全国で水産業の担い手育成事業「トリトンプロジェクト」を手掛ける一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(FJ、宮城県石巻市、阿部勝太代表理事)は、次世代を担う若手漁業者の安全面もサポートする。ライフジャケットのトップメーカー、高階救命器具株式会社(大阪市、高階義尚社長)と連携。海難事故を防ぐため、常時着用に向けた活動を展開していく。高齢化で後継者不足が深刻な漁業で新たな担い手を増やすFJのさまざまな活動に同社が賛同。コラボ企画の第1弾として、漁労向けブランド「ブルーストーム プロ」の高機能ライフジャケット「TKW-310F(固型式)」「BSP-6120RS(膨脹式)」を、同プロジェクトを通じて新規就業する漁業者にプレゼントする。
歯舞漁協のウニ漁業者有志5人が取り組むエゾバフンウニ陸上養殖調査研究事業は、昨年度も5種類の餌料を与えて歩留まりを測定した結果、前年同様にコンブやワラビで有効性が示された。また、ウニにストレスを与えない取り扱い方に改善するなどしてへい死を抑制、生残率も大幅に向上した。メンバーの村内茂さんは「さらに成果が出るよう今年も頑張りたい」と意気込む。
道東沖のマイワシ漁は餌不足に起因する小型化が進行している。加えて漁場の変動が大きく、漁獲量も伸び悩み。加工業者は「量もなく魚も小さい」と、1尾80グラム以上の需要サイズとかい離した50グラム主体の組成に苦慮。期待薄ながら今後のサイズアップを切望している。
首都圏・小売りのマイワシ商戦は近年、訴求に力を入れていた道東産の売り込みが小型化などで苦戦している。東京都や神奈川県中心に展開する量販店では、コロナ禍直前の数年にわたって6月下旬に道東マイワシの販促フェアを展開してきたが、以降の年は期間中に漁がまとまらず、実施を断念している。
「調理が手間」「骨が多くて食べにくい」など消費者の敬遠要因を踏まえ、魚食拡大に貢献する水産食品の創出を目指し、食品加工研究センターを中心に道総研が開発した「一夜干し+レトルト処理」製法の「骨まで食べられる一夜干し」。青魚では既にニシンは余市町の有限会社丸イ伊藤商店(電話0135・22・3616)が製造技術を活用、商品展開しており、道総研ではマイワシ、サバも研究開発。道内水産加工業者への技術普及で実用化を目指している。
青森、岩手、宮城の東北3県はサバの不漁と小型化が続いている。太平洋の不漁要因は資源量の減少ではなく、水温の変化により漁場である沿岸から回遊経路が沖合に移動したためとみられる。
各県のまとめによると、2023年の水揚量は青森4892トン(前年比19%増)、岩手1万5676トン(同28%減)、宮城3万2755トン(同33%減)。青森県は過去5年平均(1万9386トン)の4分の1にとどまった。3県とも、200グラム前後の小型が多い。八戸前沖さばブランド推進協議会は7月25日、定時総会で会の名称を「サバのまち八戸協議会」に変更することを決めた。八戸前沖にサバ水揚げの大半を担う巻網の漁場が形成されず、脂乗りも不十分なため22、23年度と2年連続でブランド認定を見送り、24年度も認定は厳しい見通しにある現状を踏まえた。
水産庁が7月30日に発表した北西太平洋(道東~常磐海域)のサンマ長期漁海況予報によると、今年の漁期(8~12月)を通じた来遊量は漁獲量が過去3番目に少なかった昨年と同等の低水準。また、1歳魚の割合は昨年並み、体重は昨年を下回り、厳しい漁況が続く様相。ただ、日本に近い1区の分布量が昨年より多く、加えて中・大型船が前倒しで出漁予定。商戦の早期本格化と水揚げ増につながる展開が期待される。
7月下旬に始まった網走漁協のマス小定置で、カラフトマスの水揚げが振るわない。過去最低となった昨年の序盤より苦戦を強いられ、網起こしは週1~2回ペース。一方でエイやシイラの入網が目立っている。海況の変化に困惑している着業者には、親魚の確保や網揚げ規制など、今後に不安を抱く出足となった。
網走漁協のタコ箱が好調だ。各船の水揚量が急増しており、鮮度保持を優先し1隻日量1.8トンのトン数制限を設けている。浜値はキロ900円台後半と好値。昨年より若干下回るものの高値基調を維持しており、水揚げ金額は前年同期比3割増に伸長している。
羅臼漁協の天然コンブは資源状況が悪く減産の見込み。繁茂漁場は限られ、特に下側で悪い。また、7月20日に解禁以降天候や海況にも恵まれず、同月の採取が2回にとどまる厳しい出足となった。8月からは自由操業で水揚げしている。