いぶり噴火湾漁協のウニたも採漁は、エゾバフンウニの減少、低歩留まりのためキタムラサキウニ中心の水揚げとなった。全道的な減産の影響もあり浜値は高騰。キタムラサキウニの殻付きで一時キロ3800円を付けた。高値基調を受け、出荷形態はむき身から殻付きに傾斜、水揚量は前年比3割増で終漁した。
いぶり噴火湾漁協礼文支所の幣航輝理事(千鳥丸)は、礼文で唯一、タコ空釣縄に着業する。陸側で獲れる「通りダコ」を狙い、毎年6月中旬から7月にかけ投縄。「昔から続けてきた諸先輩のアドバイスを受け引き継いだ。礼文の一漁法として続けていきたい」と話す。仕掛けの概要を説明してくれた。
厚岸漁協のカキ養殖は、厚岸湖内で育成した稚貝をホタテ原盤から外し、かご養殖に切り替える時期を迎えた。カキを削り取る作業が続く中、昨年ごろから湖内で大量発生している天然の稚貝の影響を受け、着業者は「原盤に稚貝が付着し、いつも以上に作業が大変」と苦労を口にする。
釧路管内5単協の成コンブ漁は、9月単月の採取日数が昨年同月比5日増の42日。ただ7月(27日減33日)、8月(2日減10日)がシケや天候不順で伸び悩み、7~9月の累計は昨年同期比24日減の85日となった。資源状況を考慮し釧路市東部、散布の両漁協が9月で終漁した。
オホーツク海沿岸の9月末ホタテ水揚量は、漁場造成を含め25万8463トンとなった。前年同期比3%減、全計画量に対する達成率は84%。枝幸、沙留が昨年を上回るペース、猿払が横ばいで推移している。北部の猿払村、枝幸、南部の紋別、常呂が3万トンを超えた。9月の歩留まりは大半が11%前後、組成は変わらず3S主体だが4S、5Sの割合が増えている。
散布漁協の養殖ウニは、8月末の大雨の影響で大量にへい死した。被害は個人差があるものの、全滅に近い着業者もいるため組合全体で大幅な減産となる見込み。ただ昨年導入したIoT海洋モニタリングシステム「うみログ」(株式会社アイエスイー)で塩分濃度を把握し、事前にかごを沈める大雨対策を講じており、永坂哲也うに養殖部会長は「うみログがなければ被害規模がさらに大きくなっていた可能性もある」と指摘する。
日高中央漁協浦河地区で刺網を営む第十八高漁丸(髙田悟船主)と第三十一高徳丸(髙城顕一船主)の2隻は、付加価値対策としてキンキン(キンキ、キチジ)の船上活じめに注力している。生きている魚の中から良型を選び素早く血抜き処理。帰港までは発泡下氷詰めで鮮度保持を図り同漁協市場に搬入。魚体の色や傷の有無、うろこの状態を確認するなど見た目も重視し、厳選した魚のみ出荷する。うま味や脂乗りなど身質のバランスがよく、東京のすし店などから高評価を得ている。
天然ブリの全国有数産地となった北海道。2023年は1万トンを超え、農水省集計の海面漁業生産量(養殖業を除く)で長崎県を抑えて全国トップに返り咲いた。今年も春定置時期から乗網し、秋定置の水揚げが注目される。地場消費は依然途上だが、加工品開発も進展。多獲地域では船上活じめなどのブランド品を先導役に需要拡大、魚価底上げの取り組みを続けている。
札幌市中央卸売市場の水産荷受・カネシメ髙橋水産株式会社を中核とするカネシメホールディングスグループは今年創業100周年を迎えた記念事業で、江別市の道立自然公園野幌森林公園内の国有林に約1ヘクタールの「カネシメ 海につながる森」を造成、22日に植樹会を行った。取り扱う水産資源を育む豊かな海づくりにつながることを願って、年内にカラマツ1500本を植樹。札幌市森林組合の協力を得て下草刈りや枝払いなどの管理を続けて豊かな森林に育てていく。
札幌市中央卸売市場の水産荷受マルスイ札幌中央水産株式会社などを傘下に持つマルスイホールディングス株式会社(HD、武藤修社長)と、旭川市の総合荷受・株式会社キョクイチなどを傘下に持つ株式会社キョクイチホールディングス(HD、角谷靖社長)は25日、10月中に業務提携を結ぶことを発表した。水産資源の減少、市場経由率の低下、人口減による国内マーケットの縮小など取り巻く環境が厳しくなる中、共同仕入れ、共同輸送など多分野で協業・協力体制の構築を図り、互いの収益力強化につなげていく。