川崎重工業株式会社は、食料安全保障への貢献を目指した水産養殖システムを開発して「MINATOMAE」プロジェクトとして推進している。その事業化に向けたステップとして、同社神戸工場の岸壁エリアである神戸港海域で実施していたトラウトサーモンの育成試験の水揚げを4月24日に行い、850尾(1尾当たり平均2キロサイズ)ほどの飼育に成功した。同社の技術を生かした海面閉鎖式養殖で国内最高水準の飼育密度を実現した。「都市近郊での持続可能な海面養殖実現に向けた重要な成果」と同社では受け止めている。
マリノフォーラム21はスマート水産業に関する情報をまとめたサイト「スマート水産業ナビ」を開設した。全国で進められている事例やICT・IoTなど先端技術搭載機器の紹介のほか、実践者をサポートするために従事している“伴走者”同士が情報交流できる場を設けた。成果や知見の共有を図ることでスマート水産業の普及を推進していく。
古宇郡漁協神恵内女性部(村田由紀子部長)は、レトルト加工の瓶詰めシリーズで前浜産を日常の食卓に訴求している。現在、秋サケ・サクラマス・クロソイを素材に和・洋・中の3品を展開=写真。ふるさと納税返礼品、地元道の駅に加え、4月26日開業の温泉施設に新たな売り場が加わった。消費機会の増大に向け、これまでのセット販売から単品販売に挑戦。商品アイテムの拡充を目指し、新素材で試作にも乗り出している。
福島県産の活シャコが東京都・豊洲市場で注目されている。ボイルのチルド・解凍品より調理の幅を広げやすく、自店の味にこだわる飲食店に受け入れられている。また、宮城県産が近年、活出荷が減り、ボイル品の出荷が増加しており、料理人にとって福島県産の活が貴重な存在となっている。
福島県産の相場はキロ3500円と例年並みの価格帯。仕入れた活魚仲卸は「普段は春先から初冬まで宮城県産を扱っていたが、近年入荷が減ってきて、昨年はとうとうなくなりボイル品のみになった。水温・気温の上昇で生かして管理するのが難しくなったのだろう」と眉をひそめる。
4月1日付で道水産林務部森と海の未来づくり推進監に就任した近藤将基氏はこのほど記者会見し、水産施策遂行への抱負を語った。水産林務分野の共通課題を一体的に推進するために昨年度新たに設置した「森林海洋環境局」を総括。その機構改革の効果を浜が実感できるようにスマート化や安定生産、需要拡大などに取り組んでいく考えを示した。
えりも漁協えりも岬地区のかご漁は赤潮以降、漁獲が激減した真ツブなどの資源が戻らない状況下、特別採捕や混獲によるオオズワイガニ中心の水揚げが続いている。えりも岬地区のかご漁は4月21日に8隻(5トン未満船2隻含む)が操業。うち4隻がオオズワイガニの特別採捕で操業。オオズワイガニの日量ノルマは1隻500キロ。4月14日には同地区でメス100キロ、中200キロに上限を設定。小は海中還元し、資源管理にも努めている。
ボイルホタテの2025年消流は、冷凍両貝仕向けに伴う浜値の高騰で製品価格が上昇する厳しい展開となった。NET800グラムの産地価格は昨年の4~5割高となる2千円台中盤。生産量は半減する見通しにある中、商社筋はじめ多くの関係者は「玉冷価格の半値でも値ごろ感にはつながりづらい」と、微妙な反応を見せている。
輸出主導で流通しているホタテ玉冷の2025年度消流は、拡大した国内外需要を背景に国内および米国の減産見通しで引き合いが強まる中、米国の相互関税によって先行き不透明な情勢となった。在庫は昨年末から払底状態が続き、消費地の製品相場はキロ5千円台と「ない物高」に拍車をかける展開。このため国内消費は落ち込み「フレークしか売れていない」(商社筋)状況で、量販店、外食産業の需要は大きく後退している。米国の関税引き上げに伴い商談が停滞し始めた今、輸出に依存せず国内で消費できる価格帯に修正したシーズン入りを期待する声は少なくない。
冷凍食品の市場規模が拡大している。共働き、高齢者・単身者が増加して簡便食品のニーズが高まっていたところに、コロナ禍によるライフスタイルの変化が後押しとなり、存在感が高まった。併せて冷・解凍技術の進歩と食品事業者の開発力が商品のカテゴリーやバリエーションを広げ、便利さだけでなく、おいしい商品が増えて消費者ニーズをつかんでいる。
一般社団法人日本冷蔵倉庫協会は国土交通省や環境省の方針に基づき、会員企業に対し、自然冷媒の普及を推進している。2023年度(複数年にまたがる事業含む)は国の補助事業に38事業所が採択された。自然冷媒への転換は新設・更新時に着実に進んで構成比で5割を超えた。同協会が会員企業に実施している冷媒調査によると、11年度には構成比14%だった自然冷媒の使用は22年度にHCFCを初めて上回り、23年度(調査対象1195事業所・所管容積2923万821立方メートル、有効回答率は容積比率で72%)は前年度比4ポイント上昇の51.4%。