ロシア・ウクライナ情勢をめぐるサプライチェーンの混乱で、日本に空輸されるノルウェー産サーモンの供給が全国的に不安定になっている。国内の回転ずしチェーンでサーモンの販売を休止する動きも出ている。ノルウェー水産物審議会によると、9日現在、安定的な供給体制を維持するため、ロシア上空を迂回するルートの確保など代替対応の実現に向けて協議を続けているとしている。
メルカリグループの株式会社ソウゾウは7日、スマホでネットショップが開設できるEC(電子商取引)「メルカリShops」で、クール便をサイズ別全国一律価格で配送するサービス「クールメルカリ便」を開始した。クール便の一律料金は国内の主要ECでは初という。水産物の送料の壁を解消して流通や消費を促進。飲食店向けの需要が落ち込む水産事業者の新たな販路拡大を支援する。
道は、太平洋沿岸で発生した赤潮による漁業被害の回復に向け、被害対策に関するロードマップ(行程表)を策定する。期間は当面2025年度までで、年度ごとの実施内容を明確化。複数年、多岐にわたる各種取り組みを計画的に推進する。7日に札幌市の第2水産ビルで開いた第3回北海道太平洋沿岸漁業被害対策会議で示した。赤潮発生前の漁業生産まで回復させることを目標に、漁場環境の回復、魚種ごとの生産回復・安定、経営支援など具体的な対策と実施期間が分かるように整理し、盛り込む。
23年度国費予算の概算要求に向け、6月をめどに取りまとめ、国に継続的な支援を求めていく。なお、状況に応じて期間の延長、項目の追加など柔軟に対応していく考え。
むかわ町の有限会社丸中舛岡水産(舛岡博美社長、電話0145・42・2178)は、主力商材・シシャモの不漁高騰、コロナ禍など社会情勢を踏まえ、新たな商品開発で活路を探っている。昨年はレトルトの海鮮スープカレーなどに加え、異分野の和菓子を商品化。今年は量販店などの売り場に並ぶ総菜商品に力を入れて内食需要拡大の商機をつかんでいく。
石巻魚市場(宮城県石巻市、佐々木茂樹社長)で9日、出荷シーズンが間近に迫った県産養殖ギンザケの受け入れ全体会議があった。同市場への初水揚げ(入荷)は18日で、約6トンを予定。需要が高まる中、関係者は安定した価格と供給を維持したい考えだ。
一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(FJ、宮城県石巻市、阿部勝太代表理事、電話0225・98・7071)は、漁業に特化した期間限定アルバイトの募集・派遣を行う新プロジェクト「TRITON JOB SPOT(トリトン・ジョブ・スポット)」を開始した。特定の浜に縛られない自由で柔軟な働き方を提案。繁忙期の人手不足解消を目指す。
青森県平内町漁協の三津谷廣明組合長が船主のホタテ養殖船「第十八北鳳丸」(4.6トン、FRP)が竣工した。先代船に比べエンジンなどがパワーアップ。作業効率が格段に向上した。三津谷組合長は昭和40年代に本格化した陸奥湾ホタテ養殖の先駆者。後継者の息子に現場を譲った今でも「資源を維持しながら、担い手が育つ、もうかる漁業へのモデルケースを示したい」と血気盛ん。持続的・安定的な養殖生産の実現に心を砕く。
大量繁殖した「痩せウニ」の養殖試験に取り組む落部漁協は、養殖ウニの試験販売で一定の成果を得たことから、次年度は規模を拡大し事業化する。養殖開始前に3%だった痩せウニの歩留まりは、新たに開発した配合飼料の給餌で最高20%以上に向上した。この飼料開発や養殖ウニの加工・流通には㈱北三陸ファクトリー(岩手県洋野町)が協力し、同漁協が養殖したウニを首都圏の百貨店で試験販売したところ、高く評価されたため、「HAGUKUMU―UNI~はぐくむうに」のブランドで今春にも商品化する。両者は磯焼け解消と新ブランド展開のW効果に期待する。
いぶり噴火湾漁協の加工貝(2年貝)水揚げ状況は、2月末で3450トンとなった。計画に対する進ちょく率は40%。着業者は「完全回復には至っていないが生存率は向上している」と話し、3月の集中水揚げで最後の追い込みをかける。一方浜値は堅調で、キロ300円台中盤に上昇した。
戸井漁協東戸井地区でミツイシ養殖を営む芳賀浩平さんは、施設に施す独自の雑海藻対策を考案、今季から本格導入し効果が表れている。幹綱に農業用灌水チューブをかぶせるように取り付け固定する仕組みで、雑海藻の付着は大きく減少。「付いても手でなぞるだけで簡単に落ちる」と言う。毎年手間と時間をかけ行ってきた雑海藻除去の必要がなくなり、体力的負担が大幅に軽減された。