北海道の秋サケ定置網漁は全漁場が操業を開始し、今週から盛漁期に向かって日量の伸長が期待される。いくらなど昨年産の在庫薄、海外産の高値相場などに平成以降最低となる来遊予測が加わって浜値は上昇が想定されていたが、実際に出足の水揚げが極度に少なく、オス、メスとも高位置発進。今季は売り場堅守への適正価格の形成などが焦点。サンマなど他魚種も併せて漁獲動向にも商戦の行方がかかっている。
渡島噴火湾6単協(長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部漁協)で、確保した稚貝がへい死し深刻な状況に陥っている。採苗器からの採取、その後の仮分散以降、成長不足や雑物の付着も目立ち、へい死が急速に進行した。地域差はあるものの、生存している割合は現時点で通常時の1割に満たない漁家も少なくない。来春の耳づりは大幅な減少が見込まれる。
道南・本場折浜の天然はマコンブ主体の水揚げで、総体的に沖側中心に繁茂。今季は銭亀沢や根崎が比較的多く出漁した。一方、ガゴメは資源低迷が続き、着業者は「ほぼ皆無」「1日1本掛かるかどうかだった」などと話す。
渡島噴火湾3単協(落部・森・砂原漁協)のエビかご秋漁が始まった。大量発生しているオオズワイガニの混獲が依然衰えない中、ボタンエビは落部漁協が1隻日量50、60キロから100キロ程度とまずまずの水揚げ。メス大を中心に、浜値は活出荷でキロ5千円と好値を付けている。秋漁は9~11月中旬。落部は23隻が着業しており、同漁協市場では「毎回20隻ぐらいで日量2トン前後」と説明。最近は休漁やシケで1日置きに出漁し、9日は2トンの水揚げ。メスがキロ5千円、オスの中が3700円、小1500円。
札幌市中央卸売市場の丸水札幌中央水産株式会社とカネシメ髙橋水産株式会社の両荷受は10日、同市場特設会場で水産合同展示商談会を開いた。荷主のほか、取引メーカーなども多数出展。バイヤーらに主力商材や新製品などを売り込むとともに、新たな商談機会を創出した。合同開催は昨年に続いて2回目。会場には約180のブースが並び、干物や魚卵といった各種加工品のほか、秋冬・年末商材、ギフト向け商品などを出品。担当者がパンフレットや試食を手渡し特長をPRした。
日高中央漁協浦河地区では第十八高漁丸と第三十一髙徳丸の2隻が刺網でキンキン(キチジ)を水揚げ。高漁丸の髙田敬太さんは「例年では今時期が最盛期」と話し、好漁に期待を寄せる。
農林水産省がこのほど公表した「2023年漁業センサス」では、全国の海面漁業の漁業経営体数は、前回調査(18年)比17.0%減の6万5652経営体(23年11月1日時点)。このうち海面養殖業を営む漁業経営体数は12.8%減の1万2164経営体で、漁業経営体全体よりも減少幅が小さくなった。今回の調査では新たに海外向けの出荷(輸出)金額の割合や水産エコラベル認証の取得状況、漁業共済への加入状況についても調査し、その結果を明らかにした。
株式会社シーフードレガシーと『日経ESG』(株式会社日経BP発行)は10月8~10日、「東京サステナブルシーフード・サミット2024」(TSSS2024)を東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催する。「サステナブルシーフードを水産流通の主流に」をテーマに、持続可能な水産業を実現するための道筋を考える。公式サイトでは、参加者の事前申し込みを受け付けている。
東京都・豊洲市場のサンマ消流は商戦スタート時の勢いが失速してきている。組成の小型化で商品価値が低下。仲卸業者は「9月中旬から2キロ箱18尾などが増え、14尾より大きいものは入ってこない」と、販売戦略を再検討している。9日時点の入荷はやや大型に分類される2キロ箱15尾の卸値がキロ3千円。同商材を仕入れている仲卸は「当初の2800~2700円のものが上昇した。15尾は当社では飲食店向けだが、量販店向けの4キロ箱や2キロ箱16~18尾も相場が上がっている。今期は例年と違って、最初はまとまった数量で入荷して安かったが、最近は上げ相場」と話す。
白老町の地域商社「BLUE SALMОN」(貳又(ふたまた)聖規代表、電話090・1648・4641)は、「地元のお魚活用プロジェクト」と題し、2019年6月の設立当初から前浜産水産物の付加価値化に注力。主力魚種・スケソでは身を活用した加工品で「おつまみシリーズ」を展開している。スケソの加工品は21年に「ディルマリネ」を皮切りに「バジル白ワイン風味」「白銀の塩辛」「チャンジャ風」の4種を順次発売。12月から2月ごろの前浜産スケソを白老町の加工業者・有限会社小田切水産でフィレーにし、開発段階から連携してきた函館市の生鮮珍味メーカー・竹田食品に味付けなど製造を依頼している。