宮城県・石巻湾の種ガキ生産は、全国に出荷する渡波地区が3~4分作、自家養殖用中心の牡鹿半島方面は不作で必要量確保は数浜に限られそうだ。いずれも原盤1枚当たりの付着が100個以上の厚種はわずか。半島方面では原盤を残し最終盤の投入にかける浜、人もあるが、厳しさが増している。
渡波地区(県漁協石巻湾支所管内)は8月中旬以降の原盤投入でやや好転した。今季の約2割が投入された8月12、13日と、20日ごろの投入で50~60個の付着が多くなった。24、25日には一部の人が残りを投入し100個近く付いた。これで投入は終了した。
横浜町漁協所属の紀永丸(4.9トン)は、刺網に着業する半数以上の漁業者が浮子を使わない中、5ヒロ間隔で装着。極力網を立たせるように心掛けている。
船主の森川清孝さんと兄の末勝さんが、市場出荷後に同船で漁具・漁法を説明してくれた。網の構造は図の通り。
カレイは1はい8反、ヒラメは10反で8はい放す。目合いはカレイが3寸5分、ヒラメが6寸。網地はナイロンテグスでカレイが3号、ヒラメが2号。網色はグレー。浮子棚から足棚までのタチ(掛目)は35目。
岩手県の今季養殖ホヤで、福島第一原発事故の風評被害に伴う損害賠償の交渉が進められている。生産者団体で組織する協議会が東京電力に対し、韓国の輸入禁止が解除されないため、生産の増えたホヤが余剰となり販売できなかったり価格が下がったとしてその補償を求めている。生産量の多い綾里漁協では水揚げを終え、未販売分の最終処分に目途をつけた。
宮城県の養殖ホヤ(マボヤ)生産で今季、大震災後に見られなくなっていた被嚢(ひのう)軟化症の発生が5つの海域(湾)で確認された。発症率は各湾とも1%程度と低く、水揚げに大きな支障がないまま、水温上昇により終息に向かうとみられる。だが、再発は今後の不安要因となり、これから本格化する種苗の移出入にも注意が求められる。
札幌市の株式会社丸二永光水産マルニ札幌清田食品(佐久間利紀社長、電話011・886・6363)はことし3月に創業し、北海道産原料のすしネタ・刺身商材の製造・販売に乗り出している。3D凍結とアルコール凍結の最新冷凍技術を活用。四季折々の生鮮魚介類で高品質の付加価値商品づくりを進め、需要が伸びている国内外の生食市場に北海道産の拡販を目指す。
岩手県大船渡市の鎌田水産株式会社(鎌田仁社長)は10日、5隻目の大型サンマ船「第十一 三笠丸」を竣工し地元の下蛸ノ浦漁港で進水披露した。木戸浦造船株式会社で建造、ヤンマーの2000馬力エンジンを搭載。同社は今季、5隻で1万トンの漁獲、自社工場の扱いでも1万トンを目指し、水揚げと加工処理の両翼で躍進する。
石山水産株式会社(岩手県山田町、石山勝貴社長)は大槌町に冷蔵倉庫を併設する工場を新設、8月初めから本格稼働に入った。山田町の本社工場が原料供給型の拠点だったのに対し、最終製品に加工する工場として位置付けている。洋風など末端の売り場向けブランドを立ち上げるなど新事業にも挑戦する。
末永海産株式会社(宮城県石巻市、末永寛太社長)は生食用むき身カキやあぶりホヤなど13品目で、HACCPの対米輸出要件を満たし、認定を受けた。生食用カキの認定は全国でも初めて。米国を新たな市場に見据え、販路の開拓に取り組んでいく。
宮城県の種ガキが不作の様相だ。未投入の原盤が残るものの、浮遊幼生の観測結果と採苗時期の両面から厳しさが増している。いずれにしても、原盤1枚の付着が100個以上の厚種は例年より大幅に減る。日本一の種ガキ産地だけに、県内外に波紋を広げそうだ。
宮城県のカキ採苗は、松島湾で原盤の投入が始まった。県漁協鳴瀬支所管内では7月28日ごろ、原盤1枚当たりの付着が多いところで100~150個となり、抑制棚に移す作業を開始。松島支所管内の磯崎地区前浜では付着が千個前後と伸びている。採苗時期は昨季より遅れるものの、滑り出しの感触は良さそうだ。