今季の秋サケ商戦を展望する全国大手荷受・荷主取引懇談会が4日、札幌市のロイトン札幌で開かれた。北米産ベニザケの豊漁など世界的な鮭鱒生産動向を留意点に意見交換。親製品は中国・加工業者の経営難など輸出環境が厳しく、国内向け冷凍の消流安定策を探った。いくらはマス卵の搬入増が想定され、慎重な価格形成が課題に挙がった。
日高定置漁業者組合は、「銀聖」プロジェクト活動の一環で、日本の食文化などを学ぶ米国人高校生を受け入れ、7月25日、えりも町の歌別さけ・ますふ化場で増殖事業やサケの生態などの講習、サケの裁割実演などを行った。
秋サケの消流環境は、親製品、魚卵製品とも在庫が低水準で新漁入りする。ただ、親は輸入鮭鱒の国内相場が昨年に比べて下方修正、中国の原料需要もルーブル安を背景としたロシア産の安値供給で日本産の消化が停滞している。一方、魚卵は消費の回復途上で価格形成によっては再度縮小が懸念される状況。北海道の秋サケ業界は本年も引き続き、国内、海外両軸の流通対策を実施、魚価と消流の安定を目指す。
道総研さけます・内水面水産試験場は2日に札幌市で開かれた道連合海区で、ことしの秋サケの資源状況を説明、北海道の総来遊数は昨年比14.8%増の4029万1千尾との予測を示した。予測通りの場合、平成12年以来の低来遊だった昨年から若干回復するものの、漁獲量は12万トン規模で依然低水準が続く。
来年1月からロシア200カイリ内のサケマス流網漁を禁止する法案がロシアで成立したことで、漁業者、水産加工など関連産業、道東の地域経済が大きな打撃を受けることは必至。国、道は対応策の確立などに動き出している。
林芳正農水相は1日、「現地の状況を把握するとともに関係者皆様の意向を聞き、関係省庁とも連携し、万全の対策を講じる」との談話を発表。6、7日に根室市、釧路市、厚岸町に水産庁の担当幹部を派遣、地域経済への影響などを調査する。
道は3日、「北海道北洋漁業対策本部」の初会議を開いた。関係部局・振興局の幹部らが一堂に介し、本部長の高橋はるみ知事は「道東を中心に北海道水産業の危機という認識の下、一丸となってしっかり対応していかなければならない」と述べた。
一般社団法人日高管内さけ・ます増殖事業協会(坂本好則会長)は8日、昨年12月日高町福満に完成した「沙流さけ・ますふ化場」の安全祈願修祓式を開いた。サケ稚魚の生産尾数は従来の270万尾から500万尾に増強。新型浮上槽、水温調整装置などを新たに導入し、健苗の生産・飼育、適期放流への体制を強化。西部地区をはじめ日高管内全体の資源増大を図るための核となる施設として機能発揮が期待されている。
「レベルが高くて驚いた」―訪れた観光客が口をそろえるのは、札幌市内の回転ずしのこと。手ごろな価格だけでなく、季節や産地を限定した厳選素材を握る名店がひしめく激戦区で、年末の“勝負ねた”や店づくりの工夫、産地への思いを取材した。
平成12年来の低来遊にとどまった昨年の北海道の秋サケ。主群の4年魚(平成22年級)の来遊数が平成元年以降最低で、中期の来遊数が平成6年以降最も少なくなったのが特徴。特にオホーツク・東部、根室・北部が顕著で、原因究明が課題。一方、全道的に3年魚の回帰数が前年より大幅に増え、来季に向けて明るい材料も見えている。
北海道の秋サケは10万7千トンと、平成元年以降ワースト4位の漁獲実績となった。親製品の需要に加え、不漁から魚卵価格も上方修正され、全道のキロ平均単価(11月20日現在)は前年比38円高の450円に上昇した。一方、来季に向け、消流面では親子とも製品価格の高値継続で消費への影響が懸念材料。生産面では斜網地区が急減、根室海峡で不振が続くなど資源動向に不安を残した。
新巻き商戦が大詰めを迎えている。今季は不漁と、国内加工、輸出向けの原料需要で、生産量が低水準。特に小型サイズの水揚げが少なく、小箱(10キロ)は品薄、払底状態。一方、大箱(19.5キロ)は高単価に付く6尾以上の荷動きが鈍く、年内に売り切れるかが焦点だ。