宮城県水産技術センターは13日、県内の2025年度の秋サケ来遊数が約6千尾にとどまるとの予測を発表した。過去最低の予測値で、最低水準だった24年度の実績値をさらに30%ほど下回る。「来遊数が極めて低い状況は今後も継続すると考えられる」との見通しも示した。
宮城県南三陸町でワカメ養殖を手掛ける漁業者グループ「BN有機藻類研究会」はこのほど、藻類では東北初となる日本農林規格「有機JAS」の認証を取得した。農薬や化学肥料に頼らずに生産された食品であることを認証する制度で、将来的には健康意識の高い欧州など海外への売り込みも視野に入れる。海洋環境が厳しさを増す中、生産するワカメのブランド化を図り収益向上や地域漁業の振興につなげたい考えだ。
岩手県水産技術センター(釜石市)は7月30日、2025年度(9月~来年2月)の県沿岸への秋サケ回帰予報を発表した。予測値は尾数で3万3千尾、重量93トンで、いずれも人工ふ化放流事業が本格化した1984年度以降で最低だった前年度から2割程度減少する見込み。東日本大震災前の3カ年平均(2008~10年度)の0.4%程度とした。回帰時期は10月下旬と12月中旬を中心に9月下旬~1月中旬と見込む。
福島県浪江町の株式会社かもめミライ水産(大澤公伸社長)は、マサバを付加価値の高いブランド魚として安定生産しようと陸上養殖技術の確立に取り組んでいる。「福の鯖(ふくのさば)」と名付け、今年4月に初めて出荷した。食中毒の原因となるアニサキスの寄生を限りなく低減した生食可能なマサバは町の新たな名産として期待を集めており、大澤社長は「天然魚を超える養殖魚を生産したい」と意気込む。
国産サンマのブランド価値を高め消費拡大につなげる「日本産さんま推進プロジェクト」が7月1日に発足した。全国サンマ産地市場流通連絡協議会の下部組織として設立され、発起人である気仙沼魚市場買受人協会の阿部泰浩理事長(株式会社阿部長商店代表)が代表に就任。阿部代表は設立理由について「産地が連携し交流を深めることで需要の底上げにつながる」と説明する。日本国旗をイメージした日の丸の中をサンマが泳ぐプロジェクトのロゴマークは国産の魅力を力強く表現した。阿部代表は「日本産のサンマは近年、マーケットでの存在感が薄れつつある」と危機感を募らせる。以前は「鮮魚をはじめ冷凍や干し、缶詰など加工製品が一年を通し店頭に並び、日本の魚食文化の象徴といえるほど食卓になじみの深かったサンマだが、近年は旬の時期だけ注目される魚種になってしまった」と説明。「他魚種の商品が増える中、常に売り場にある魚種に戻していかないと消費は回復しない」と続ける。
ロシア極東カムチャッカ半島沖で7月30日に発生した巨大地震による津波で、宮城県気仙沼市ではカキ養殖施設に被害が及んでいる。湾内の有人島・大島では養殖いかだの転覆や流出被害が確認されており、漁業者は「東日本大震災からようやくここまで戻ってきた矢先だったのに」と肩を落とす。津波注意報が解除され、1日に復旧作業を開始。宮城県などは県全体の詳細な被害状況の把握を進めている。
国内外ともに多くの販路を開拓したホタテ。特に玉冷は輸出主導の中、日米関税交渉が当初米国提示の25%から15%に妥結したことで、税率の縮小、確定による計画の立てやすさから、複数の商社筋は「商談が今後、活発化していく」との見方を示す。米国の末端消費を不安視する向きもあるが、当面は輸出主導の状態が続きそうだ。国内消費はさらに厳しい展開が予想される。
陸奥湾の主力・半成貝の水揚量は、4~6月で前年同期比30%減1万4千トンと大幅に減少した。2023年から続く親貝不足の採苗不振に加え、昨年の高水温、餌不足に伴う分散後のへい死が影響。浜値は初回入札から最高値を更新し、4回目にはキロ500円と過去最高値を付けた。さらに新貝は「皆無の状況」(青森県漁連)。原料不足からベビー製品の相場が押し上がっている。
三陸産ホタテは、ALPS処理水の海洋放出を巡る中国の禁輸措置の影響、温暖化を背景とした高水温によるへい死が相次ぐなど苦境が続く。2024年度の共販数量は宮城県が前年度比45%減の2942トン、岩手県は同68%減の496トンと、いずれも前年を下回る大幅な減産となった。 共販金額は宮城が前年比65%減8億5778万円、キロ平均単価は36%安290円。中国の禁輸措置による価格低迷、高水温による数量減産が響いた。岩手は57%減4億4487万円。キロ平均単価は898円だった。
宮城県南三陸町のミズダコかご漁が好調に滑り出している。今月から始まり、志津川魚市場の20日現在の水揚げ数量は前年同期と比べ2倍超となる9.3トン。金額は同57%増の1119万で、キロ平均単価は27%安の1202円。近年は高水温の影響で不調が続き、昨年は休漁した船もあっただけに、着業者らは「助かっている」と笑顔を見せる。