岩手県産アカモクは他産地と比べて機能性成分を多く含んでいることが岩手大農学部の袁春紅准教授(水産食品加工学)らの研究で分かった。採取時期は6月が最適という。アカモク粉末をすり身に添加してかまぼこを試作したところ、アルギン酸の効果で弾力性がアップした。風味に大きな変化はなく、味を維持したまま美容・健康面や色調の変化なども期待できるのは一つの利点とした。袁准教授は機能性成分の流出を抑える加工・保存方法の検討が不可欠とした上で「成分表示を詳細に行うことで商品の差別化ができる。(宮城の)笹かまぼこに負けない練り製品の開発も可能だ。新たな食文化を生み出し、漁業者の所得向上につなげたい」と話す。
八雲町とひやま漁協熊石支所サーモン養殖部会が海面養殖に取り組む「北海道二海サーモン」の本格事業化を見据えた動きが進展している。2022年12月には八雲町が、熊石地区に構える種苗生産施設に種卵(発眼卵)10万粒を搬入した。卵の段階から幼魚を成育させる初の試みで、今年11月中旬までに幼魚約3万尾を生産する。
東京都の豊洲市場は5日、今年の市場取引を開始した。初競り式では大物卸売場で卸、仲卸の代表らが新年のあいさつを述べた。入荷は前年比7.9%減の805.8トン。むき身のカキが54%増の4.3トンだったが、アジ、スルメイカ、イワシ、ハマチなどが軒並み前年を下回った。
サステナブルシーフードをテーマとする東京都渋谷区のフレンチレストラン「Sⅰncere BLUE(シンシアブルー)」は3月末に北海道北広島市の北海道ボールパークFヴィレッジ内に移転する。店名を「Sⅰncere N°(ノード)」に改め、質の高い道産食材を生かした料理とサステナブルシーフードの大切さを伝えていく。
養殖業を中心に世界的には成長軌道の水産業。日本では天然資源や就業者、魚介類消費量の減少が続いているが、かつての“大国”復活に向け、異分野融合で新たな価値の創造、潜在力を引き出す試みも行われている。元来、「裾野が広い産業」といわれる水産業の進化、未来への希望の光を探る「掛け合わせ(×)」にスポットを当てた。
マルハニチロ株式会社は、さまざまなテーマや物事を掛け合わせることで、魚の新たな価値や可能性を生み出すアクション「SAKANA ×(サカナクロス)-魚と、その先へ-」を昨年始動した。第1弾がスポーツとの「クロス」。2年目の今年はより幅広いテーマとのクロスを本格化させ、魚食拡大につなげていく。
ニシンの豊漁、秋サケの資源復調など明るい話題があった一方、漁業種類や地域格差が深刻化した昨年の北海道の水産業。新年は新たな振興推進計画が始動。福島第一原発・ALPS処理水の海洋放出など影響が懸念される問題も抱えている。年頭に当たり、道水産林務部の山口修司部長と、道漁連の阿部国雄会長に展望を聞いた。
宮城県漁協北上町十三浜支所青年部グループ(阿部勝太代表)の19生産者(2法人含む)は、国内初となるワカメ・コンブの「ASC-MSC海藻(藻類)認証」を取得した。有機食品や健康・環境配慮の商品で人気を集めるオーガニックスーパーなどで販売。輸出も視野に入れながら、環境への負担を減らし、サステイナブル(持続可能)な生産につなげる。
水月堂物産株式会社(宮城県石巻市、阿部芳寛社長、電話0225・97・5225)が製造販売するホヤの乾燥珍味「ほや酔明(すいめい)」を使ったおにぎりが好評だ。約40年間にわたって東北新幹線の車内販売や土産物として人気を集めてきたほや酔明も、新型コロナウイルス禍で一時売上高は6割減った。新たな市場を開拓して業績回復を狙うとともに、工夫次第で年中味わえる県産ホヤの総菜需要の取り込みにつなげる。
岩手県大槌町で2021年に出荷が始まった淡水ギンザケ「桃畑学園サーモン」が注目を集めている。あっさりした味に加え、かわいらしさを意識したネーミングとロゴマークが消費者の心をつかむ。町内ではニッスイグループの弓ヶ浜水産株式会社(鳥取県境港市)がギンザケとトラウトサーモン(ニジマス)の海面養殖事業を拡大中。秋サケの記録的な不漁が続く中、川と海で養殖サーモンのブランド化を目指す取り組みが活発化している。