、収穫期の品質低下や不純物付着を抑制することも期待され、本年度も優良個体を選抜するとともに品種登録も視野に研究を進めていく。
コンブの大規模養殖の産業化に向け、理研食品株式会社(宮城県多賀城市、宮澤亨社長)は岩手県大船渡市で実証試験を重ねている。親縄に垂下ロープをつるし、種苗を一定間隔で差し込む垂直養殖方式を採用。間引きせず、漁場の生産能力を最大限発揮させることで食料以外の利活用も目指す。バイオ燃料の製造や、企業活動で出る二酸化炭素(CO2)を海藻による吸収で相殺する「ブルーカーボンオフセット」などに生かしたい考えだ。
利尻漁協の天然コンブ漁は15日、鬼脇を除く3地区(鴛泊、仙法志、沓形)で初水揚げした。今季は仙法志以外で繁茂状況が芳しくなく、同漁協全体で減産の見通しとなっている。仙法志地区では久連や長浜などに繁茂しており7月まで旗操業。8月から自由採取に移行する。