宮城の豊かな自然を守り育て、次世代に継承しようと「みやぎ海と森の交流会」が7日、石巻市複合文化施設で開かれた。県内で磯焼け対策や水産資源の管理、森林再生などに携わる若手5人がパネリストとして登壇。海と森のつながりや管理の重要性について意見を交わし、持続可能で活力ある地域づくりにどう生かせるかを探った。
鯨食文化をより多くの若者に知ってもらおうと、東北芸術工科大(山形県山形市、中山ダイスケ学長)の学生が約10カ月かけて、くじらベーコンの販促に励んだ。ゼミの一環として「クジラを広め隊」を結成し、料理系ユーチューバーにレシピ動画の制作を依頼。動画投稿サイトや交流サイト(SNS)で食べ方やおいしさを発信した。動画は期待以上の再生回数が得られ「食材としての認知度を高められた」と笑顔で成果を語る。
宮城県産乾のりの価格が高騰している。九州・有明海産の記録的な不作が伝わる中、1月27日に開かれた直近(今季6回目)の入札会では1枚当たりの平均単価が24円50銭と、初回の約3倍となった。1月下旬の強烈な寒波に伴う強風被害もなく、品質、量ともに順調な生産状況が続く。近年は色落ちなどに苦しんでいたが、今季は高値も影響して2016年度以来となる4億枚超えの見通しが強まっている。
宮城県はまひ性貝毒の影響が長引くアカガイについて、県独自の出荷基準値を緩和する方針だ。今季は漁場の仙台湾沿岸と石巻湾の海域で、出荷がほぼできていない。村井嘉浩知事が23日の定例会見で「漁業者にとって死活問題。非常に深刻に受け止めている」と強調し、2月上旬に開催予定の貝毒対策連絡協議会で基準値の見直しを検討する考えを明らかにした。県が実施する貝毒検査では、1グラム当たり3.0マウスユニット(MU)を超えると1週間の出荷自粛を要請するという独自基準がある。1994年に設けられた。4.0MUを超えると1週間ごとの検査を3週連続で下回る必要がある国の規制値より厳しく、漁業者らからは基準緩和を求める声が上がっていた。
協同組合塩釜水産物仲卸市場(宮城県塩竈市、坂本和正理事長)は23日、場内の飲食エリア「セブンストリート」などの9店で、平日朝に特別メニューを提供する「朝勝(あさかつ)」を本格的に始めた。2月末までの第1弾は冬の味覚のかき鍋や辛いラーメンといった「熱熱ぐるめ」を目玉に、集客が伸び悩む時間帯の利用拡大を図る。客の年齢層などを人工知能(AI)で分析し、販売促進に生かす取り組みにも着手した。
新潟県佐渡市で、地元の民間企業がナマコ種苗(稚ナマコ)の量産に乗り出した。2月ごろにまず35万個の出荷を目指す。ナマコは中国での高い需要を背景に近年価格が高騰しており、市は大型個体の放流により資源量の回復を図るとともに、漁業者の収入安定化にもつなげたい考えだ。
岩手県の2022年度アワビ漁が終了した。県漁連の共販実績によると、1号品の水揚量は前年比37.8%増の111トンで、金額は同85.9%増の15億1861万円、10キロ当たりの平均単価は同34.9%高の13万6861円。漁期後半は天候が回復して出漁回数も増え、近年では恵まれた漁場環境による身入りの回復が価格を押し上げた。
宮城県産乾のりの品質を競う新年恒例「鹽竈(しおがま)神社奉献乾海苔品評会」の表彰式が11日、塩竈市の同神社拝殿で開かれた。県漁協10支所が出品した98点の中から、最高賞の優賞(県知事賞)に選ばれた木村清一さん(仙南支所亘理)、準優賞(塩竈市長賞)の坂本寿さん(七ケ浜支所・代ケ崎浜地区)に賞状とトロフィーを贈呈。たゆまぬ研さんと優れた技術をたたえた。
青森県漁連(松下誠四郎会長)が陸奥湾のホタテ養殖で国際基準の水産エコラベル「マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)」の認証規格(Ver.2.0)を取得した。資源の維持や環境保全に配慮した持続的な養殖業の取り組みを消費者に示し、ブランド力強化や輸出拡大につなげる。認証取得は2022年11月8日付。陸奥湾内10漁協(外ケ浜、蓬田村、後潟、青森市、平内町、野辺地町、横浜町、むつ市、川内町、脇野沢村)の生産者が垂下式養殖するホタテが対象となる。認証の有効期間は25年11月7日までの3年間。
岩手県産アカモクは他産地と比べて機能性成分を多く含んでいることが岩手大農学部の袁春紅准教授(水産食品加工学)らの研究で分かった。採取時期は6月が最適という。アカモク粉末をすり身に添加してかまぼこを試作したところ、アルギン酸の効果で弾力性がアップした。風味に大きな変化はなく、味を維持したまま美容・健康面や色調の変化なども期待できるのは一つの利点とした。袁准教授は機能性成分の流出を抑える加工・保存方法の検討が不可欠とした上で「成分表示を詳細に行うことで商品の差別化ができる。(宮城の)笹かまぼこに負けない練り製品の開発も可能だ。新たな食文化を生み出し、漁業者の所得向上につなげたい」と話す。