北海道の秋サケ定置網漁が急落に見舞われている。日量が極度に低水準のまま盛漁時期を経過し、2万トン割れも視野に入る凶漁の様相。いくらやフィレー・ドレスの製品価格が空前の高値形成となり、秋サケの需要減退が想定される一方、大半の浜が価格高騰にも補い切れない落ち込み。加えて河川そ上も全般的に不調。増殖団体・生産者・加工流通業者の秋サケ業界各方面に影響が懸念される。
古宇郡漁協の定置網漁は、神恵内地区で9月以降の水揚げ数量が全体で昨年の2~3割に留まるなど低調に推移。一方、今年はバショウカジキが増加傾向にある。神恵内地区の漁協担当者は「サケの出荷量は前年比25%程度。サケが入ると他の魚が入らなくなるといわれるが、今はサケも他の魚も入らない」と説明。加えて「今年は例年になくバショウカジキが多い。9月末あたりから増えているが値段が付かない」と続ける。
留萌管内の秋サケ定置は、序盤から低調なまま終盤を迎えている。絶不調だった昨年を上回る地区もあるが、本来の水揚げ水準にはほど遠く、15日現在で前年同期比21%減の474トンと苦戦。本来の水揚げに近い一昨年比では6割も減少した。全道的な薄漁も影響し浜値は高騰、メスはキロ3千円台中盤を付けている。
農林水産省が10日公表した2024年度の食料自給率によると、水産物の自給率(重量ベース)は魚介類・食用が52%(前年度比2ポイント減)、魚介類・全体で52%(同1ポイント減)、海藻類で61%(同4ポイント減)と軒並み減少した。主要魚種の生産量減少や国内消費仕向量の減少が要因とみられる。また、食料自給率の全体では、カロリーベースで前年度並み38%、生産額ベースは3ポイント増の64%となった。
古典落語にちなんで毎年秋に開かれている「目黒のさんま祭り」が12日、東京・目黒区で開かれ、気仙沼市から届いたサンマが振る舞われた。今年のサンマは豊漁や大型など事前の評判が良く、「この日をずっと楽しみにしていた」と待ちわびていた区民も。物産展など区民祭りとの共催で、区の友好都市である気仙沼市は各所にブースや催しを設けるなど、産地と消費地の交流の絶好の機会となった。お祭り全体で前年を上回る4万8千人が来場し、秋の味覚を楽しんだ。
東京都・豊洲市場の北海道産新物いくら消流は、異次元の値上がりで仲卸業者や来場者が混乱している。10月中旬の卸値は北海道標津の上級品でしょうゆがキロ1万9千円、塩が3万円。しょうゆは今後の集荷で2万円に達する見通し。記録的大不漁は予測されていたものの、想像以上の高騰に新物を扱う仲卸は困惑。年末商戦の販売計画の見直しを進めている。標津の商材を扱う仲卸はしょうゆの1パック500グラムを9500円で仕入れ。「次回の入荷はキロ2万円になる。今期の新物は超高級すし店でしか扱えない。最近増えているカジュアルな高級店では赤字になる」と指摘する。
福島町の有限会社ヤマキュウ西川水産(湯浅哲社長、電話0139・47・2139)は、イカのとんび(口ばし)を有効活用した商品などの展開で、新ブランド「ウエマチストア」を立ち上げた。商品形態、パッケージなどターゲットに応じて新機軸を創出。訴求力を高めて販売拡大に取り組んでいる。本体のヤマキュウ西川水産はスルメなど乾物卸に特化。「ウエマチストア」は冷凍食品・加工品などを展開していく。「上町」は地元で昔から呼ばれている会社所在地の集落名で「小さい町の小さい集落から新しいものを発信していくという意味を込めた」と湯浅社長。また、今後、水産以外の素材を使った商品開発も計画しており「ストア」と名付けた。
添加物など食品加工資材の販売・開発の青葉化成株式会社(仙台市、石田守社長)は、ホヤに豊富に含まれ脳の調子を支える存在として注目される脂質「プラズマローゲン」を手軽に摂取できるサプリメント「ほやプラ」を10月末から販売開始する。ホヤむき身を原料に、安定化が難しいとされる同成分を独自技術で高品質に製品化。同社はホヤの食用以外の活用を広げ、養殖業増進への貢献を開発目的のひとつに掲げている。プラズマローゲンは人間の脳や心臓などに多く含まれる脂質で、特に脳の働きに重要な関係を持つとされる。同社によると加齢や認知症により脳内の同成分が減少するなど研究が進んでおり、特にホヤには人間と同じ性質のプラズマローゲンが多く含まれることが知られているという。認知症予防や睡眠改善など利活用が期待される一方で、酸化しやすく成分の保持が難しい特性があった。同社はホヤ由来のプラズマローゲン研究を進めていた東北大学未来科学技術共同研究センター・宮澤陽夫教授と共同で、その安定化を模索。以前開発した魚油のDHAを粉末化する技術を応用し、3年の試行錯誤を経て多様な活用が見込める加工原料に仕上げた。
青森県むつ市の大畑町漁協(田髙利美組合長)が、今月からキタムラサキウニの陸上蓄養を開始した。冬季の身入り維持・促進を図り12月に出荷、年末年始の需要に応える。餌は町内の量販店で廃棄されるキャベツの外葉を有効活用、魚市場構内に設置した小型水槽で飼育する。水産庁の補助を受けた海業取組促進事業の一環として調査・研究を進め、将来的には殻むき体験など通年の観光誘致も構想、地域漁業の振興を図る。
散布漁協のマダラ刺網は好調な滑り出し。10月1日に始まり、多い船で日量200箱以上を水揚げ。10日までの全体数量は前年同期比55%増に伸ばしている。1箱4尾入れが主体。浜値は強含み。